第410話 親子の時間
俺達は夕食の時間まで大いに語っていた。ある程度のカイルやその子の成長については育ての親から聞かされており、知ってはいた。
最近も年に一度は食事会に誘われており、成長の過程も見守ってきた。孫が生まれた時
、更にひ孫が生まれた時も例外的に祝いに駆けつけていた。流石にひ孫の成長まではよくわからないが、孫達は時折親戚の家にお泊りをしに行くという理由で、俺達の屋敷で預かったりもしていたので知っている。若じいちゃんと言われていたので集まってきた面々の顔はお互い分かる。
またカイルから最後の思い出として剣による手合わせをお願いしたいと言われた。
練兵場に行き刃を潰した訓練用の剣で打ち合う事になった。
3本勝負でやろうという事になり、まずはウォーミングアップとして軽く撃ち合い、体がほぐれてきた頃に一本目日を始めた。
カイル自、やはりかなり剣を鍛えており、今でもずっと毎日鍛錬を欠かさないくしていると言う。今の練習相手は息子という。長男と次男と毎日研鑽に励んでいると言い、40半ばとなり体力の衰えもあり、最近は勝率が3割位に下がって来ていると言う。純粋な剣の戦いでの実力で言うと、今では息子に軍配上がるのだと息子の成長を嬉しそうに言っていた。
一本目は15合位ぐらいだっただろうか、俺はしょうもないフェイントに引っかかり、剣を弾き飛ばされて終わった。
2本目は35合位打ち合い、最後は意表を突き猫騙しを行ったら、モロに引っ掛かり、剣先を首筋にあて、俺が勝った。
3本目は小細工なしでお互い力の限りを尽くし、真っ向勝負に出た。純粋な剣の実力がものを言う。ただ俺は剣の稽古を正直さぼっていた。純粋なステータスで言うともちろん俺の方が圧勝するのだが、俺も剣を振る速度や、地面を蹴る瞬発力はカイルの能力、人が辿り着けであろう最高点にまで落としていた。そう俊敏さで圧倒してもそれは剣の勝負ではなく、別の勝負になるからだ。
勝負はカイルの勝利で終わった。。集中力の違いである。50合位打合っていたが、その段階では俺が押していた。
しかし、観客たる親戚の者達にメイド達が飲み物を配っていたのだが、その中の一人が躓いたようだ。きゃっ!という悲鳴とともに、トレーに乗せた飲み物が床に散乱していった。俺はそのきゃっという声の方をつい見てしまった。その隙に、ほんの一瞬の事であったが、カイルは見逃さずに、俺の剣を弾いて終わった。
もしも殺し合いをすれば、100戦やっても100戦共俺が勝つ。それは向こうも重々承知である。俺はもちろん剣の勝負であるので、転位などはもちろん使っていない。
食事の後は風呂であるが、俺とリギア、カイルの3人でお風呂に入っていた。勿論もリギアはバスタオルで体を隠している。
カイルは頑なに断っていたのだが、バスタオルを巻いて一緒に入るということで最終的に決着した。まず間違いなく、自分より若い体の母親に反応してしまうからとの理由だ。俺は耐えろとしか言わない。
今日来ていない近場の者で、俺のひ孫で、生まれつき体の不自由な者がいるとぼやいていた。
風呂を上がったらそこに行く事にした。健康状態が悪く、建物から出したくないという事だったからだ。馬車で10分ほどのところにある屋敷に住まう者だと言う。先触れを出しては置いたが、俺達の訪問にはやはり驚かれた。すぐに部屋に通されたが、かなり異様な体になっていた。いわゆる奇形児だった。片脚が膝より下がなく、膝より下に中途半端な足首がある。両手も不自然に曲がっており、まともに動いていない。目も見えないと言っていた。
俺はこれならなんとかなると判断し、カイルに立ち会ってもらい、この子の親は部屋から閉め出した。多分これからやる事を見ると騒ぎ立てるからだ。知らぬが仏だ。
俺はおもむろにスリープで眠らせた。カイルにこれからやる事はぎょっとするだろうが、大丈夫だと言って、いきなり四肢を切断し、欠損修復を行った。また美容整形も同時に発動し、正常な健康体になるようにした。そして顔の方も治していった。5歳の女の子だと言うが、顔もかなりグロい事になっていた。
状態回復を含め、俺の持てるありとあらゆる治療手段を用いて綺麗な健康体な体に作り変えた。先ほど母親の顔を見ていたので、顔の方もおそらく本当の顔ではないのだろうが、母親の顔を参考に、整った顔立ちを作っていた。そして血まみれになったベッドはクリーンで綺麗にしていく。そして親お呼び、鏡を持たせて女の子を覚醒させた。
そこには可愛い顔立ちの幼子が己の顔を見て驚いていた。見る事自体が初めてなのもあるが、顔を触り、滑らかな肌になっていたから泣いていた。
そうやって、この日にのやる事を全て終え、というか、時間切れで屋敷にゲートで戻り、就寝する事になったのであった。
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