第75話 敵襲
執事が門を通り屋敷に入ると俺も後を付けて屋敷の中へ入った。流石に隠密はひと味違う。
屋敷の奥にも侵入して主の部屋の近くに隠れたと言うより隣の部屋だ。
どうやら主人は女でしかも件の変態貴族と判明したのだ。
「何をやっているの!たかだか冒険者の小僧相手にみっともない。次のオークションまでまだ10日も先なのよ!滅茶苦茶にしたいのよ!美しいか、顔が切り刻まれて、手足を無くして蛆虫みたいに蠢くのを見たいのよ!何としても連れてきなさい。もうあいつらじゃ・・・」
屋敷の中を色々物色する。
使われていない部屋がらギルド近くの裏手にある人気の無いところにゲートを出して、更に屋敷に戻っていく。
まだ皆出掛けているので、約束通りエリシスを可愛がってあげて、お互い満足してから屋敷の防衛について今居るメンバーを集めて話し合った。
恐らく今晩位に襲撃されるで有ろうと思われる事とウリア達を滅茶苦茶にした変態貴族の事を話した。
「君達を売れと言ってきた奴等だが、命令したのはウリア達を滅茶苦茶にした変態貴族だったよ。あいつらは変態貴族に君達を絶対に連れてくるように厳命されている。恐らく無理やり兵を連れてくるんだろうな。
先の盗賊もあいつの仕業だと断定しても良い。
奴隷商人を襲わせて奴隷を確保して、迎を寄越す間あそこに居たんだと思う。
最早許せる手合いじゃ無い。先ずはここを守る。向こうが襲撃してきたら此方も反撃する。反撃は奴を殺す事を意味する。
問題は戦力の劣るアヤメ達をどうするかだ。」
皆を見渡して
「皆は闘うか退くか?」
俺は聞いたが愚問だった。皆戦うという。俺は頷いた。
非戦闘要員をどうするかについては屋敷にて皆で守ると言う事になった。
取りあえずは昼食を食べる事として俺は先ずは鎧を着込んだ。
俺の気配察知ならば屋敷の中にいれば外の気配を感じ取れる。外出組に念話で警戒を呼び掛けて、現在地を確認して一旦ギルドの専用者部屋に集まらせた。俺がギルドに迎えに行き人気の無い所に移動してからゲートで連れ帰った。
買い物は皆一通り終わっていた。戦闘要員が先に食事をして防具を装着して襲撃に備えた。
レジアナとリリアは完全にメイドとしてリムルは調理人として戦闘には加わらせない。勿論クレアの母アイギスも。
なので護衛にセレナとシータ、エリシス、クレアには屋敷の中に居て貰う。
俺が戦闘開始時にアイスウォールで建物を囲って守るがどこから侵入するか分からないので護衛は必須だ。
セレナは手を繋いでいる相手を一度でも行った事の有る場所ならば連れて行けるのでいざとなったらギルドの部屋に逃げる指示を出している。
全員が食事を終え片付けを終わると非戦闘要員も鎧を付けて襲撃に備えた。
今日の夕飯は作らずに買い溜めしてある食料か食べに行く事になりそうだとリムルには伝えている。
そして16時頃奴らはやってきた。人数は50人程。なりふり構わない感じだ。鎧は冒険者が使うような皮鎧だが武器はお揃いのロングソード。鎧はともかく、武器はそう簡単に変更はしないはずだし相手は変態貴族オルクス家の私兵だ。
屋敷の門の所に札を立てて置いている。警告文だ。
【本日は如何なる件でも許可なく敷地に入る事は敵対行為とみなし、命を持って償うべしと】
と記載して、冒険者ギルドに届けでも済ませて返り討ちにする準備は出来ている。
俺は一人で門から入って直ぐの所で立ち警告を発した。周辺の家々からも覗いて居る者も居る為ことさら大きく発した。俺は先日セレナとのデートの時に買ったフルプレートメイルを装着している。
白に銀のステッチが入った派手な見た目重視な代物だ。
威圧を出すのに良いと言うので、買っていた。性じゃなくて聖騎士って感じに見えるらしい。以前セレナが
「これ絶対、志朗に似合うよ!かっこいいんだから、見た目の良いの着て欲しいなあ!ね、良いでしょ?見たいなー し・ろ・う・さ・ん♪」
のおねだりに負けたんだった。あんな目で言われたら落ちますよ。俺には耐えられなかった!
「貴様達がオルクス家の手の者で有るのは既に判明している。主人に伝えるがよい。S級冒険者に喧嘩を売った事を後悔するがよいと。して貴様等は大挙して更に武装までして何用だ?」
と言うとかなり強くアイスウォールを唱えて門から見える建物の前に屋敷の高さを超える分厚い壁を出した。そして長槍を振り回し、槍を後ろ手に構え、格好をつけた。セレナに決めポーズを振り付けされていたやつだ。まあ、挑発にはなったろうな。
すると一人の老執事が出てきた。
「既に此方のことは分かっているようだな。ならば怪我をしたくなければここに居る奴隷を全て差し出せ。然らば兵を退いてやろう」
と言うので中指を立てて挑発した。
勿論拒否だ。
「勿論断る。欲しいなら力尽くで来い。貴様達が一歩でも敷地に入ればオルクス家が我がランスロットに対して戦争を仕掛けた敵対行為である、宣戦布告とみなし報復攻撃の権利を主張する。既にギルドにも申告済みで立会人もいる」
念の為ギルドマスターにナンシーと一緒に周辺から監視をして貰って居る為公式に権利を得る事が出来る。
そして奴が叫んだ。
「男は皆殺しだ。女は連れ帰る。腕の一本や二本は斬っても構わんが殺すなよ。ご主人様により慰め者にしても良いと言われている。いけえええ」
と言うと突撃してきた。
建物から皆が出てきて戦闘態勢に入った。俺は先ずは先制攻撃を受けてわざと剣を受けて少し切られた。血が出て誰が見ても先制攻撃を受けたというのを分かるようにしてヒールを掛けて戦闘開始しとなった。
先制攻撃を受けたため、俺以外も戦い始めていた。俺はアイスアローを撃ちまくり弱い奴を次々に無力化していく。
俺以外の所に行った連中も次々と制圧されていく。
俺は兵士達の隊長と思われる者と切り結んでいた。強かった。正規の訓練を充分に積んでいると分かる。
ステータスは俺の方が数倍は上だろう。フェイントや剣の技でステータスやスキル以外の部分が俺には足りず細かい切り傷を負っていく。
どうしようも無い場合以外アースホールは使いたくなかった。
30合位切り結ぶとようやく俺も慣れてきた。しかし乱戦で後ろから切りつけられれ剣を落としてしまった。
すかさず出足払いで転がしてアイスアローで仕留めた。隊長が問答無用で切りつけてくるので俺は懐に入り大内刈りを決めて気絶させた。最後に執事が残ったがやはり俺が無手の今ならと斬り込んできた。フレデリカとエトワールが助け船を出そうとするが片手で制して俺は執事と対面した。
良い機会だ。無手の格闘術をと言うか柔道を見せつける。
剣技は今一だが、俺には柔道がある。
上段からの斬り込みを躱して大外刈りを決める。何とか受け身を取れたようだが立ち上がると直ぐに一本背負いで投げ飛ばすと頭から落ちて首を折ったようだ。つまり即死だ。
いつの間にか建物周辺には多くの冒険者が見物していた。こちらの被害はほぼ無く俺が斬られたのとトリシアと男衆が少し切り傷を負っただけだった。
周りから拍手喝采が起こり、生き残った私兵を縛り上げた。
ギルドマスターに聞くとこいつ等の処遇は俺次第という。縛り上げて屋敷の中に入れた。死体は馬車小屋に持ってこさせた。50名中、死んだのは12名。
俺は全員を奴隷にした。全員を治療して誰の命令かを聞いた。オルクス家の3女の仕業という。
死体からはは特に何も得られなかった。カードを見ても何も無い。
俺は捕まえた奴らに命令した。
「王城に突撃して王の首を取ってこい。オルクス家の為に!と叫ぶのも忘れるな。捕まったらオルクス家の当主の命令と言え!俺の事は一言も言うなよ!もし王の首を取れたらオルクス家に行き、俺には使者を寄越せ」
と言うとゲートを出して王城の倉庫に奴らを送り解き放った。
今後の事を考えてセレナと王城にテレポートをして、気配を探りながらあちこちを周り、俺がゲートを開けられるようにしておいた。暫くすると戦いの音が聞こえてきた。俺は奴らの奴隷契約を解除して屋敷に戻った。
女性陣に家の片付けと掃除及びクリーンをお願いして男性陣を引き連れて変態貴族を討ちに行った。
玄関脇の一室にゲートを繋ぎ侵入して俺は単独で上に向かう。
4人を地下室に向かわせた。気になることが有った。気配がしたのだ。兵の詰所かなんかだろう。地下で違和感を感じた為だ。
3階に着くと戦闘になった。俺は怒りで我を失い斬りまくった。屋敷に居た兵士を殆ど倒した。強い奴はもう居なかった。
そして遂に屋敷の主と対面した。奴は吠えた
「何やつじゃ!オルクス家三女のマーガレットと知っての狼藉か」
と醜く太った面で吠えているので転移で後ろに回り首を刎ねた。女を殺したのは初めてだった。
地下に行くと4人が待っていた。各々何かを抱えていた。
四人共、怪我は無いが返り血を浴びていた。俺もかなり浴びている。
家の中に生き物の気配がもう無かった。非戦闘要員は既に逃げたようだ。俺は少なくとも女は変態貴族しか斬っていない。
ゲートを出して最後に入る俺は、入る直前に屋敷に特大のファイアーボールを放ったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます