第156話 次元刀

 俺はふと目覚めた。

 何故か涙に顔を濡らした妻達に囲まれている。

 脚に力が入らない。しかも心臓が止まっているっぽい。

 そういえば戦闘で斬られたなと思い出すが、意識が遠のきそうだったので、欠損部位修復と心で唱えるとまず心臓が再建され、斬られた部位が復活して行く。俺は更に立派になった筈だ。


 そして下半身がスースーしている事に気が付く。

 ガバッと起きると下半身が裸だ。

 鎧も途中で斜めにスパッと切れている。本来切れる鎧ではないが、奴の次元刀を物理防御の鎧では防ぎきれなかったようだ。


 皆が見ている間で股間丸出しは流石に恥ずかしいので、収納からズボンを出しまずは着て、皆に話しかける。皆の視線は(・・;)だった。


「どれ位気を失っていた?」


「ああ、完全に死んでしまったと思ったのに、良かった。気を失っていたのは1分位よ」


 ナンシーが泣きながら伝えてくれた。俺は頷いて立ち上がると斬られた体の中央より下の部分を見つけた。我ながらちょっと引いてしまった。


 慌てて鎧を脱ぎ、死体から装備を外して、鎧を取り敢えず仮でくっつけて大量の魔力を流すと鎧は発光して修復していった。ハイエンジェルアーマーがスパッと切れるとは恐ろしい相手だった。


 周りの話だと相討ちだったらしい。まあこれを見ればわかる。

 裸にした己の死体の処理を悩んだがボス部屋の出口の扉を開いてから外に出して燃やそうと思い、一旦収納に入れた。


 かなり疲れたのでシェルターを出し、中に入る。皆も続いて入る。

 風呂の準備をして貰いつつ、余りに腹が減っているのでクリーンを掛けて先に食べ始めた。鎧は先程外しているからだ。

 皆の食事を食べながら出して誰かが並べて行く。



 先に食べ終わると風呂に行き体を確かめると、肉体に変化があった。今までより腹筋が割れていて、脚も筋肉質になっている。そして立派になってしまった。


 風呂を上がると鎧に強化を施す。ボスのを使うと、強化値15。能力に次元刀を100%防ぐと有る。

 もう2つ有るので、先のドロップの鎧を強化できる。


 悩んだ末アリゾナとクレアのに施す。このダンジョンでの鎧が無いのは残り僅かだが、恐らく最終的に全員のが集まりそうだ。


 強化値は14と次元刀を防ぐと出た。これで3人はもう大丈夫だから、先が見えてきた。次元刀が厄介で、ライトソードとアンタレスだと防ぐ事が出来ていた。ボスの強さは次元刀さえなければ大した事はない。明日は三人で一気に終わらせようと思った。

 このダンジョンでのボスドロップの鎧が無いのはホーネットとアリアとメイベルだけになっていた。勿論俺のは先のダンジョンのがあるから大丈夫だ。



 今日の添い寝当番はクレアとシェリーだ。

 新品になった後の初戦闘をシェリー達に行うのであった。


 恍惚に浸っているのを見ながら、新しい体の慣らし運転を終えて眠りについていったのだ。

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