第83話 ボレロ王国到着と襲撃

 ボレロ王国に着くのには街を後二つ越えないと行けなかったが一つ目は1時間位で着いた。

 一応中に入り、俺とセレナの転移場所も確保して早々に出発した。


 昼前に昼休憩で馬を休ませて、更に1時間位でこの国の最後の街に着いた。


 軽く中を見て、先を進んだ。


 道中見られている感じはあるが襲われはしなかった。

 俺は装備をしっかりしていた。アダマンタイトメイルにオークキングの剣とアンタレスを背中に背負い、楯を左腕に装着している。二刀流を行おうと思えば出来る。ステータスにより身体能力が上がっているので、両手で剣を振り回せれるのだ。ベルセ〇クのガ△ツ氏の大剣は流石に無理だが、今なら身の丈を超える剣も扱えそうだ。


 途中皆の装備に魔石で強化を行い、馬車も中を広げていた。重さまで緩和できないので、人数が増えると重量の問題が出てくるので注意が必要となる。

強化した装備は都度渡して装備させている。


国境を超える辺りが、危険と判断している為だ。


 街の直ぐ傍に国境があり、両国の国境警備隊が両国の行き来の確認をしており、国境はちょっとした砦が両国にあって壁が長く両国を分断している。


 越境は主に犯罪者のチェックと名前を書くだけであっさりした物だった。


 30分位の手続きですんなりボレロ王国に入っていった。

 一旦直ぐ近くの街に入り、休憩なしで先を進んだ。街と言うより国境警備隊の為の村で、ここから3時間程度で大きな街が有ると言うので、先を急ぐ事にした。

俺達の馬車だと16時前には何とか着くだろう。


 隣国に入ると監視?の気配が無くなったのだがどうやら隣の国までは来ないらしい。


 途中トイレ休憩を行い先に進んで行く。

ボレロ王国は王都周辺は気候も穏やかで、ダンジョンも有り活気有る国で、バルバロッサとは犬猿の仲だそうだが、国の規模が似ている為に戦争には発展していない。

 バルバロッサ王都はボレロ王国寄りの為に1週間程度だったが、ここからボレロの首都までは馬車で3週間は掛かるらしい。


 そんなこんなと進めていると、無事目的の街が見えてきた為、俺とセレナで街道を外れた転移ポイントを確保してから街に入った。


 意外と大きく、王都は別だが、今まで見たどの街よりも大きかった。どうやらここはもう一本主要街道が交差し、計3国と近い事も有り貿易や街道の宿場町として栄えているようだ。


 予め皆に伝えているのは俺達の最終的な目標はボレロ王国首都。ここで屋敷を構えたいと思っていると伝えてある。


 噂によると水の都でも有り、先麗されたされた文化で治安も良いらしい。

 ダンジョンも街の近くにあり、元々ダンジョンの関係で王都を移したのと、冒険者にはやりやすい環境なのだ。


 魔物の住む領域に100Km位の距離と割と接しているので、依頼には事足らないと言う事もあり、冒険者は厚遇されているらしい。


 その為に先ずはここを目指し、可能なら根城にする。

 街に入りざっくりと周り、転移ポイントを確保して屋敷に戻るか宿を取るか相談を始めたらシータから救援を求める念話が来た。俺は手持ちの武器防具をほぼ出して、男衆にも強化した装備を身につけるように指示をして、更に厭な予感がするのでセレナに収納に入れている手持ちのお金の殆どを預けてシェリーとナンシー、フレデリカ、クレアにキスをして


「行って来ます」


 と一言言い、屋敷にゲートを繋げて入っていった。


 屋敷に着くと残っている全員が荷物を背負って待っていた。どうやらかなりの人数に、1000名は超えている人数に囲まれている。これはとてもじゃないが貴族の仕業では無く、俺を仕留めに来たか、セリカを確保しに来たかだな。ゲートを開き、皆の所に残った全員を送り出して最後に俺が入ろうとしたら、


「レジスット失敗」


 と聞こえゲートが消えた。

 もう一度ゲートを出そうとするも出ない。近くの街やギルドも無理だった。屋敷内はゲートが出る。馬車小屋にも行けたので、どうやら屋敷を中心として、外に対して転移系統の魔法が使えないようだ。俺はセレナとナンシー、シェリーとクレアに念話を繋げた。距離があるのと、人数が増えると魔力を大きく削られるから、人数を絞った。


 セレナも屋敷に飛ぼうとするも無理だという。

 俺はどうやら結界に閉じ込められた。かなり強力な集団合成魔法じゃないかと思う旨を伝えた。

 無理してこちらにくるなと頼んだ。


 俺一人ならなんとでも成ると思い


「皆に伝えてくれ。俺に万が一の事があっても決してこっちの国に探しに来ないで欲しい。奴隷を買うのも奴隷商の安全な転移ポイントにセレナの指輪をナンシーが装着してセレナは隠れれて、転移の担当のみを行う事。それとボレロ王国の首都を目指して欲しい。そこで俺の到着を待って欲しい。恐らく俺はいずれ王都に行くはずだ。聞いた町並みからするとそこに居る幻覚をセレナと触れた時に見ている。」


 と言うとクレアが


「先程ボレロの王都に居るべきと予知を感じました」


 と俺の話に割って入ってきた。


「もしすぐに俺が合流できなかった場合、ナンシーに代表を預けて、シェリーに副官をお願いしたい。そしてクレアの予知に耳を傾けるんだ。どうやら時間の様だ。愛してると」


 と会話の途中に一方的に念話も切られた。こちらも結界の影響のようだ。


 気配は屋敷の敷地にはまだ誰もいない。俺は有るとんでもないことを試みようとした。しかし


「冒険者ランスロットに告げる。お前が誘拐した勇者セリカ・キサラギ嬢の身柄をこちらに渡して大人しく投稿しなさい」


 と聞こえてきた。


 俺は答えず、馬車小屋から屋敷の建物のに向かい、辿りついた後、屋敷に壁に手を当て、屋敷全体、基礎も含め思い浮かべながら


「収納」


 と唱えると屋敷が見事にそこから消え失せた。当然俺の姿も丸見えになった。


 馬車小屋に急ぎ向かいこちらも収納してあっという間に更地にした。


 俺は


「S級冒険者と知って喧嘩を売りに来たのか?ここにはセリカという名の奴はいない。言っておくが敷地に入った者は何人で有ろうと敵対行動と見なし、この妖刀アンタレスの贄にさせて貰う。死にたい奴から掛かってこい。有象無象のボーイスカウトが何人来ようと驚異では無いぞ!」


 敷地内の一辺に大きなファイヤーウォールを出して、サラマンダーを唱える,敷地に入った者を焼き払う命令を出した。


 すると矢が一斉に飛んできてファイヤーボールで蹴散らす。

 俺は敷地外には攻撃をせず、ファイヤーウォールをあちこちに出して対応した。


 遂に門の所から突撃が始まった。俺は先頭にいる奴らの所に直径10m深さ3m位になる巨大穴を開けた。

 多くの兵士が落ちていき、落ちなかった奴に情け容赦なくアイスアローを撃ち込む。俺も右腕に矢が刺さったが抜き取りすかさずヒールを掛ける。


 屋敷の周りには既に数千人の兵士に囲まれている。試しに飛翔の魔法を使うが高さ20m位でドーム状に結界が張られ俺だけ突破できない。どうやらレジスト出来ず俺が個別で閉じ込められたようだ。


 穴やウォールを避けて抜けて来た兵士が攻めてきた。トマスの姿を見てしまい、少し切りつけて肩を脱臼させ軽い怪我を負わせ、更に気絶させた。これでこいつも単なる負傷者だろう。彼が居ると言うのは騎士団が動いたからだな。


 両手に剣を握りしめ切り結び死屍累々の惨状を作り出してしまった。なるべく殺したくないかが当たり所が悪ければ出血死しているだろう。

 俺も鎧や楯で防ぎきれず、鎧で塞がれていない部分に切り傷を負っている。矢も刺さった。


 いくらステータスが上がっても、肉体の強度はそんなに上がらないのだ。気を張れば新兵程度の剣では皮一枚切るのがやっと位で腕で剣を受け止めることが出来るが、寝ている時だと、娼婦に寝首を掻かれて殺される事も有りうる。


 一旦距離を置き俺の周りにファイヤーウォールを出して一呼吸置いた。そうすると向こうも一旦退き別の奴らが出て来た。


 高校生達だ。

 俺は威嚇の為にファイヤーボールをそこかしこに撃ち込み、クレーターを大量に作った。


 兵士が大量に突っ込んで来て、なるべく殺さずと思い手足を切る程度の為こちらも傷をどんどん負ってしまい、矢傷も受ける。遂に右目に矢を受けてしまい、視界が半減した。俺は一旦剣をしまい、投げ技での対応に切り替えた。片目だと距離感が狂い剣が当たりにくいからだ。

 復元している余裕が無かった。


 内股に出足払い、大内刈りと、しまいには一本背負いも披露して無双になってきた。得意技を決めていく。


 しかし高校生達が敷地に入ってきてからは事情が変わった。兵士もろとも魔法を放って来たからである。俺の鎧の付加効果で全て魔法に変換するので俺には効かない。しかし周りの被害が甚大だ。魔法を放つ女の子にハラパンを決める。数人を無力化すると向こうに焦りが見える。


 一人の男子からの詠唱が聞こえた。ギフトだろう。


「異世界より来たりし勇者により命ずる。時の彼方へ我が敵を送り出せ。門戸放出せよ。ランダムドリブンブン」


 最後があれ?だったが俺の方に奴が腕向けて叫ぶと、間もなく何かが向かってきて俺に当たると


(レジスト中・・・30%...70....100%突破されました。レジスット失敗)

 と聞こえてくると上空に穴が開いた。俺はそこに向かって飛ばされていて為す術が無いのだか、穴は結界の外にあった。

 空に開いた穴に飛ばされていて結界に押しつけられている状態だ。

 非常に苦しい。


呻いているうちに結界が決壊しそうな音がしだした。頭が猛烈に痛く、激しい吐き気に嘔吐していた。


「ぎゃーきたねー!臭い!」


下の奴らにまき散らしたっぽい。

 無理やり押しつけられているうちにバリバリと音が激しくなってきてた。そんな中ダメ元で


「すまないこちらはもう駄目そうだ。俺の事を忘れて自由に生きていって欲しい。無念だ。愛している。ちくしょう!」


 と念話で刻印メンバー全員に伝えた。届いたかどうかは分からないが意識を保てなくなりやがて意識を手放した。

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