第113話  ダンジョン3日目


 俺はホーネットに肩を揺すられ交代の時間の為起こされた。


 昨夜寝る前に確かめたが念話はダンジョンの同じ階層にいないと飛ばない。

 クロエに念話が出来なかったのだ。


 アリアを起こしてテントの外に出て見張りを交代した。

 特に何もなく平和だったと。


 アリアに見張らせて朝食の準備をして、料理を出すだけにしてから、アリアと語り合った。


 普段孤児院に手伝いに行き、身寄りのない子供の世話をするのが日課になっている。身寄りがいない彼らが可愛そうで仕方がなく、せめて姉のような存在になろうとしていると言う。孤児院の一部の者しか王女とは知らないそうだ。


 かなりお節介な性分で意外とお姉さんチック。

 結構ロマンチストと庶民的な所も好感が持てた。純粋なこゝろの持ち主で人で優しい穏やかな所が素敵なのだが頑固な一面があった。

 いつの間にか手を握ってお互い顔を赤くしていたのだった。

 志郎はアリアの顔が照れて赤くなっているが、綺麗な心の持ち主のアリアに比べると、自分の存在が恥ずかしくて赤くなっていた。

 綺麗だなあものにしたいなあと思っていたからだ。


 朝になり皆を起こしてして身支度と食事をして出発となった。

 今日の目標は25階層をクリアする事とし皆に告知をした。夕食の時間になった段階でまだ到着していない場合は最寄りのセーフティーポイントで野営をするとしたのだ。 


 前日の反省から戦闘準備をしてからセーフティーポイントの扉を開けたが何も起こらなく拍子抜けしたのだった。




 21階層からはがらっと雰囲気が変わったのだ。

 草原だった。

 時折低木がある程度の何の変哲のないありふれた風景だったが寒かったのだ。深々と雪が降っており足首が埋まる位の高さまで積もっており非常に歩きにくい。出てくる魔物も雪道を得意とする獣型ばかりだった。


 歩きにくい為にこの階層を抜けるのに午前中一杯掛かっていて思わぬ足止めだった。


 また、この階層から違いがあり、階段の手前にフロアボスみたいなのが陣取っており、このフロアはオーガが二匹で阿修羅像の如く構えていたのだった。


 最初は生き物の気配が無いので彫像等のオブジェクトかと思っていたが、先頭の俺がオーガの真横に来た瞬間唐突に攻撃をしてきたのだ。


 俺は突如気配がして辛うじて避けたが度肝を抜かれて、慌てふためきながら一匹を大外刈りで床に転がしファイヤーボールを連射していた。


 もう一匹はアリゾナが落ち着いて剣を一閃して両断していた。

 そして皆から大顰蹙を買ったのだ。寒い所にいきなり灼熱地獄だからたまったもんじゃない!と


 足元の雪は中途半端に溶けてぐちゃぐちゃだし滑りやすくなったりで特にユリアからはアホだのバカだの散々言われて俺は縮こまってしまいます。


 いじけているとアリアだけは慰めてくれました。ビーナスっす。天使っす。俺は泣いたっす。そして容赦のないホーネット


「ランスのアンちゃん俺達を焼いて喰う気かい?確かに強いけど俺の頭とあんまり変わんない位に後先考えてないよね!」


 俺は中二病に同一視された事にショックを受け、狼狽えて思わず階段を転げ落ちてしまった。慌てたアリアが俺を抱きしめて


「大丈夫です。ランスロット様には私がお側におりますので挫けないで下さい。頑張って後先を考えていない事は治して行きましょうね!」


 優しいはずの言葉が更に俺の心の傷に塩を塗り込んで、落ち込んだ俺から黒いオーラが出ていた。気がする。


 セチアに頭を撫でられて涙を拭かれていた。

 少し呆然としていると全員が揃ったので前に進みだした。


 22階層は砂漠で歩きにくいったら怒りを覚えるレベルだった。

 23階層はジャングル

 24階層は湿地帯

 そして25階層はボス部屋のみだった。

 ボス部屋の直前で皆の疲労具合が宜しく無いので、ボス部屋の入口前で野営にした。

 基本的にボス部屋の入り口と出口はセーフティーポイントだ。


 皆疲れているので食事の後は見張り以外は早々に眠りについたのである。

 そして俺は精神的に疲れていた。






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