第69話 セレナ・デイ
朝食を終えて今日の予定をどうするかとの話になった。
引き続ききのう買い物出来なかった者をシェリーに連れていって貰う。
今日は朝一番でギルドマスターに俺が呼ばれている。セリカの事もあるので一緒に行く。どうせならこのままデートにしゃれ込む事にした。
セリカに言うと嬉しそうに頷いていた。待ち合わせ等をしたかったが、セリカを単独で行かせられないのでギルドを出てからがデートとなった。
買い物に行かないメンバーはセバスチャンにお願いして戦闘訓練を行う。
ベテランだけあって、スキルやステータスに頼らない戦闘だと俺よりも遙かに強い。
幸い庭はかなり広い。
武器も渡す予定のをそれなりに置いていった。
ギルドに行くとナンシーが迎えてくれた。
要件は二つあった。
一つは先のダンジョンの件。コアを見せて納得してくれた。
周辺の異常な魔物の出没も説明がついた。
もう一つは明日から2,3日掛かる依頼あると言うのだが、ここから2日掛かる街に盗賊が多く出て、被害が急増して無視できない被害になっている。餌の商隊を送り込むので街への護衛任務か、単独での討伐をお願いされた。
隣町と更に隣の街の間に大規模な盗賊が出始めたと言うのだ。
俺は自らの馬車で囮になり退治する事を選んだ。
ブラックオニキスとブラックスワン、ムーンストーンのシータとエリシスを除いた面々で行くとした。
ダンジョンの査定は後日。
ブラックスワンも俺達も皆を最低でもCに上げる。俺はダンジョンの分でSに。ナンシーとシェリーもAになる。他のメンバーもダンジョンを入れるとBだ。悪くない。
シータ達も参加者扱いにしてくれる。
ギルドを後にしてシェリー達買い物組以外は食料調達だ。
ギルドを出たのでセレナとのデートになる。
仲良く腕を組み、俺は街を案内する。
特に目的はないのだが、それが良い。
途中アクセサリー店を見つけて中に入り商品を見た。
一際輝くネックレスが気になった。
アメジストとエメラルドの大粒のネックレスだ。
エメラルドが気になり100万Gと言うが買ってしまった。
セレナは誰に買ってるのか分からない感じだった。
ネックレスを包んで貰い、店を出る。
昼頃なので、昼食を食べる店を探す。
見えたのは男性単独お断りの店だった。
セレナが気になったと言うので、セレナを先に行ってもらい店に入る。そうしないと入れないからだ。
奥の席が空いていて席に座った。
しかし、問題が発生した。
そう、二人共メニューが読めないのだった。
日替わりがないか聞いたら有との事で、二人分を注文した。
弁当を作れないかと聞くと、容器代を追加すれば可能と言うので、11人分を先払いで注文した。
セレナとの食事は楽しかった。
主に俺の日本での仕事の事を聞いてきた。
途中で話が詰まってしまった。
部下の名前が出てこない。
気がついたらセレナが俺の顔を拭いていた。
どうやら涙が出ていたようだ。
弁当を受け取り、店を出て少し歩くと人気の少ない高台を見つけた。そこに有ったベンチに腰かけて、俺の事を正直に話した。
45才で既婚子供ありと。
召喚の実態から既に帰れないと確信していて、こちらに骨を埋める覚悟をしている。
それでハーレムを構築している。万が一強制送還されても困らないようにナンシー達にお金を預けている。
だから皆と関係を持ったのも遊びや騙してではなく本気だ。
等と言っていると抱きついてキスをしてきた。
「ごめんなさい。私ね志朗の事を誤解してた。ハーレムを作るムッツリスケベだなと思ってたの。18なのにおっさんくさいなーって。大人だなーって。酷い事をさらっとするなって。でも理解できたの。志朗って殆ど笑わないなって。背負ってる物が大き過ぎて責任感が人一倍強い。あっちはでは部下の10人とその家族の生活の責任を背負ってたのね。だから自分を圧し殺して耐えてるのね。ちょっとスケベだけど」
と俺の手を握りしめ
「今もナンシーさん以外の20人以上の命を救い、生活に責任を負ってるのね。私には無理だわ。自分の面倒すら覚束ないんだもん。ねえどうしたらそんなに強いの?私にもその辛さを負担させて!」
と、言われ俺は彼女に抱きついてお腹だったか胸の中かでみっともなく大声で泣いた。
「辛かった。何度も死にかけた。皆が俺を頼る。何とかしないと誰かが死んでしまう。そんなの嫌なんだ。誰か助けてくれ。おおおおお」
暫くする彼女の太股を枕に気がついた。彼女の服を涙で汚してしまい、泣き疲れて寝たようだ。そっと頭を撫でてくれていた。
「セレナありがとう。ごめんな、服を汚したね今クリーンをふがごごご」
彼女が口を塞いできた。唇で。首を横に振りクリーンを拒否してきた。
ありがたかった。俺の魂の叫びに気づいてくれる人が現れた。
心の底からセレナを愛してると魂が欲していると理解した。
落ち着いてからは彼女の部活の事を聞いた。なんでもインターハイでベスト8まで行ったそうだ。
尊敬した。
夕暮れになってきた。
知らなかったがここもデートスポットで、ベンチは街を見下ろす感じで他のベンチにも恋人達が一時の逢瀬に黄昏ていた。
夕焼けに赤く染められた街は幻想的だった。
改めてキスをし、セレナが俺の手を心臓の辺りに当ててきた。彼女の胸は柔らかく、温かい。そして鼓動が力強く早かった。
『もみもみしなかった俺は聖人だよね!偉いよね』
と、あほな事を思う余裕が出てきた。しかし彼女は鋭かった。
「あー!志朗ってばまた私の胸を揉もうとしてたでしょ?わかるんだから。んーもーエッチなんだから」
と胸に置いた手をギュット握ってきた。
そして俺は彼女を立たせて、ひざまづき、懐からプレゼントを出した。
先程のネックレスだ。
こちらの世界では結婚の申し込みに指輪ではなくネックレスを送るのだそうだ。指輪は魔法の補助具が多いのが理由だ。
彼女の手を握りしめ
「私こと藤久志郎は汝淑女にして聖女、如月 瀬利佳嬢に我が生涯の伴侶、魂の理解者に成らんとする事をここに申し込む。俺の妻となって欲しい」
そう言い、ネックレスを渡した。
セレナは驚いて何を言われたか分かると俺をそのまま抱き寄せた。
「はいお願いします」
そうセレナが答えると、いつの間にか周りにいたカップルが口を押さえていたり、動向を見ていたのだが、プロポーズが成功したので周りから拍手と、おめでとうの声が聞こえた。
彼女はネックレスを取り出し、それが先程俺が買っていた高価なネックレスであると知ると口を押さえて泣き出した。
俺に手を差出し後ろを向いている。
ネックレスを受け取りその清らかな首に装着した。
宝石をうっとりと見つめて
「志朗、ありがとう。大切にするね」
そう言うと、周りにお辞儀をしてその場を引き上げ、我が家へ帰っていった。
帰宅すると皆が出迎えてくれた。
玄関先でナンシーはギルドの制服、女性陣は皆、ちゃんとしたメイド服た。
男性陣も執事服を着ていた。
『いつの間に揃えたんだ』
と思いつつ
「ただいま」
そう言うと女性陣からざわめきが起こり、
「聖女様おめでとうございます!」
刻印メンバーが一斉に言う。
セレナは涙しながら
「ありがとう!」
そう言うと皆が拍手をしてくれた。
その後用意された食事を食べた。
料理人をしていたというだけあって、とても美味しい。
明日からの分の弁当を作るのをお願いして、2、3日は依頼でここを離れる旨説明して、ニーベリングにダンジョンを、シータとエリシスに留守を任せると話をして、馬車小屋はゲートポイントにする事を説明し、ニーベリング以外のダンジョン組のレベルをリセットし解散になった。
今日はセレナが添い寝。
暫く他愛も無い事を話していたが、スケベだけど、スケベモードが出ないまま眠りに落ちていった。
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