第37話 本当の契約

 風呂場に行く前におやつタイムにした。

 先日甘味屋さんでケーキを買っておいたのがある。

 皆の前で収納から出すと驚いていたが


「ちょっとお腹空いたから皆でおやつにしよう」


 と有無を言わせない。

 奴隷達は遠慮するだろうから命令を出して食べさせた。皆泣いていた。


「有難うございます。幸せです。美味しいです」と。


 その後で一階の風呂場に向かい出す。玄関ホールに来るとナンシーが


「シェリー、ここで良いかしら?」


 とシェリーが頷き玄関に施錠されてるのを確認した。

 俺はシェリーの言葉に絶句した。

 奴隷を並ばせ俺達三人は階段を背に四人と向かい合っている。シェリーが


「分かっているわね?着ている物を全て脱ぐのですよ。ご主人様のご厚意で先程は貴重な甘味を振る舞って頂きましたが、普通の方はあのような事はされませんからね。」


 4人が一斉に返事をする。俺はシェリーは何を言っているのか理解できなかった。


「はい感謝致しております。」


 と言うや早、迷いなく下着すら脱いで、首輪だけとなった。俺は刺激が強くて思わず目をそらした。

 しかし驚いているのは俺だけだった。


「ではご主人様、風呂の準備ができていますので清めの儀式をお願いします。」


 と俺とシェリーを先頭に全裸の美女が四人、その後ろにナンシーが付いていく。異様な光景だよな。

 ナンシーに聞くと、しきたりで、購入した奴隷に着いた余計なものを主人自ら洗い流し、文字通り主人の物だと主張し、主人の色に染め直すとの意味がある。

 普通の事で驚く事では無いと言う。

 洗う事により、その奴隷に隠された不具合が無いか確かめる。これで異常や契約違反があれば返品出来る。

 清めの儀式を終えて書類にサインをしたら受け取り完了となり、返品が効かなくなる。大事な行為なので真剣にやって欲しいと言われた。

 俺は抗議した。せめて水着かバスタオルを着けてくれと。

 ナンシーとシェリーは話し合い、


「ではランスロット様は背中を流して下さい。後は私達が確認します」


 俺は仕方が無いので妥協した。背中位は健康状態のチェックの為確認する為と言い受け入れた。

 初対面の男に全身を洗われるって酷いだろう。俺には酷い仕打ちを行う事に耐えられそうに無い。美女の裸は確かに魅力的です。やっぱり触りたいが、欲望よりも精神が耐えられそうにない。罪悪感が半端ない。その


 風呂場に水着を着た俺とバスタオルを巻いたシータがまず入り、背中を洗う。痩せているが、引き締まっていてすらりとした体格で乱暴に扱うとすぐ壊れそうだ。触れた瞬間に電気がお互い走った。

 彼女が倒れてる俺に覆い被さっている画像が一瞬見えた。


 水着を着たシェリーとナンシーにバトンタッチし俺は外で待機する。俺は奴隷制度をよく分かっておらず、本来なら裸の女性を触り放題なんて夢のようだが、奴隷の儀式にまだ理解できておらず、行う事が出来る精神状態では無かった。心の準備が、奴隷と向き合い受け入れる準備が出来ていなかった。



 次の娘はフレデリカだ。

 やはり恥ずかしそうに入ってくる。

 ふと見ると手にはコップがあり、


「お疲れ様です。お水を」


 と恭しく出してきた。礼を言い一気に飲み干す。ぷはーと息を吐く。


 背中を向けてバスタオルを外した。そして背中を洗う。やはり電気が走る。俺に剣を捧げている幻影?が見えた。

 体は張りがあり中々しっかりしている。


「筋肉ばかりで恥ずかしいです。シェリー殿のように柔らかくなく、申し訳ありません。」


 と何故か謝まる。気になったので胸を隠すように指示をして前を確認する。腹筋を見て


「少し痩せているが、鍛えられた綺麗な肉体だよ。」


 と言う。恥ずかしそうにくねくねしてる。彼女の体は見事だった。無駄な肉がないがスラッとしている。脚も無駄な肉が無い。ちゃんと鍛えている。即戦力になりそうだ。


「そういえばお前俺に威圧かけてたろう。けしからんから揉み揉みの刑をくれてやる。ふふふ」


 と茶化すと彼女は涙目で土下座を行った。


「あの、その、その節は大変ご無礼を致しました。どのような罰も覚悟しております。ですがどうかお情けを。痛いことはどうかご勘弁下さい。」


 と泣きながら謝罪してきた。

 俺ははっとして配慮の無さに自身を呪った。彼女の手を握り起こしてそっと抱き締めた。


「ごめん。君が可愛いから少し意地悪しただけだ。配慮が足らなかった。今後の事で不安なのに。君には俺の守護者になって欲しい。どうか俺のパーティーメンバーとして共に闘ってくれないか?」


 と言うと


「そんな勿体ない言葉です。感謝してるんです。再び剣を振るえる機会を頂けそうで。ずっと変態貴族に犯され惨めに過ごすと思っていたのに、予測に反して、ご主人様のような常識有る格好いい方に出会えた事を感謝してるんですよ。」


 以外としゃべる娘にギャップを感じた。クールビューティと思っていた。


 俺は風呂場を出て行った。


 次にエリシスが来た。


「宜しくお願いいたさします」


 と呂律が回っておらず、震えていた。

 彼女は自信無さげにしていた。

 俺はおもむろに背中を洗いだした。

 やはり彼女も電気が走る。

 肌はすべすべして健康状態は良さそうだ。思わず


「ごめんね。不安だよね。大切に扱っていくよ。俺もドキドキしてるんだよ」


 と言った。

 エリシスはバスタオルを巻き


「こんな小さい胸でごめんなさい。何でもしますからどうか見捨てないでください。」


 と言うので、軽くでこぴんをする。


「ひゃいー」


 と、可愛く喘ぐ。彼女の表情は儚く見え保護欲を書き立てる。

「そんな事はないよ。君は素敵だよそら、自信を持って大丈夫だよ。」


 と彼女の事を絶対に守ると心に誓う。やはり惚れっぽくなっている。彼女は戦闘に向かないな。ある程度自衛可能となったら屋敷要員だな。


 彼女はばっと明るくなり笑顔を見せた。

 シェリー達に後を任せた。


 最後はクレア

 堂々と入ってきて


「宜しくお願いします」


 と優雅に挨拶をしてきて俺に背を向け優雅にバスタオルを外した。

 彼女には不思議と大きな存在に思えてくる。

 彼女の背中を丁寧に洗った

 肌はきめ細かくて健康状態は問題なさそうだ。


「逢ったばかりなのに怖くないのか?」


 と聞くと


「私の予知夢がランスロット様が運命の人と告げているのです。だから怖くないのですよ。」


 と言われ首をかしげた。


 早々に引き上げる。

 俺は皆が服を着てから全員に俺のステータスカードを見せ異世界からの転移者で有る事、それを秘密にする事を伝えたら皆泣き出した。


「ああなんて事でしょうか。こんな事って有るんだ。まさか勇者様の所に貰われたなんて」


 等と皆喜びの声を出していた。その後シェリーが


「今から行う事をよく見ていて下さい。」


 胸元の奴隷紋を皆に見えるようにし、ナンシーも同様にした。


 シェリーが


「私は今から一時奴隷じゃ無くなります。ナンシーも同じです。その後もう一度奴隷契約を行いますがご主人様は私達2人には自分から契約解除を行える様にして下さっています。私は解放奴隷ですしナンシーは一般市民です。ランスロット様の奴隷でいる間は成長がとてつもなく早く大きな成長が可能な恩恵を頂ける事が出来ます。


 その為私とナンシーは自らお願いして奴隷契約を結んでいます。よく見て下さい・奴隷契約解除」


 と二人して奴隷契約解除が行われて4人が何を行ったのか理解して驚いていた。

 すかさず俺はシェリー、ナンシーの順番で契約を行った。

 皆が驚いていた。


「ああ勇者様」


 と聞こえる。俺は四人に、


「今から奴隷紋にて再契約を行う。まずは首輪を外そう。」


 と言い、4人の胸元に奴隷紋を刻み首輪が外れたのを確認した。


 4人は泣き崩れた。フレデリカが


「ああ、まさか生きて首輪が外れる日が来るとは思いませんでした。身も心も全てランスロット様に捧げます。どうかお側にいさせて下さい」


 と他の3人も同じような事を言っている。


「いずれ主従契約になるように頑張って欲しい。いずれ解放奴隷の証としての奴隷紋を刻みたい。」


 と言い、皆におしゃれな服を渡して着るように指示を出した。


「これで契約をやり直せれた」


 と俺は呟いた

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