第268話 魔王との戦い

 俺はライトソードを出してそいつに近付く。

 奴もやる気満々だ。

 俺が階段の所に着くと奴は階段を降り始めた。

 そしていきなり魔法を発動するも俺の装備のヘルムは攻撃撃反射だ。というかビームに変換してお返しだ。

 上段からの攻撃をヘルムで受け熱戦が放たれる。


 奴は慌てて躱す。

 俺はお返しにアイスボールをしこたま放つが、ファイヤーボールで消されていく。

 一瞬にらみ合いになる。近くで見ると日本人のようだ。それも10代、そう高校生位だ。


「どうやら日本人のようだが、お前の悪辣ぶりは度を過ぎた。日本人とは言え討伐させて貰う。大人しく降伏するならば命だけは助けてやる!お前では俺に勝てんぞ!真の勇者には敵うまい」


「へええ!お兄さんが勇者?何人だ?見事なパッ金だな?フランスか?あそこの毛も金か?後で確かめてやるよ!けけけ。しかしやたらでかいな!ばかにしてるのか?降伏なんかするかよ!?力ずくで来いよ。この世界は楽しいぜ!俺の配下に加わるなら女も取っ替え引っ替えでいい思いができるぞ!」


「同じ日本人として情けを掛けたが無駄だったようだな。俺は既に30人以上の妻を持っているよ。お互い愛し合っていてな。お前はやり過ぎた。死んで悔い改めるんだな」


 俺はライトソードで切り結ぶ。

 奴は魔法を放つのに詠唱を必要としていたが俺はその暇を与えない。

 恐らく強力な魔法を持っているのだろうがそうは行かない。

 それに俺はダンジョンでゲットした、貴重な魔法無力化の使い捨てアイテムをたった今使った。奴が魔法を使えると分かったからだ。


 簡単な魔法なら魔法名で行けるはずだ。しかし発動しないので焦っているようだ。


「悪いな。俺も使えなくなるが、魔法禁止のアイテムを使わせて貰ったよ。剣で来いよ」


「糞があ!ふざけんじゃねえぞ!魔法使えないって何してくれるんだよ!しゃあない奥の手を使うぜ!お前の奥さん俺がヒイヒイ言わせてやるよ!」


 剣でがむしゃらに向かってきてかれこれ30合位打ち合った。スキルが謎なので迂闊にせめないが


「そろそろ死ねや!」


 そう言い転移してきた。俺は予測をしていてアンタレスを前に出し、俺の後ろにライトソードを出しておいた。そして奴が見事にライトソードのある所に転移した。

 丁度心臓の所にライトソードが刺さり、奴の心臓を破壊し、俺のライトソードも爆散し消えた。消えたと言っても再度顕現させれば出るのだ。


「甘かったな。転移程度は俺も持っていて想定済みだよ。死んでお前のせいで死んだ者に詫びるんだな。もう1,2分で意識が無くなるぞ。魔王とはいえお前弱いな」


「く、くそが!ぐふ。俺が、俺が死ぬなんて!嫌だ嫌だ!奴の言う通りにしただけなんだ。頼む殺さないでくれ!助けてくれ!それに俺は魔王として召喚されたけど、ボスは俺じゃないんだ!俺はなり損ないなんだ」


「他に魔王がいるのか!?それはそれで、お前がした事は許される事じゃないぞ?」


「俺は逆らえなかったんだ!命令だったんだ!俺はまだ童貞なんだ!直接女とやるのは勇者を殺すまで禁止だったんだ。せめて死ぬ前にやりたかった・・・ふうふうふう。くそがあ」


 そう言って奴は息絶えた。

 奴から奪ったスキルは結界魔法だった。これを使えば俺達の大陸も安泰だ。


 俺は奴の最後の言葉に項垂れた。こいつが魔王じゃなければ魔王は何処にいるのかと。

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