第148話 準備

 朝目覚めるとナンシーとシェリーに挟まれていた。


 二人はずっと泣いていた。

 ナンシーは皆のリーダーとして重圧に耐えてきたのだ。シェリーは第一奴隷として皆を叱咤激励してきていた。

 そんな様子を見ていた仲間達が、二人に添い寝を譲っていた。


 昨夜、水樹のドレスが無い事が分かり、急遽ワーグナーの屋敷に仕立屋を呼んで、水樹を連れていった。


 ルシテル、水樹の二人の分を急いで一着づつ作って貰う。金貨500枚を払い徹夜でお願いしたら、あまりに高いお金を頂いたと感謝された。

 採寸後に急ぎ靴屋に連れていかせ、店に有る靴をなんとか調節して、体裁を良くする。



 他のメンバーのドレスは俺の収納にあり、各自に渡している。


 殆どの者はドレスの存在を知らなかったから、俺がいつの間にか注文していて、あまつさえ持っていたのだ。

呆れる者、崇める者、皆それぞれの感じでの受け取りだった。トリシアは相変わらず、婚姻の証だねと言っていたが。


 寝る前に寝室を抜け、セレナを連れてルシテルの所に向かった。

 予め顛末を話していてはいるが、いきなり明日ご対面よりはましだろうと。


 案の定セレナはルシテルの顔を見や否や、いきなり平手打ちだ。

 ルシテルはルシテルで平手打ちを喰らった後、土下座して謝っている。



「あースッキリした。もうこれでいいや。痛かったでしょ?ごめんね」


 俺とルシテルはポカーンとなっていた。


 後で聞いたが、殴るのはルシテルの為だと。何もされないと罰を受けていないからと引け目が残るから、何かしないとだから、平手打ち一発にしたと。

 既に小便事件を聞いていて、溜飲は下がったと。


 それと、俺と会えたのは結局の所ルシテルのお陰だと、複雑なんで、もういいやとしたと言っていた。


 セレナはルシテルを起こして抱きしめて頭を撫でていた。

 因縁が有るのは俺とセレナだけだ。


 お互い抱きしめあい、泣いていた。その後はやたらと仲が良かった。


 驚いた事に、今日は同じ布団で寝るという。確認したい事があると言っていた。


 セレナは何か有ればカービングに行くからと、俺は二人にキスをして別れたのだ。


 まあ、寝てる間に色々合ったようだが。



 部屋に帰るとナンシーは何か準備をしていたが、慌てて隠していた。

 気になるが、見なかった事にした。


 そしてもう一度愛を確かめあい、寝たのだった。



 そして時間は戻り、朝食を食べてセレナを伴い、ボレロのダンジョンに行った。魔物がやはり涌き出していたので、アースウォールで入口を塞ぐ。


 セレナに聞くと、街に着いて直ぐに、ダンジョンの話があまりに有名で、念の為にダンジョン入口まで皆で行っていたと。これで暫く時間が稼げれる。


 そして屋敷に戻り、式典の準備に入るのであった。

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