第43話 仲間の死を

 俺は目を覚ました。取り敢えず福引きの部屋に連れてこられていた。

 エリシスの荷物はキングの剣と魔石、福引き券、ドロップアイテムの首飾りでシータが持っている。


 俺は信じられない光景を見た。エリシスが横たわっている。顔の色から生気を感じない。呼吸もしていない。

 どうやら傷は塞がったが血を流し過ぎて、死んでから傷が塞がったのだ、俺は叫んだ。


「エリシスうう」


 エリシスの死は受け入れられない。


「取り敢えずエリシスを連れて帰ろう」


 俺が話すとフレデリカとシータは同意したが、クレアは首を横に振った。


「私の予知が告げていました。このダンジョンで恐ろしい事が起こっても、この場で足掻きもがく必要が有る。ここを出ると言う事は諦める事を指すと。エリシスが亡くなる直前に見えました」


 どういう事だろうか。ここで出来る事があると言うのか。フレデリカが言う。


「福引き券回しませんか?」


「どういう事だ?こんな時に呑気に福引きなんかやってる場合じゃ無いだろう?」


 そう言うとフレデリカが怯えた様子で


「確か福引きは切実に必要としている物が出る可能性があると聞きました。ダメ元で試しませんか?」


「有難うフレデリカ。きつい言い方ですまなかった。俺は今は冷静な判断が出来ない。試そう」



 福引きを行った結果がこれだ

 フレデリカ スピードブーツ

 シータ ドラゴニッニクメイル

 クレア デスサイズ(死神の鎌)

 俺は 奴隷引換券


「エリシスの代わりに別のを買えってか?」


 絶望的な所をフレデリカが


「エリシスの券は?」

「あれは本人意外使えないぞ」

「エリシスの死体を抱えてそれで試しましょう!死者を冒涜するような感じですが彼女が必要とするのは蘇生アイテムです」


 俺は頷き、エリシスに声を掛ける


  「エリシスごめんな」


 そう呟き冷たくなった体を無理やり動かし福引きを回す。体温が感じられず涙が出る。

 出たのはドラゴニッニクメイルだ。

 俺は膝から崩れ落ちて泣いた。


 絶望だ。


 シータが


「ランスロット様の収納は時間が止まるのですから、今は蘇生アイテムを入手するまでしまうのはどうでしょうか?」


 俺とフレデリカは了承した。

 しかしクレアの雰囲気が変わり


「愚か者共め。妾にはこの男が何かして生き返らせる姿が思い浮かんだぞよ。ここを離れればその女の復活はあり得ないぞよ。よくよく出来る事を考えるのだ。間違えるでない」


 言い終わると倒れ、咄嗟に受け止めた。

 冷静になって考えると俺は焦って肝心な事を見落としていた。


 ふとフレデリカが言う。


「ランスロット様、ランスロット様が何かして蘇生するとしか思えません。何かスキルや魔法で蘇生可能なのは有りませんか?」


 俺はステータスを見た。

 有った。死者蘇生

 死んでから24時間以内なら可能とある。俺は喜び


「死者蘇生強奪してる!」


 と叫んだ。

 実は前回のステータスチェックで取得していたのを忘れていていた。


 かなり魔力を使う筈だった。魔力回復薬を使い回復を図る。


 希望が見えた。

 ダメ元で試す旨を伝えたら2人が


「エリシスを助けてやって下さい」


 必死に懇願された。クレアはまだ気絶している。フレデリカに


「今から蘇生を試みる。俺が意識を失ったら担いで帰ってくれ。先ずは荷物を収納する。収納する物を持ってきてくれ」


 そう言うと俺は装備を外して収納していく。


 エリシスの冷たくなった左胸に、そう、心臓の辺りに手を置いて


「エリシス戻ってこい!」


 祈るように叫び一呼吸置いてから


「死者蘇生発動」


 と唱えた。

 すると対象を聞いてきた。エリシスしか選択出来ないのでエリシスを選び実行する。

 一気に魔力を吸われ、急激に魔力を根こそぎ持っていかれた。頭がクラクラし魔力切れで結果を知る事なくあっさり気絶した。耐えられなかったのだ。

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