第152話 三日目の異変

 唐突に目覚めると俺は布団に包まれていた。

 ウリアとフレデリカが隣にいる。

 お腹が減っていたので収納から食事を出し、さくっと食べた後二人と一戦を交えた。ふと大事な事を思い出す。


「あれ?アリゾナは?」


「無事ですよ!」


 俺はアリゾナを見に行った。

 アリゾナの落ち込み具合は半端なかった。あっさり殺されたのだ。当人の落ち込みはさておき、事態は深刻だ。

 彼は実力者でSSSなのだ。

 真正面から対峙すれば俺も敵わない。剣技は俺の方が上だが、素早さと力か違う。

 転移と魔法を使わないと勝てない。

 そんな最強戦士なのだ。

 俺はまだ頭が働かない。


 取り敢えず無事生き返ったようなのでホッとした。

 眠いのでもう一度寝ようと思い布団に入る。ウリアが優しく撫でてくれて意識が段々薄れていった。


 朝になり目覚めると母親のように優しく抱きしめられていて、頭を撫でられている。そして背中も抱きしめられていた。


 起きてから直ぐに朝食の準備をして、皆で食べながら今後について話をする。


 ボスについてだ。

 何かがおかしい。

 安全策を行う、俺がやるから皆は全力で俺を守るようにして欲しいと話しをした。今日は31階層からスタートだ。


 また岩がごつごつしているダンジョンだった。



 20階層からもそうだが、途中の魔物は種類こそカービングと違うが、出てくる奴の強さは似たり寄ったりだ。


 違いはボスだ。


 やはりさくさくと40階のボス部屋に来れた。

 ボス部屋までは俺は中央で、ボスに備えて温存中。因みに39階はアルフレッド一人で無双していた。


 彼もSSS並の実力者になっている。


 ボスはコンボで攻める予定だ。

 出没地点をアイスウォールで囲み熱湯を注ぎ、火傷と窒息を狙う。今までは上手くいっていた。


 そして部屋の中に入る。

 やはりボス部屋は今までと同じ作りだ。


 中央にやはり光りが発生する。


 アイスウォール等を展開して茹で上がるのを待つのだが、一分位でアイスウォールがスパッと切られた。

 そして、その方向にいたナンシーの体が腰の所で分断された。ナンシーは血を吹き出しながら倒れた。


 アイスウォールの切れ目からアイスウォールが破壊され、お湯が撒き散らされる。

 熱湯に晒されナンシーが火傷を負う。俺は咄嗟にナンシーにヒールを掛け、応急処置をする。失血死を防げば暫く持つ筈だ。


 出てきたのたデーモンとしか思えない異界の魔物だ。3m位ある青く醜い奴だ。


 なにかヤバイ。

 何をされたか分からないのだ。


 俺は最終手段に出る。

 既に訓練で試していて、その結果で封印していたスキルを使う決断をした。

 スキルは時間停止だ。

 これを使うと反動が凄まじく、苦痛にのたうち回り、一日近く寝込むのだ。


 数秒時間を止められるが、発動している間は、新たにスキルやギフトが使えない。


 そうも言っておれないので、転移で奴の首元に飛ぶ。ライトソードを顕現する。


 スキルを発動して時間を止めてライトソードで首を切断した。そこから飛び退いてからスキルを解除した。そしてナンシーの所に向かう。


 かなり酷い。下半身を体に当てながら欠損修復を行うと、きちんとくっつき、ナンシーは復活した。


 そうすると、俺の体に急激な痛みが走り、痛みで叫んでいた。


 一瞬痛みが引いたので、シェルターを出して、食料をその辺に出しまくった。段々痛みがきつくなる。

 痛みで震えだす。

 更にクレアが何かを抱いてこちらに来る。

 ミザリイの変わり果てた姿に絶句した。

 首が胴体から離れている。

 俺は痛みで叫びながらヒールを唱えると、


「何があった?俺の元に戻ってこい。行くぞ!死者蘇生」


 叫ぶと心臓が動き始めた。

 そして俺は意識を手放した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る