第79話 今後の備え

 day31


 朝誰かが扉を開けて俺の体を揺すってきており誰か知らないが抱き寄せて服を剥ぎ取りに掛かり、はだけた胸に顔を埋めた。


「ああ、ランスロット様、ようやくあたいを抱いてくれるんだね。でも最初は二人きりが良かったなー」


 目が覚めて抵抗せず受け入れてしまっているトリシアの服を乱した事に慌てて、服を整えて土下座をし手謝罪したのだが、朝鍛練に来なかったから心配して様子を見に来たら、寝ぼけた俺が脱がしてしまったとトリシアが説明してくれた。

 許す代わりに続きをして欲しいとせがんできて困り果てたのだが、


「すまないトリシア。俺の中にある強烈な元の世界での倫理観がトリシアを抱く事を拒絶しているんだ。君が18才だったら何の問題も無く妻に迎え入れていて、間違いなく体も愛しあっている。もう少し君達が大人の女性に成るまではと俺の心がストップを掛けてしまっているんだ。今はプラトニックな関係で居て欲しいんだ。君は魅力的すぎて本心はもう抱いてしまい、名実共に妻にしたいんだ。だから申し訳ない、申し訳ない、もうし・・・」

 続きは言えなかった。トリシアが膝枕をしてくれて頭を撫でながら口を指で塞いできたからだ。


「チェッ!つまらないなー。折角奥様にして貰えると思ったのに。でも嬉しいよ。あたいらの事を大事にしてくれてるんだなって、魂を愛してくれてるんだなって感じたぜじゃ無くて感じたの。でももう1年ちょっとかー。リギアは明後日16になるからリギアはあと二年なんだね。ランスが私達の事を受け入れてくれる日をお待ちしてるぜじゃなくてお待ち申し上げます」


 と朝の軽い挨拶のキスをして部屋を出ていったのだが、俺が起きなかったのは単に昨夜弾けすぎて寝るのが遅かった影響で寝不足なだけだった。


 急ぎ着替えて朝の鍛練に参加して風呂には入らず、朝食ギリギリまで走り込みをしてから時間通りに食事にして、食事が終わった後で皆に今日の予定を伝えた。今後ブラックオニキスは隣国のボレロ王国を目指す旨を伝え、今後の事を考えると、俺とセレナのテレポートとゲートにて行ける範囲を増やしたいので朝移動開始して夕方ゲートで屋敷に帰り、翌朝また進むというのを繰り返してボレロ王国に向かう感じだと。


 最近バルバロッサは余り良くない状況になりつつある。どうやら戦争の準備をしている気配がある為、最悪の事を想定して屋敷を売り払い他国に行く事も視野にいれないといけないと考え始めていた。尤もバルバロッサに居を構えている時点で既に志郎の危機意識が大幅に欠落しているのだが、その事を今の時点では認識できておらず、馬鹿な行動をしていたと思い返すのはまだ先の事だ。お陰で知り会えた者も、救えた命も有るのだが、確実に自らの首を絞める行為以外の何物でもない。


 依頼の関係で今日はブラックオニキスのみで移動し、ナンシーは今日は休みで屋敷への引っ越しを行うと言うので、先に引っ越しを開始したのだ。シェリー達に馬車を準備して貰い、その間にナンシーの宿舎の部屋と屋敷をゲートを繋いで荷物をどんどん収納に放り込んで部屋を空にしていった。そして屋敷のナンシーに部屋に荷物を全て出していったのだ。

 その後メイド達が宿舎の部屋を掃除してくれるのと、屋敷の部屋も荷物箱から出して整えてくれると言うのでお願いした。

 昼食はリムル達が作って準備してくれいて、出発時に黙って渡してくれるのだがそんな気遣いが有り難たく、ナンシーを伴いブラックオニキスは隣国目指して馬車で進んで行く事になり、2つ隣の街に行った時にゲート場所としていた所からリスタートしていった。


 次の街には普通の馬車で夕方遅目に着く距離だから、我々ならば15時前後に着くだろう。


 暫く街道を進むと時折雑魚の魔物が出た程度でのほほんとしていたが、11時位に異変を感じたので俺達は鎧を着て戦闘の準備をした。そう何者かが後を尾けてきているのだ。


 しかし嫌らしい事に距離を詰めてこない。

 一段と嫌な予感がしてきたので、御者席に座るウリアを装備を整えたシェリーと替えて装備を整えさせた。


 その先で何やら争いの気配があり、様子が見えてきたがどうやら争いが始まったばかりのようだ。

 商人の馬車が盗賊か何かに襲われており護衛がどんどんやられて居るっぽいが不自然で胡散臭そうだが、放っておくとこちらに飛び火するだろうからと襲われている馬車を取りあえず助ける事にし違和感を感じつつ、俺が単独で先行して盗賊と思われる奴らを蹴散らして行く。


 残っている賊は14人位居たが弱くて話にならなかった。この商隊の護衛もそうだが盗賊も含め皆が弱いのはなんだろうか。


 後方から来た奴らは商隊で馬車3台だ。1台が荷馬車、1台が人の運搬、もう一台が商隊の主の乗る乗用馬車の構成だ。


 襲われていたのは荷馬車2台と人の運搬2台と主の馬車の5台での商隊。護衛が24人居たそうだが10人にまで減っており何故か護衛が全て奴隷で冒険者は一人も居なかった。

 襲ってきた奴らは身なりの粗末な盗賊だ。一応死体を処分するとしているが、俺が殺した奴のカードは俺が回収した。こういった場合の盗賊の換金は倒した奴の物だ。

 只解せないのは全てを殺したのと、後ろの馬車も護衛が20人位で全て奴隷だが、加勢しなかった事だ。


 俺自身がこの世界の事情に疎いが、有利になったとみるまでこちらに来ようとしなかった。


 襲われていた方の主人が御礼を言いに来た。

 商人と言うよりは、どこかの私兵を束ねていそうな感じの鍛えた体の奴で、何でも次の街と手前の街で荷物の運搬を生業にしているという。


 2つの商隊は一緒に動くという。

 俺達に護衛をして欲しいと取引を申し出てきたのだが、対価は金貨100枚と結構大判振る舞いだ。皆と相談してみるもお任せしますとしか言わなかった。

 こんな時にクレアが居ればなとつくづく思い、彼女の存在は俺が思う以上に大きかったのだと痛感させられた。

 偏りをしないようにと思ってはいるが、実際は偏りが出ている。フレデリカ、クレア、セレナそしてトリシアだ。シェリーとナンシーは結婚したから別だが。基本的に鍛えている女性が好きで、訓練等で一緒に過ごす時間が多く、感情移入が大きくなってきている。


 護衛を断るのも可笑しな話しであるので、受託し、前金は金貨50枚だ。


 30分位進んで一旦昼休憩として、1時間位休んでから出発した。その後は夕方頃までは時折盗賊か何かの斥候の気配がするが馬車の台数からか襲われる事は無かった。


 夕方になって野営を行う事となったので、俺達もテントを一帳張り、食事はこんな時用にと食材を鍋で煮込むだけのを準備しており、簡単な鍋を食べた。

 途中のトイレも野営場のトイレも面倒くさかった。商隊から外れた藪にこっそり行きトイレ小屋を設置し撤収するからだ。


 食事時に酒を誘われたが、任務中は一切飲まないとして断り、早々にテントに入り休む事にし見張りは各々で行う事として、俺達は二人一組で3班体制にする。

 シェリーとセレナが最初、俺とウリアが2番手、ナンシーとミザリィが3番手だ。


 俺はテントで横になると直ぐに寝た。

 暫くして口付けをされている気配で目が覚めた。セレナがそんな起こし方をしてきた。


 こう言う野営では真面目にするようにとデコピンして見張りを替わったのだが、俺の所は他の見張りから見えないので、ついついウリアといちゃいちゃしてしまったんだ。なんか背徳感が・・・・ セレナに真面目にと言っているのに俺はあほな奴ではあるが、まあキスしたりバグする程度ですよ。だから許して下さい。


 途中で厭な予感がし出したので、ウリアに4人を起こしてゲートで屋敷に戻して装備を着けさせた。

 4人はテントの中で待機だ。

 見張りが後30分で交替となった時に異変を感じた。

 商隊の奴らが俺達を囲み始めており、人数は商隊の人数その物で人数から商隊の連中で間違いないと確信した。

 10分位で包囲が完成して矢が前触れも無く突如飛んできたので剣で弾くとそれを合図にしたのかのように一斉に襲ってきた。


 あまり強くなかったのであっという間に倒しきった。

 5人程捕まえたので尋問しようとしたら、突如苦しみだしあっという間に死んでいった。首輪はしていなかったが、奴隷のようだ。恐らく捕まったら死ぬとされていたのだろう。商隊の主は両方共に奥歯に仕込んだ毒で自殺していた。離れている所に誰か居たようだが程なく消え失せた。


 死体を収納して馬車を屋敷に連れて行き、俺達も屋敷に戻り屋敷で休む事とした。

 しかし俺は戦闘後の滾りを抑えられず、荒れていた。

 そんな中ナンシーがウリアを連れて俺の元に来て今から手荒に扱ってとナンシーに懇願され、ウリアにも断りを入れたらウリアも赤く照れながらも了承した、もとい懇願さえしてきた!二人を手荒に扱い、3人共満足しやがて疲れて寝ていった。ウリアも恍惚とした表情で喜んでいたがナンシーはどうやって同士を見つけたんだろう?とふと思ったのだ。しかしまさかウリアもドエム属性だったとは・・・・・

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