第107話  転居前之最後の食事

 ふと気がつくとセレナ達が馬車で移動する準備をしているのが見えた。

 昨夜はクロエに刻印の儀式をしているので寝る前の念話は控えていたが、皆疲労の色が見えるものの、着々と先を進んでいる様に見えた。


 今日こそはセレナさんの手を握りたいと思っていると隣りで準備しているナンシンー嬢が「キャッ」と短い悲鳴を上げていた。何か柔らかい物を揉んでいる感じで、ナンシンー嬢を見ると胸がたぷんたぷんと上下に揺れていて、俺が揉むのをやめると動きが止まったので神の手はナンシンー嬢の胸を揉んだようだが、何となく覚えのある感触だった。

 短く念話を送る事にした


「こっちでギルマスが妻になり第2と第3王女とカービング帝国第1王女を娶る事になり俺は王になる幻覚をみた。日本人一人保護した。ごめんね」


 念話を止めたがまだ手は出ていて、ナンシンー嬢が手を探り当てて握ったのでしっかり握り返したら時間が限られていると理解しているのか簡潔に話してきた。


「話に着いていけないけど、ランスがする事だから意味があると思うし信じてる。ランスなら国の一つや二つは治めても不思議じゃないよ。ランスの手の感覚だね。愛してます。皆無事です」


 限界が来たようなので一瞬強く握り緩めると姿が見えなくなり、同時に手も消えたのだった。どうやら見えてる時しか神の手は出ないようだ。


 目覚めると朝でクロエは既に目覚めていたが、俺が何やらしているのを不思議そうに見ていた。


「おはよう愛しい人」


 とキスをしてその細い体を抱きしめた。

 普段は大きな存在に感じるが、俺だけの時は仮面を脱ぎ捨てた本来のしとやかな可愛らしい女性に戻るのだ。

 昨夜の痕跡が残っており、真っ赤なクロエは保護欲を掻き立てる。嗜虐心が少し出ていてわざと残していて見つめていたんだけどね。


「おはようランス。やっと貴方の妻になれましたわ。愛しております」


 クロエは普段と喋り方も違っていたのだ。


 先程何をしてたか話すとクロエはアドバイスと言うよりも考察をしてくれた。


「神の手は見えている所であれば距離に関係なく発動するのではなくて?」


 そう言われてい今で夢の世界に居るときにしか無理と先入観から決めつけていて試して無かったが、思い込みにより考えていなかった考えだった。

 試しに神の手でテーブルの椅子に掛けてあるクロエのナイトガウンを掴もうとしたらサクッと発動して掴めて、クロエの前まで持ってきた。

 その様子にクロエは絶句していた。それは服だけが一人で宙を浮いて飛んで来る感じだからだ。 これで練習ができると嬉しかったのだか不思議なのは距離が関係ない事だ。恐らくリアルタイムで見えてさえいれば発動するはずだが、ナンシンー嬢は睡眠中しか見えないのがもどかしい。ちゃんと見えて紙に書けたら念話よりも話が伝えられるのだがと溜息をしていた。


 志郎は能力を使いこなしたいのだが、見る能力も思い込みから自ら能力に制限をかけているのに暫く気がつかないのであった。


 クロエにはまだこのギフトに関しては秘密にしてほしいと頼んだが、


「いいわね!二人だけのいけない秘密って。志郎の事だから、悪戯で誰かのおしりを触ったり胸を触るのでしょ?うふふ。いけない子でちゅね!」


 とからかわれたので、神の手を発動して


「じゃあご要望通りもみもみもみもみマッサージ♪」


 と歌いながら神の手でクロエの胸を揉んで、その形が不自然に変わる様子を涎を垂らしながら観察していたのと、クロエは複雑な表情をしていたのだった。


 そうこうしていると朝練の時間なので、服を着て向こうのクロエの部屋にゲートを出してベッドに寝かして、朝のランニングに出掛けたのだ。


 オリバーとセチア、ユリアと戦闘要員の4名が庭で待っていた。俺は頷き軽くストレッチをして皆を引き連れてランニングを始めたが、やはりセチアとオリバー、ドラゴニュート以外が遅れ始めたので少しペースを落として我が家の庭に来ていて今いるメンバーに


「今日からここが俺と君達の住む所だ。外壁の色は残念だが、2.3日後から塗装工事に入る。四人には明日以降で転居が落ち着いたら初心者ダンジョンに入って貰い、ステータスを上げてもらいたい。オークション奴隷の二人には今日は防具をちゃんと選び直して貰いたい。今渡しているのは講習と訓練の為だから、午後から買いに行こう。遠慮して安いのを絶対選ぶな。サイズが合わなければオーダーするんだ。俺は普通の奴とは違う。セチアからか聞いていると思うが、奴隷にこそ良い装備を与えるべきななんだ。それにより主人の生存率が上がる。その場に踏み止まれなんてのは馬鹿な命令以外の何物でもない。自らの首を絞めるだけなんだ。それと俺はいずれ奴隷制度を潰すのに戦争をする。君達には将軍になるつもりで頑張って欲しい。いずれ奴隷から解放する。それと首輪を外してなかったね。屋敷に入って外そう」


 全員が玄関に入り首輪が着いている二人の肩に手を当てて隷属契約を変更すると何時ものように首輪が外れ、唖然とした二人が首に手をやり、もはや首輪が無いのを確認して涙したのを見ると


「奴隷紋を刻んだから首輪は不要だよ。それと小遣いをやるから、今日は娼館にでも行き女を抱いて来い。何年も抱いて無いのだろう。それと俺のハーレム以外であれは屋敷のメイドでも出入りの業者だろうが恋愛は自由だ。冒険者の報酬の半分は上げるから犯罪以外使い方は自由だ。彼女を作り貢ぐも良いし、娼館に通うも好きにして良い。先ずは君達4人にはパーティーを組んでダンジョンに入る前に一旦レベルリセットをする。初心者ダンジョンを出る頃にはレベルは以前よりかなり低いがステータスは以前位になるはずた。聞いてるよね?」


 4人が頷いたのを確認して


「いずれボレロに向かう。その時に君達は護衛として一緒に来る事になる。基本的にボレロに居る妻達に合流したら君達の奴隷契約を君達の意思で契約破棄出来る任意契約に朝切り替えるから、身の振り方を考えて欲しい。残る場合も国元への帰省の為の休暇も出そう。それと昼から名前を付けるから考えて置いてくれ。元の名で良いならそうするから。それと人前で奴隷として行動しないでね。食堂では床に座るな。奴隷メニューを頼むな。そんな感じだ。転居が落ち着くまで暫く買い物が多いと思うからメイドや執事の護衛と荷物持ち等の手伝いも頼む。よろしくな」


 そうこうして屋敷に戻り男性陣は呼ぶまで庭で4人で手合わせをさせ、俺は女性陣を連れて風呂に入ったが、少し恥ずかしがるユリアを立たせて体を確認して


「やはり筋力はかなり落ちてるようだね。頑張って元の体力を取り戻そうね」


 やはり股間をガン見して寝ているのを確認してホッとしていた。


 風呂を上がるとセチアに4人に風呂を入り食堂に行くようお願いし、俺はクロエを迎えに行った。以外と元気で魔力が馴染むのが早いようで歩くのが普通に出来ていた。午前は休み、昼からギルドに行くと言うので了承し、食堂に行くのにお姫様抱っこをしたら恥ずかしがっていたが強引に連れていったが嬉しそうだった。


 席に座らせると既にいたアレイが何か言いそうだったので慌てて耳元に


「ちゃんと無事に勇者による刻印の儀ができましたかから、話題にしないであげてください」


 と伝えると握手をして涙してして頷いていた。


 そして皆が揃い朝食が始まり、今日から転居を始めるので、クロエとオリバー以外は荷物も殆ど無いから直ぐに移り、二人も家が近いから荷物の殆どを残して早目に移るようになると話していて、アレイ殿に祝辞を言われて朝食を終えた。

 午前の訓練になり、赤の屋敷の使用人達は戦闘要員達と屋敷を確認して、食料を中心に買い出しに向かったのだ。しばらくは料理人が居ないので料理の得意なメイドが作る事になったのだ。


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