第129話 オリヴィア
オリヴィアと夜の散歩に出るが、今までにした事がない場所に行く事とした。城の頂上へ飛んで行き、頂上の屋根に乗ったのだ。現在俺がこの国のトップだ。例え誰かに発見されても罰せられる事は無い。
本来城の屋根に修理作業以外で登るなんて許されない。
いけない事をしているのだが、景色はとても素晴らしかった。二人でその背徳的な景色を堪能している。
オリヴィアにネックレスを渡し、箱を開け、中身を俺に渡して後ろを向き、首を向ける。首にネックレスを着けてあげると、喜びで泣いていた。
そのまま屋敷に行き、一緒に風呂に入るが、清めの儀式を忘れていると指摘された。誰に言われたのか、いつの間にか刻印の儀式の前に清めの儀もする事と聞いているようで、行わないと不安になってしまう為、オリヴィアを丁寧に洗い、ゆっくり湯船に浸かった。
風呂を上った後はオリヴィアの部屋にゲートで入った。
オリヴィアは神々しかった。流石に天使だというだけあり、魂の輝きが違う。
俺もちゃんとした服を着て、オリヴィアもドレスを着る。タオ殿と奥方、改めお母様にこれからオリヴィアとの儀式を執り行うと報告をした。
お母様は泣いて喜んでいた。
挨拶のあと、オリヴィアをお姫様抱っこして部屋まで連れて行くのであった。
ベッドで下ろし、今一度意思を確認すると、刻印を希望した。
俺達はこの世界に俺が召喚された最初から関わりを持っている。俺の召喚時に一番最初に触れた相手なのだ。
俺はオリヴィアを愛してしまった。
オリヴィアも俺を愛してしまった。
本来人間と天使の恋、肉体関係を結ぶ事は禁止されている。禁止されているのには訳があるのだが、俺達は知らなかった。知るのは先の事だ。
刻印の義を始めるにあたり、キスをしたが、早々に理性は吹き飛んでしまい、熱烈に愛を確かめて一つになり、やがて眠りに落ちたのだった。
儀式を始めてから4時間が経過した時、突如俺達は目覚めた。
オリヴィアに聞くとまだ刻印が完成していないという。
そう報告を受けていると、俺の身体に異変が感じられた。魔力の流れが俺からオリヴィアに向かっていたのだが、逆になりだした。
つまりオリヴィアから俺へ魔力が流れてきている。
オリヴィアに刻印が刻まれた事を今、急に理解でき、オリヴィア自身も確認できた。まさにそのータイミングで魔力の流れが逆転したのだ。
魔力の流れ方がやばいので、手に巻いた紐を外すも何故か手が離れない。
魔力はこの接触している手から移動しているのだ。それも急激に、そう大量に。
俺達は慌てた。手を離そうとしても離れないのだ。
そうしているとオリヴィアは魔力が尽きて気絶し、それでも魔力の流れに変わりはない。俺は段々苦しきなってきて呻き始めた。そして体中が熱くなり、心臓の鼓動が徐々に早くなる。
「ヤバイヤバイこれ絶対やばい」
心臓が破裂しそうな勢いだか、どうにもならない。息が続かないし助けを呼ぶにも声が出ない。この魔力の流れを断たないといけないと思い、己の腕を切り落とす事を決断した。
ウインドカッターを使おうとするも外に魔力を放出する事が出来なかった。
収納から剣を取り出し、躊躇いもなく自らの左腕を切り落とした。欠損修復で急ぎ再生するも魔力の流れを断ち切れなかった。
やがてオリヴィアが口から血を吐き出し、心臓が止まった。
慌ててオリヴィアに触れようとすると、俺の心臓がついに破裂したのが分かる。慌ててヒールを強く唱えるも効果がなく、欠損修復を念じた。すると心臓が動き出した。
しかし、魔力の流れは止まらず、心臓の動きがまたもや物凄く早くなり、二度目の破裂となったのだ。
もう一度修復を行い、同じ事を繰り返し、何とか踏みとどまっていたが、
10回目程で俺の魔力が尽きて、遂に心臓が破裂したと同時にブラックアウトしたのだった。魔力がどんどん流れているがそれでも魔力が切れたのだ。
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