第104話 屋敷

 昼を皆で頂いた後まったりしていると俺に来客があり待っていた不動産屋だったので、既に帰って来ていたオリヴィアを連れて屋敷に向かったのだ。


 来たのは二十台後半のスーツを着た女性で副店長だった。


 貴族の屋敷が集まる所謂貴族街に来ている。と言うよりアレイ殿の屋敷が貴族街の中心部にあるからと近いので歩いて向かうのであった。


 そんな中の一際目を引く大きな屋敷だが色が屋根も壁も赤なのが見えて


「センス悪いなあ」


 と呟いていると、そこの門に向かい出し不動産屋が


「こちらでございます」


 と紅屋敷に案内したが外観は何もかも赤だ。建物は立派な三階建てで建物も敷地もバルバロッサの屋敷の倍はある扇状の建物で、正門から石畳の道が玄関に続いている。別邸か使用人用か二階建ての家が三軒敷地内にあった。


 馬車小屋と厩舎と思うのもあり、外壁の赤さ以外は問題無さそうだ。


 庭は手入れも行き届いていてザッツ庭園だ。



 問題は中だが一ヶ所を除いてよい感じだった。


 玄関を開けるとメイドさんが三人おり書状を渡され開けると


 この三名は屋敷の附属として差し上げるので好きになさってください。全員若い生娘ですので病気の心配もなく、所作も十分教育しております。勇者殿の好みに合うかはわかりませんがよしなに。


 追伸 好みがわかりませんので大中小と取り揃えました。速やかな刻印をお願い致します。


 と書いてあり、誰が書いたか記載が無いがまあ国王だろうがな。

 メイド服を来着ているが多分違うのだろう、上品過ぎるし三角巾をしていて髪型が分からないが王族か貴族の娘だろうがなんとなく見覚えがあったが直ぐに思い出せない。


 オリヴィアに見せると顔がひきつっていて、わなわなと震えながら書状を返してくれたが、メイド達を見ると顔色が変わり大人しくなり


「あの狸親父」


 と聞こえたので


「これはどうすればよいのかな?」


「はい、確認しますが貰ってあげてください。恐らく当人の希望で自ら名乗りだ出た筈です。彼女達が何者かは直接ご確認願います」


 と逃げたので取り敢えず一緒にいるが、部屋を回って貰った。


 一階には広い玄関ロビーに緩やかなカーブを描く階段に続いていて、いかにも貴族の屋敷な感じだ。

 内装も落ち着いていて上品だ。

 一階には大浴場と小浴場、使用人用の浴場と充実していて、食堂とその隣に厨房があり大きさも問題なく、倉庫や貯蔵庫もある。メイドと執事の控え室もあり充実している。


 二階に大きな多目的室があり、会議やちょっとしたパーティーが開催できそうな空間がある。この多目的室の両隣は使用人室になっていて、そこから右側が来客用の居室10部屋と左側に居室が10部屋立ち並ぶ。部屋の作りは同じだが内装と家具からそう判断した。


 そして三階は居室30部屋、応接室2つ、皆が過ごす大きな居間、主人用【執務室、居間、何故か寝室2つ】、とかなりの部屋数だ。


つまりゲストは2階に宿泊する事になり、妻達用や仲間用の各自の部屋が40も有る。


 トイレは各階に二ヶ所と、洗面がある。主人の居室には小さな風呂とトイレすらあり、キッチンもあり驚いた。このキッチンは個人宅にある位のだが、趣味で料理をする為のようだ。小さいと言っても日本のユニットバスで言うと1818位だと思う。確か我が家のは1616だ。ふと日本の記憶が少し有ったのでメモをしていた。


 問題なのは地下室。

 拷問部屋と牢屋があるのだ。

 この屋敷の貴族が 取り潰しに成なった理由でもある。

 不動産屋に聞くとこの為に事故物件となり皆嫌がる為に王が中々売りに出せないとしていたが、今回俺なら気にしないだろうとから、格安で放出する気になったらしい。

 ここで奴隷に虐待をしていて、100人以上が殺されたようだ。掃除したが血でかなり凄惨だったらしく、こう言う事があった物件の為に格安になる。


 因みに寝具を含め家具等そのままにされていて寝具とか気にしなければだが食料が有れば今直ぐに住める。


 一通り見たので不動産屋に金額を確認すると2億丁度と言う。

 事故物件と外壁の色の為格安だからだった。

 俺は即決したが外壁の塗装を料金別でやれないかと聞くと5000万弱掛かるがやれると言う。その間は通用口からの出入りになり、三週間位掛かる。

 想定していて見積もりや工程も確認していたようだ。


 そして問題のメイドに確認するのにゲス行動を考えた。


 執務室にメイドとオリヴィアを入れて、不動産屋には応接で待機して貰い

まずは最初に書状を渡してきた娘に書状を見せて


「これ誰からの書状かな?書いてないんだよね。予想は付くけどまあ国王様だろうけどね」


「はい国王様御自ら私にお預けなさいました」


 書状を見せてから


「これには君達を差し上げるとあるのですが、よく意味がわからないのですがどういう意味でしょうか?」


「はい文字通りランスロット様の女としてハーレム入りを希望しますが、メイドでも、性奴隷でもお好きに扱って頂いて結構ですし、それと三人共に自らの意思で希望しており来ておりますので国に引き留める為の生贄ではありません」


 既に嘘ではなく生娘なのは確認しているが俺は覚悟を見たくて


「じゃあ今からここで君達に清めの儀式を執り行うから裸になって」


 とオリヴィアにはウインクをして三人の反応を見たが恥ずかしそうにもじもじしながら脱ぎ出して下着のみになった時点で止めさせて服を着て貰った。

 三角巾を外して顔全体が見えたので少し違和感が有るも思い出した。


「申し訳ない。君達を試しただけだから服を着て欲しい。俺は好きにならないと抱かないからね。それに勇者による刻印はお互い心から好きにならないと失敗するし、チャンスは一度だから本気なら時間を掛けてお互い信頼を築いていかないといけないからね。あと君は昨日馬車に轢かれて腕を骨折した神殿の手伝いをなされている方ですね?」


「はいそうでございます。恥ずかしかったですが試されておいでなのはわかっておりましたので大丈夫ですが、私をお助けくださりありがとうございます。お陰で顔に傷もなく、あの時の紳士様がまさか勇者様だったとは驚きです。このような卑しい身分で御座いますが身請けをして頂く訳には参りませんか?どうか宜しくお願い致します」


 と服をきてからスカートをちょこんと持ち上げて優雅にお辞儀をし、他の二人も同じくお辞儀したがやはり優雅だった。


「貴女は確か子供を庇い馬車の前に飛び出していたよね。凄いと思いました。折れた左腕では大丈夫ですか?さて貴女は私との繋がりが有りますが貴女方の接点が今一なのですが、お会いしていますか?それと多分貴女は王女様でしょう。神殿の手伝いをしていると聞いた事がありますし、所作が王族貴族であり、市井の民とは一線を画す物ですし、貴女に触れた時に幻影を見ました、貴女もそうでしょう?」


「やはりばれていましたか。私もランスロット様と共にランスロット様が率いている一軍に従軍していて、助言をしている幻を見ましたし、ご寵愛を受けていると理解しました。改めまして第2王女のロトナに御座います。お慕い申し上げます」


「やはりそうでしたか。いや、これは参りました。ロトナさんの言っている事は分かりましたが、こちらのレディはどういった立場で?確かきのう昼食の時にメイドとして控えてましたね?見覚えがあります。王様が貴女方に目配せしていて、気になっていたのですよ。」


「ふふふ。恐ろしい方ですわね。王との食事で普通は緊張していて何を食べたかすら覚えていない方が殆どなのにそこまで気にされる余裕が有るなんて私の目に狂いは無かったみたいですわね。因みにもう大体誰かはお分かりなのでは?」


「うーん多分少なくとも一人は妹でしょうし、もう一人は従姉妹か従妹等で姉妹で年齢が一歳以内の差でしょう。その為姉妹ではないと思います。それより気になるのは貴女の態度です。無理してますよね?」


「素晴らしいですね。ああいいわあなた。ふふふ。やっぱりばれてるのか。もー折角勇者様を脅かそうと思ってたのにいやんなっちゃうわね。でもね、私がランスロット様を好いているのは変わりなくてよ。因みに正解よ!凄いわね!貴方の一番恐ろしい所はその観察力とそこから導き出される解析結果ね。ちなみに一人は母方の従姉妹よ。それと少し違うのよ。ふふふ。引っ掛かりましたね貴方が触れたのは妹の方よ」


「やはり君達は双子か。いやー昨日の怪我をされたのがロトナさんでは無いのは先程確認してますよ。気付いてませんか」


「はてどういった事でお分かりに?」


「胸の大きさですよ。違和感を感じたんですよ」


 皆にジト目をされヤバイと感じ


「冗談ですよ。身長も髪型も顔付きからはわからないのですが、振る舞いと、喋り方に違和感がありカマを掛けたんですよ。アリアさんの手伝っているのは神殿ではなく孤児院で折れたのは腕ではないですよ。あと胸が妹の方がでかいだろ!」


「ああ胸の事は言わないで、お願いだからやめて。そうよ、聖女なんて面倒くさいのわたしに似合うわけなくてよ」


 ちょっと残念娘に腹が立ってきたが、妹の方と向き合いよく見ると間違いなく昨日の娘だ。俯いているのでよくわからなかったがその手を取り


「聖なる乙女よお体に大事有りませんか?きのうの勇気ある行動に感服致しました」


 てキザったらしく手にキスをして向き合うと


「ごきげんようランスロット様。お陰様で顔に受けた傷も綺麗に治っております。流石に姉の悪ふざけに引っ掛かったと見せて見抜いておいで、引っ掛かったのは姉の方なのですね。面白い方ですね。私達の入れ替わりは父でも見抜けないのに。やはり胸ですか?クロエ姉さまの言われる通りなのですね。無類のおっぱい好きと、美人を見たら何かと理由を付けて触りたがるからと嬉しそうに語っていましたわ。それでどちらが怪我を治した方か確認する為に胸で判断するから私達に服を脱ぐように 言われてたのですね。自己紹介がまだでしたね私は第3王女のアリアで御座います。胸だけでなく私を好いて貰えれば嬉しいです。ランスロット様をお慕いたしております」


 俺は狼狽えて少しふらついて


「あっ、あのう、人の話聞いてます?胸はパットを入れてたり服が違えば違和感は感じにくいですよ。喋り方や所作の違いで分かったんですよ。それに先程は申しわけありませんでした。服を脱がせたのは本気度を見たかったからと、あそこで脱がなかったら間諜と判断してました」


「冗談ですわ。うふふふ。ランスロット様の狼狽える所が見れてほっとしましたわ。クロエ姉様は私の胸をいやらしい目で見ないんだよ、こんな事ははじめてだよ。私がまるで子供扱いだよと珍しく熱くランスロット様の事を惚気ていましたよ。それで興味があったのですが、予想外の場所でお会いでき、まさかあれほど紳士とは驚きでした。私は勇者様ではなく、ランスロットと言う一人の男性を好きに為なりましたの。」


「ははは。あと、こちらのレディを紹介して頂けると有難いのですが。確かメイドに紛れてましたよね。見覚えがあります。お母様はアリアさんのお母様の双子ではないですか?」


「これは驚きました。何故知っているのですか?」


「あくまで予測ですよ。姉妹としか思えない位似ていますが、歳は同じか1歳も違わないでしょう?そこから推測したまでと、母親が双子だと双子が生まれる率は高いのですよ。貴女方が双子でも驚きませんよ」


「 あ、わわたくすかー、失礼しました。カービング帝国第一王女のドロシーと申します。その宜しくお願い致します。」


 緊張しまくっているようだ言葉がへんだったが、最初だけだ


「あれ?隣国から来てるんだ。宜しくね」


「はい、こちらで留学させて頂いており、ロトナとアリアとは三つ子のようにしております。お噂は色々聞いておりますが私の判断もランスロット様は油断成らない傑物です。昨日のおじ様とのやり取りは驚きましたわ。宜しくお願いします」


 握手を求めて来るので


「アリアさんに俺と肌が触れると何が起こるか確認しているなら良いけど、多分後戻り出来なくなるよ。確認出来ないが恐らく俺のギフトにお互いを好きになり、相手を大事にしたいと思う思いが強くなる力が俺自身に対しても発動するのが有るっぽいんだ。既に発動したかもだけど、接触すれば確実に俺のハーレムに入る事になるはずだ。二人は好ましいとは思うがまだ好きじゃないけ外ど、アリアさんの事は既に愛おしく、愛してると感じてるんだ。アリアさんには多分君達二人のような憧れではなく、俺の為に全てを捨て去る覚悟がもう有るはずだ。だから、ギフト抜きで俺を見極めて、それでも愛せれるならその時は妻として迎えたいから、時間を掛けて 欲しいんだ」


 三人は頷いたがやぶべびだった。いきなり飛びついて来て手をあっさり握られたからだ。やはり二人の幻影が浮かび、各自の国の王冠を彼女達が俺に被せて王権を委譲する儀式の中で王冠を被せる役をしている。幸いなのは国王に請われて2国を合併し、現在の国王を大公に任命して実質統治は変わらないが、俺が大陸統一に走った事が理解できて、アリアでの時に見たのはバルバロッサに戦いを挑んでいるのだろうと判断しその場で崩れ落ち、慌てたアリアに抱きしめられ、頭を床に打たなくてすんだのだ。


「俺は一体何者なんだ!何の為にこの世界に来たんだ!」


 と叫ぶのがやっとで、ギフトが発動しているのと、ギフト表示封印解除条件を満たした旨のアナウンスがあり、ギフト名が 愛の覇者 とアナウンスが出たのだった。


 愕然としていたが何とか契約と支払いの為全員でギルドに向かったのだ。

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