第228話  別の大陸へ

 取り敢えず港の有る街に来て、別の大陸のおおよその方角を教えて貰った。そして今はそこに向けて飛んでいる。

 俺の飛行は時速300km程度は出る。瞬間的には400kmを超えるのだが、それだと呼吸ができなくなる。

 まともな地図の無い世界だ。なので祈る思いで飛んでいる。

 4時間位経っただろうか、ようやく目的の大陸が見えてきた。


 不思議と船が見えない。そして港があるっぽいのでそちらに向かい陸に降り立った。

 廃漁村だろうか。漁に使うような小舟が繋がれている。しかし人の気配がない。俺も飛びっぱなしで疲れたので詳しくは調査せずに村の外のちょっとしたスペースをゲートポイントとして屋敷にゲートで帰った。


 今までの中で休憩無しで飛び続けた最長となった。当然の事ながらずっと同じ姿勢でいたものだから体の筋が固くなりとてもきつく、体が悲鳴を上げていた。


 レニスにお願いしてマッサージを頼んだ。俺の体の筋の張りの異常に悪態をつき説教もされてしまった。


 いつかはしなければ行けなかったが、流石に船で10日〜2週間が目安というので船での旅は選択肢から外し、飛行で行く決断をしていた。

 ダンジョンの時はなんだかんだと言って30〜40分に一度飛行をストップし、体を動かせれた。しかしずっと海でそれが出来なかったのだ。まあ手はあった。上空へ飛び自由落下中に体をよじったりするのだが、陸が見えない不安から方向感覚に自身がなく、それが出来なかったのだ。


 鳥が見え始めた時は歓喜したものだ。

 その日はそのままレニスの添い寝となり、何度も色々なマッサージをしてもらって、俺もお返しをしている。あんな事やこんな事も。


 翌日その無人の村の事を話そうと思っていたんだけど、事件が起きた。大量の魔物がボレロの北のシューマン山を超えて来たのだ。総督によると丁度今は数十年に一度のスタンピードの発生期に入っているという。


 俺は直にバトルシップとプレアデス、ブラックスワン、ヒロミを率いて討伐に向かった。他は各街に置いてきている。ボレロの街にはレニスに任せてファイヤークリスタル、ムーンライトを預けている。ムーンストーンはワーグナーだ。全てを連れてくる状況になればゲートを出す感じだ。


 オークと獣型、ゴブリンが殆どで丸1日掛かったが抑え込んだ。通常少数の魔物しかシューマン山を超えてこないそうだが、週十年に一度大量に超える事があるという。

 シューマン山の北側には魔物の領域が広がっている。

 これは魔物が生成されるエリアらしく、何度討伐しても発生源が位置を変えるだけでいたちごっこで、いつの日からか侵入不可エリアとして大陸で認識されていた。


 皆を労いその日を終え、港の事を忘れてしまったのであった。




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