第140話  ダンジョン攻略へ

 気持ち良い目覚めだ。

 ユリアを抱き枕にしていたようだ。


 いや違う。俺が抱き枕にされていた。


 裸の胸元に抱き寄せられていて、心臓の鼓動を感じていたから、落ち着いていたようだ。

 脚でしっかりホールドされていた。


 声を掛けるも反応しない。いや、心臓の鼓動が早くなったから狸寝入りだ。


「起きないならペロペロするよ」


 起きない。仕方がないのでペロペロしたら


「キャーごめんなさい。調子に乗りました」


 ようやく起きられた。

 どこをペロペロしたかは内緒です。


 朝食を済ませて96階に進むが、拍子抜けした。ボス部屋だ。

 分かっているのは、部屋に入ると中央に光の玉が現れてから、ボスが動き出すまで20秒位掛かる。


 直径30m位の円形の闘技場の様な作りだ。そう、95階とそっくりだ。


 黙って奴が動き出すのを待つ必要はない。

 なのでアイスウォールで囲み、魔力を流して補強をして、中に熱湯を入れる。これで溺死だ。


 転移が終わり、ボスが動き出すと熱湯漬けだ。ご丁寧に蓋もしたのだ、何が起きたか分からぬまま大ダメージを受けて、溺死だろう。


 閉じ込められているボスは暫くアイスウォールをびしばし叩いていたが、やがてそれもなくなり、中が光って終わりを告げる。

 呆気ない。


 何が出たか確かめる前に倒したので、強敵かどうかも不明だ。

 俺はダンジョンボスキラーのようだ。

 シカゴに合いそうな鎧が出た。真っ黒のだ。ちょっとかっこいい。

 でも俺の鎧は如何にも覇者って感じで、アダマンタイトと違い神々しさが有る。


 呆気なかったので次に進む。


 97階もボス部屋だ。同じような部屋だ。


 扉を少し開けて、ボスの出没予測位置に強く魔力を込めたアイスウォールを展開して、予めファイアーフォールを中心部に発動しておく。


 そして俺達はボス部屋に入る。

 ボスの出没位置はドンピシャで出没と同時に焼かれていく。

 肉の焦げる匂いがし出し、もうちょいで動き出す時に熱湯を注ぎ蓋をした。

 そして少しすると、ボスが倒れた事が分かった。

 ドロップの黒鎧をオリンズに渡した。



 あっという間の出来事だが、魔力は余裕があるので先に進み、98,99階層もボス部屋のみであっさり終わり、いよいよ100階層だ。俺達は意気揚々と向かった。


 ここでも必殺技を試みる。

 しかし、相手が予想外だった。

 ドラゴンだ。西洋風の緑色した奴だ。

 大きさは体高10m位とデカかった。なのでアイスウォールを出したのより体が大きい。アイスウォールが体内に喰い込んでいて大ダメージを与えるも、ブレスを吐いてきた。

 俺は咄嗟にアイスウォールを強く出して防いだ。


 俺はドラゴンの上に飛び、アイスアローをとにかくドドドドドドドドドと連続発射してダメージを重ねていく。両腕を吹き飛ばした。そしてアイスウォールの檻を発生させる。

 但し、相手が相手だけにかなり強く魔力を込める。熱湯を注ぎ、蓋をする。魔力をアイスウォールに注ぎ込み続ける。


 どうやら尻尾で叩き続けていて、アイスウォールにヒビが入る。その度に俺も負けじと更に強く魔力を込めて補強していく。そして20分位で決着した。スキルを取得したが、ブレスだ。任意の属性のブレスを口から出せるらしい。


 流石の俺も魔力を使い過ぎてフラフラだ。男衆が支えようとするもそこは俺の意地だ、女性陣の方へ倒れ込む。誰かの胸に飛び込んだ形で意識を失った。


 後で聞いたが、俺が気絶した直後が大変だったと。俺が意識を失うとアイスウォールが消えて、熱湯が放出されて皆火傷を負い、オリヴィアが治していたそうだ。ドロップは魔石と、復活石だった。これは俺の死者蘇生と同じ効果を持つアイテムだ。オリヴィアが持つ事になったと聞いた。それとドラゴンシールド。俺が今使っている盾の比じゃない。

 防御力もさる事ながら、ダメージ反射50%だ。しかも右肩に装着できるからこれで両肩に装備できる。


 俺は意識を取り戻しつつあった。誰かの膝枕だ。

 夢を見ていた。子供のおむつを替えている。男の子だ。運が悪く出しておむつを外したタイミングでおしっこがぴゅーっと出てきて慌てておむつをお股に戻す。ぎりぎり間に合った。危なかった!もうちょいで絨毯がおしっこで汚れるところだった!たまにあるんだよね。おむつを替える時は気を・・・


 と夢で感じていると意識が覚醒してきた。誰かが頭を撫でている。


「子供の夢を見たよ。俺がね、おしめを替えているんだ。未来の子だろうか?それとも元の世界の子だろうか?」


 皆が慌てて涙を拭き始めた。


 ドロシーの膝枕だった。後で聞いたが、じゃんけんで勝ち取ったらしい。俺は1時間位気を失っていたという。

 今はボス部屋の隣だ。宝箱があり報酬のアイテムが入っていて、中が空間拡張された家と言うかシェルターだ。外観は岩だ。これが何か認識している人以外は岩としか見えず、安全にここの中で過ごす事が出来る。中からロックを掛けられるので全員入れば完全に雲隠れ出来る。

 因みに宝箱は、止める暇もなくホーネットが開けたという。


 中から玉を出すとボンっと音がして大きな岩が現れたと言う。

 俺が起きるまで岩と思い込んでいたと。


 扉を念じるとドアが開いた。中はリビングと食堂、風呂トイレ、居室4つと一軒家位の大きさだ。有り難い。


 そしてここが到着点だと分かった。ワーグナーのダンジョンより一回り大きなコアが有った。皆に戦闘準備をさせてコアを回収した。


 外に転移したが、特に何もなかった。取り敢えず王城にゲートを出して帰還する事となり、その前にクロエにダンジョン攻略無事完了と100階層だった事を伝えておいた。

 そしてゲートを出すのであった。





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