第334話 酔いそう
俺はホールに一歩足を踏み入れ、中を見た瞬間汗が出て、思わず直ぐに扉から一歩下ってしまった。
「お兄ちゃんどうしたの?」
肩車をしている女の子に問われた。俺は正直に話す
「だ、駄目だあれは。あかんやつだ。女性のフェロモンが強過ぎる。ああ、頭がクラクラして気絶してしまいそうだ。す、凄過ぎる!」
総勢210人位で皆見目麗しい女性が集っているのだ。若い女性特有なフェロモンがムンムンとしている。
おまけに何故か皆セクシーだったり、可愛らしい服だ。もえ〜!と叫びたくなるような美人でキュートな女性だらけなのだ。
俺は失念していた。ヒナタがそちら方面で出来る奴だと言う事を。
今着ている服は普段から着ている服なのだろう。ゴスロリや胸元が開けかけている着物姿、軍服、何故かミニスカポリス。コスプレとしか見えない服ばかりだ。モコモコな飾りに猫耳のカチューシャを着けた疑似獣人。似合い過ぎており、思わずあの中の誰かを抱きしめ、愛でたいと思う程に理性が飛び掛けた。
勿論男が女を抱く、それではなく、モフりたい方だ。うずうずしていた。無性にアンバーをモフりたくなった。アンバーには夜を共にする以外に頻繁に尻尾をモフらせて貰っている。
ホールにいる女性達の中には、奴隷オークションの時にオークションに出品されていた奴隷達が身に着けていたような、辛うじて乳首と陰部を隠す下着のみの格好や、水着姿の女性がいたりする。
トリシアが震えて
「ラ、ランス、可愛いいよ!凄いよ!もえもえ〜!」
と鼻息を荒くして早速被害者1号に頬ずりをしに行ってしまった。
俺は不覚にも珍しく狼狽えたのだ。圧巻だった。
そして腕を組んで来ているメイドさんに胸を押し付けられ、その感触に浸っていると、後ろから体当たりをされた。殺気が無いから気が付かず、一気に中に連れ込まれてしまったのだ。
情けない格好でよろめきながら中に入り、仁王立ちしてこちらを向いていたショートカットできりっとした男勝りな麗人な感じの20代半ばと思われる見事なプロポーションな女性の胸に飛び込んでしまった。
と言うより、俺を待ち構えていて俺を抱き止め、その見事な胸に頭を押し付けていた。
突き放すのは簡単だが、加減が難しい。多分怪我をさせてしまうから引き離すのは諦めた。しかし中々良い感触だが、胸に圧迫されてしまい息ができない。
周りから
「きゃーお姉さま積極的です!」
そんな声が聞こえて来た。
俺は藻掻く素振りをしていたが、真っ青になったヒナタがその女性の頭をこつき
「何をなさっているのですか?御主人様がお困りじゃないですか!」
「違いますよ。私が男の本性を暴いてやります。紳士なんているわけが無いのですよ。どうせこの男も私の胸を揉んだりするのですよ。ほら、涎を垂らしてだらしない」
「違いますよ!貴女が御主人様を拘束するのに抵抗なさらなかった為、貴女の胸による圧迫の所為で窒息していて、まさに気絶し掛けているのですよ。涎じゃなくて泡を吹かれているのですよ!この方は貴女を傷付けずに引き離すには力が有り過ぎています。貴女に怪我をさせずに引き離せないから抵抗せずに大人しく圧迫され、息が出来ないのですよ。紳士だと言ったでしょ。気絶しそうよ。離して差し上げて!」
「うそ!確かに私の体に何もして来ない!何でなの?。じゃあこれじゃあどう?ほら坊やおいで、チュウチュウしても良いのよ」
その瞬間俺はばぶうと唸りながら、その女性が挑発的な態度で顕にした乳首を必死に吸い出した。またもやバブリモード発動である。
そう、よりによって大勢の女性達の目の前で、赤ちゃん返りという醜態を晒しながら、意識を手放したのであった。
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