第309話  迎撃準備

 俺達は向かって来る船団に対して備える事にした。来るまでに倒してしまう手も有ったが、上陸し歯が立たずに追い返す方が抑止力になると判断した。殺しはしないが、死を覚悟する位の恐怖を与え、二度と踏み入ろうとしない!そういう恐怖を植え付けて奴らの国に送り返してやろうと思っている。


 またこちらの能力が常識の域を超えている筈なので、手を出してはいけない相手に手を出した事が分かるようにと思っている。恐らく来るまでに一か月位掛かると思っている。まだ出港準備ができていなかったからと、準備の様子から出航準備にあと一週間はかかると推測していた。


 それと航海に3週間は掛かるのではないかと思っていた。

 帰りの事を考えて燃料を節約しながら来る筈だからである。巡航速度ではなく、戦闘速度でいつまでも来れるわけがない。燃焼効率が悪く燃料を食うからである。また、早苗が建物を構築するは一瞬で構築するという訳ではない。ワーグナーのお城のサイズの城を構築するのに2週間は掛かり、更にそれを大きくする。また大きなホールも作ったりするのでギリギリで準備できるかどうかというところである。


 城攻めをさせ城を陥落させたと思わせる必要がある。一般民家程度であれば一瞬で構築できる。


 早苗は喜んで協力してくれていた。初めて自分が役に立つからである。それも誰も殺す事なく送り返す為の準備だと言うと尚更喜んでいた。彼女はあまりにも優し過ぎた。人が傷つくのを極端に嫌うそういう性質であった。


 早苗が城作りに勤しんでいる間に早苗の護衛を配置し、海を見晴らせていた。俺はと言うと皆と協力し街を渡り歩き、未踏領域を開拓していて調査を進めていった。1ヶ月でそれほど多くの情報が得られるわけではないが、不思議な事に鉄道がなかった。技術的には蒸気機関であれば十分に作れるだけの技術力を持っている筈なのだが、鉄道がない。発想の問題だろうか?また乗用車もない。やはり馬車が主流であった。なぜ船にだけ原動機があるのか謎であった。そこの部分だけ文明レベルが突出していたのだ。また火縄銃が使われており謎が深まる。


 調査自体は順調に進んでいた。使われている文字はこちらと同じ文字であった。また言語も一緒である多少の訛りが違う位だ。


 文献を調べていると彼の地には異端者を封印するというような表記の書籍がいくつも見つかった。


 それと魔石がやたらと高く売れた。ゴブリンの小さい魔石であっても一般市民の1ヶ月分位の稼ぎになるぐらいの価格なのだ。


 なので俺達は魔石を色々な街で少しずつ売り活動資金を作っていた。主に首都に屋敷を購入したりして活動拠点も作ったりしていた。寝泊まりするかどうかは別として調査中に戻ってきて休憩したり、資料を読んだりするスペースは欲しいものである。


 また治安の方はかなり良く平和そのものだった。

 また国の構成は色々な国が集まっており、それらの国がひとまとめになり一つの共同体と言う連合国を作り上げていた。また最高権力者はそれらの国の首長達が議員を務め、更に全ての国の中から立候補をした者を選挙により選ばれた大統領が統治する大統領制を導入していた。


 大統領制もすでに200年を数えるそうだ。この200年戦争というものが発生しておらず、時折海外から船団が攻めてくる暗いで常にそれらを撃退して平和を保ってきたと言う。こちらからは攻めないが守る専守防衛のスタンスであるが、何故か今回はワーグナーに攻め入ろうとしている。


 というより攻撃の為に数万人の部隊がもう出発していた。出航を確認してから既に3週間近くが経とうとしており、港町は軍船がいない事により閑散としているような状況であった。俺は時折船団の行方を探して、どの辺りにいるのかというのを常に把握していた。 

 あと2、3日で船団が到着しようとしていた頃に、ようやく偽の街が完成し、トラップを仕掛けていくのであった。

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