第132話 顛末

 どうしてそうなった!

 俺とオリヴィアは正座をしている。いや、させられている。


 鬼の形相のクロエに


「ランスううう!ここに座りなさい!オリバー貴女もよ。さっきのは何?私達がどれだけ悲しんだと思うの?何故念話の一つもしないのよ!わたううう」


 泣き出した。


「悲しませて悪かったね。緊急だったんだ。念話も試したが出来ず、もう駄目だと覚悟指したんだ。オリヴィアと・・・」


 俺は魔力の流れが変わってからの事を説明した。

 クロエに謝られ、皆に盛大に泣かれ、抱きつかれた。


 そして、立ち上がろうとしたら、気絶した。


 意識を取り戻すと、アリアのベッドで寝ていた。そして隣ではオリヴィアが呻いている。誰かが見守っている。


 覚醒と気絶を何度か繰り返しやがて朝になる。

 俺ははっきり意識した。覚醒したと。

 オリヴィアを起こし、ベッドの周りでウトウトしている妻達を起こした。


「心配かけたね。もう終わったよ。感じるんだ。アリア、ロトナ、父上と母上を呼んできてくれ。若しくはこちらから向かおう」


 俺の雰囲気が変わっている事を皆に把握したようだ。

 清々しかった。気分が良い。力がみなぎる感じだ。俺のも、オリヴィアのも心臓がきちんと鼓動を重ねている。


 オリヴィアにステータスを確認させたが、上位天使になっていると言い、おろおろてしていた。


「さあってどうすっかな」


 クロエが寄ってきて一言言う



「ねえランス、ちょっとここに立ってみて!オリバーも」


 そう言えば、クロエが少し小柄になったように見える。

 オリヴィアは変わらないが、神々しさ増したような気がする。

 俺とオリヴィアの前に皆が並んだ。皆を見下ろしているっぽい。どうやら10cm程俺とオリヴィアは身長が伸びたようだ。


 そして手を引っ張られ、姿見の前に立つと、俺の髪がなんと金髪になっている。


「えっ!どういう事?」


 どうやら俺とオリヴィアの髪が同じように金髪になり、俺も腰までのロングヘアだ。


「あ、あのー誰か、俺の髪の毛について分かる人いない?」


 皆首を振る。誰も知らないのだ。顔は変わっていない。


 俺は基本的にロン毛が嫌いだ。だから剣を出して切ろうとしたら、

 皆が必死に止めてきた。


「何やってるの!勿体無いじゃないの!」


 ロトナに怒られた。そしてロトナが懐から櫛を出し髪を梳かす。


「何これ!凄い!」


 皆が俺のやオリヴィアの髪を梳かすが、超サラサラで引っ掛かりがない。驚いていた。


 ふと俺は思った。身長が伸びたから服のサイズが合わない。クロエに服の事を聞くと、もうちょっとで服屋と靴屋が採寸に来ると言う。実はロトナが手配していて驚いた。


 そうこうしていると、アリア達の父と母が来て、挨拶をして元気になった姿を見て泣いていた。



 そして服屋と靴屋が採寸をしに来たので、黙って採寸をされていた。

 手持ちの服がないので、系列の服屋に行き、今着る服を買いに行った。

 オーダー服は時間がかかるので、既製服を購入した。それといつもの靴屋で今ある靴を購入し、調整してもらい、何とか旅に出る準備ができた。


 屋敷に戻り、俺はオリヴィアを伴い風呂に入る。

 オリヴィアの体を確認していく。大きくなった実感がない。どうも大きくなった比率が俺とオリヴィアは同じなので二人だけでいると背丈が大きくなった実感がなかった。


 オリヴィアの体を触っていくが、胸の感触も変わらなかった。

 そうしているとセチアが入ってきた。セチアにお願いして体を触るが、触り心地に変化がない。セチアに聞くもいつもの俺だそうだ。よく見ると、手の大きさは今までと変わっていない。セチアの胸を鷲掴みにして今までの感覚と同じだからだ。


 俺はしょうもないやつだ。掌の大きさが変わったかどうか確認するのに胸を揉まないと分からないのだ。アホである。


 セチアが何をしに来たかと聞くと、髪を切りに来たという。

 実は流さが揃っていないので俺とオリヴィアの髪型は余り宜しくなかった。髪が長いので、まずは洗うという。


 セチアは美容師の才能があり、タオ殿の屋敷に来てからは、オリヴィア、クロエ、知り合ってからは、三宝姫とクロエとアリア達の母親の髪のカットや手入れを時折行っていたと言う。

 意外な技術に驚いたが、王家の美容師顔負けの腕前であった。


 風呂を出てからセチアに髪をカットして貰い、見違えるような素晴らしいカットに感謝するのだった。



 今日はお開きになり、皆が俺に甘えてくるので、クジの順番で可愛がっていった。因みに寝る時はクロエとアリアが俺の横に添い寝してくれた。


 色々あった忙しい日だった。疲れからか横になると直ぐに眠りについたのだった。

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