第131話 逝くとは何事ぢゃー
「逝くとは何事ぢゃー馬鹿たれが」
と聞こえた気がする。何か狭い場所に閉じ込められている。
そして、燃えている。俺の体も。熱いとかそんなレベルじゃない。
火葬場で燃やされてるレベルだ。
ふと思い出す。
「やばい、隣にオリヴィアがいる」
ウォーターボールを自分に掛けて、アイスウォールを床に強目に出して、箱を、いや、棺を蹴破り、慌ててオリヴィアを棺から出して抱き上げる。
周りを強目に出したアイスウォールで囲む。
オリヴィアは生きているが俺もオリヴィアも酷い火傷だ。ヒールを強く念じて火傷を治す。俺もオリヴィアも服は燃えてしまって裸なのと、髪が燃えて無い。生きている様を群衆に見せたいが、俺のはともかく、オリヴィアの裸を衆目に晒すわけにはいかない!
ゲートを屋敷に出してまずは服を着ようと、屋敷に入る。
そして寝室にオリヴィアを連れて、クリーンを使う。
間もなくオリヴィアが目を覚まし、泣きながら俺に抱きついてきた。
「後でね。今は俺達の葬式をして、体を燃やしてたんだ。だから、俺達の復活を群衆に伝えるんだ。裸では出来ないから、何か着ようね」
俺は鎧を着る事として、ロードオブナイトを装着、オリヴィアも正装の女性用の鎧を装着した。
欠損修復をオリヴィアと俺の頭に使うと、髪の毛が伸びた。
二人共に金髪のロングだ。しかも輝いている。
オリヴィアによると、上位天使特有の髪と言う。
オリヴィアは正に正真正銘の女神だった。見た目も魂も神々しいのだ。
着替えも終わり、ぼちぼちアイスウォールも怪しいので、目配せして意思疎通を図り、復活ショーをする事にしたが、かなりにやけていたようだ。
「あー!!またまたーランスロット様は良からぬ事を考えていらっしゃいますね!!」
バレバレである。颯爽と復活ショーを演出し、皆を驚かすつもりだが、効果が思ったベクトルじゃないのはいつもの事なのだが、オリヴィアにこれからの事を伝えるも、二人共周りの反応が予測外と知るのはこの後間もなくだ。
それと俺はこの時ステータスを確認すべきだった。今までは何故か出来ない状態なのだが、どういったタイミングで復活するか分からないので、せめて毎朝位は確認するべきだったと痛感した。
つまり今この段階でステータスは見れたのだ。そして自分に起こった事を知る術があったのだ。
「じゃあ、奥様、俺達の復活ショーを行いますか!」
頷いたのを確認して、お姫様抱っこをして燃え盛る火の海に身を投じた。
幸いまだアイスウォールは持ちこたえていた。
俺はちょっと強めのライトを背中に唱え、飛翔をする準備をする。雷を自らに放ち、天に向かってかなり強いファイアーボールを放った。
そして飛翔を始めるが、いつもの1分限定で、2分のインターバルが必要なのではなく、別のスキルなのだが、この時は無意識で気が付かなかった。
オリヴィアをお姫様抱っこし、ゆっくりと回転しながら、上昇する。
群衆がざわめいた。燃え盛る炎に雷が落ちたと思ったら中が発光し出して、とびきり大きな焔が天に登ると、神々しい金髪の美女を抱えた男が上昇して来るのだ。
俺は先程まで俺を入れた棺の置かれていた祭壇に着地してオリヴィアを降ろした。
周りが静まり返っていて、聞こえる音は炎が燃えるバチバチとした音や、木が崩れる音だけだ。
皆何が起こったのか理解したのだろう。俺が生き返ったと。
誰ともなく一人が平伏した。それが引き金で一斉に平伏していく。
「あっ!これいかんやつだ。やり過ぎた」
隣でオリヴィアがジト目をしつつ、よりによって油を注いでくれた
「聞けーーーーい我らの民よ。我こそは天より遣わせりし、天使オリヴィアである。我らが主と共に一度は命を落としたが、予言にある通り、一週間の試練の期間を置いて無事復活を果たしたのだ。何人たりとも我らが主のランスロット様を殺めることは出来ぬ。我が主ランスロット様へ忠誠を誓うのだ!」
うわーオリヴィアってこんなキャラじゃないだろうと思いつつ、皆の前で格好良く演説を行う姿にドキッとしてしまった。
俺はアンタレスとキングの剣をクロスに掲げ、
「我が名はランスロット。ここに天使オリヴィアと共に復活を果たした!
我が民よ!我と共に生きるのだ!我はこの国の守護者なり!」
そう言うと誰かが叫ぶ
「皇帝ランスロット様万歳」
誰かが叫ぶとそこから一気に伝染し万歳が起こる。数分間それが続いてしまった。俺が呆然と立ち竦んでいるが、周りには堂々と仁王立ちしているように見えたらしいが、クロエを先頭に妻達が泣きながら駆けつけて、抱きつかれて壇上から俺は引きずられるように退出して、その後大司祭が奇跡がどうやら、救世主がうんたら言っていたような気がする。
そして俺は城の中に連れられていきます。そしてこの後、どうしてこうなったと唸る事になりました・・・
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