第235話 調査2日目

 俺達が調査を開始したのは元々目指していたクロム国であった。我が大陸に一番近いからだが、俺はちゃんとそこに着いていた。街の名前から分かった。


 寝起きにベッドの中でクロエを抱き締めながら話をしていると王都へ向かって見てはどうかと言う。地図がないが街道沿いの札を見るなりすれば、街道を進めば何とか着くだろうと。


 そうして取り敢えず裕美を抱っこしゲートできのうの街へ行く。

 やはり何も変わらないので街道沿いを進みついに街道が交差する所に出た。

 時折セレナを呼んでは戻しですすむ。

 交差点ではドロシーを呼んで方向を確認したが分岐の案内で王都の向き(方向)が分かり、二人を返した後裕美と向かう。


 裕美が

「魔物の一匹もいないなんておかしいわね」

「だよな。いくらなんでも変だよな」


 そんな事を話していたが、程なく王都に着く。

 早速城壁の中に入る。やはり誰も居ない。セレナや遠征組を呼んで調査開始だ。

 今回ドロシーとを連れてきた。城の内部を見る為だ。


 一通り街を見るもおかしな所が無い。今まで避けてきたが民家を見る事とした。

 不思議な事に内側から施錠されている。施錠と言っても大げさな物じゃないし、力任せに開けようとすれば開かなくはない。但し大きな音が出るので、住人が寝ていても目が覚めるので十分機能している。

 施錠がされていない家もあるが、構造的に鍵を使って外から開けられないのだ。

 玄関ドアのドアガードやチェーンなんかがそうだが、中からしか外せない。

 こじ開けた跡もない。どうやって外に出たのか不思議だった。


 布団を見るとそこに誰かいてもおかしく無い感じで畳まれていない。

 何軒か手分けして確認したが、やはり布団は使用中としか思えない状態だ。

 更に多くの民家でこれから洗濯するであろう脱いだ服やら下着が籠などに入れられていて、洗濯待ちな感じだ。そう、生活感があった。


 更に厩舎をよく見ると枯れ草が積まれている。正確にはどう見ても飼い葉を置く場所に置かれているのだ。確認すると飼い葉が枯れたのだろう。そんな感じの草だった。

 更に調査を皆にさせ、俺と裕美は漁村に戻り、その後海沿いに飛んだ。間もなく港町に着いた。セレナに転移ポイントを取得させ、王都で調査している中から半分を呼んだ。半分はドロシーとルシテルの護衛をお願いし、城の調査だ。


 俺が半分こちらに連れて来たのはジャックナイフ国の船が停泊していたからであった。


 船の中を見るとやはり人はいない。陸に上がっていたからか?


 埠頭には船からのロープがしっかりと巻き付けてあった。船に荷は殆無く、交易品を降ろしたタイミングのようだ。


 近くの倉庫の中を見ると船から降ろした荷物が積まれていて、中には食料もあった。

 思う所があり最初に見た街の武器屋もう一度を見ると武器が殆ど店頭に無かったが、前回見なかった倉庫を見ると多くの武器があった。

 まるで毎日夜には倉庫にしまい、朝並べ直しているという感じだ。

 宿屋も行った。厨房でなくもっと奥の倉庫を見ると多くの食材が並んでいる。日持ちしないのが腐っていた。


 俺は思い違いをしていた。

 宿も全部の部屋を見てなかったが、未調査の部屋を何部屋か見ると宿泊者の装備や服が見つかり、布団は畳まれていない。今まで寝てましたという感じの布団の感じだ。そう、民家と一緒だ。


 そうしているとルシテルより急ぎ王城へ来るよう緊急連絡が来たのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る