第111話 ダンジョン2日目

 朝セチアに起こされたのだが、残念ながら普通にだった。

 皆の分の朝食の準備なのだが、テントの外にテーブルと椅子を出してまるでオートキャンプの様にアイテムが充実している。


 桶にお湯を入れて準備しておいたので、皆は温かいお湯で顔を洗いすっきりしてから食事をした。

 普通に何食わぬ顔で食べているが、屋敷で普段食べる温かいのが出ているから異常なのだが。


 改めて全員で自己紹介になり、スタートはアリアだ。


「改めまして宜しくお願いしますね。第三王女をしておりますアリアでございます。双子の妹の方になります。どうぞただのアリアとお呼び下さい」


 と言うと獣人のホーネットが、


「アリアのお姉さんはランスの兄貴のこれなんだよね?もう交尾はやったの?」


 普通の事のように小指を立ててしれっと言うので、俺は怒りを覚え立ち上がり殴ろうとしたが、アリアがそっと腕に手を添えて首を振り


「今はまだ交尾は致しておりませんが、既に姉共々お約束頂いておりますので、落ち着きましたらいずれ致しますから、既につがいとお思いくださいまし」


 さらっと返し俺に言う。


「獣人族は結婚と言うのは初めて寝床を共にし、愛し合っていると周りに認められると夫婦=つがいとして認められます。しかも親の前で初夜を行います。行為がないのにつがいだと言うのは嘘偽りで夫婦を偽装していると見なされ非難されます。私達の関係がどうなのか判断しようとする部族特有の行動ですので多目に見てあげてください。彼は幼少の頃より奴隷になっていたと聞きます。ヒューマンとの文化の違いをちゃんと教えられていないのでしょう』


 アリアに諭されて不思議と落ち着きを取り戻し、種族が違うと風習が違うのだなと思うのだった。



 一通り簡単な自己紹介の後にダンジョンアタックを続けるのだが油断していた。


 休憩部屋の扉の向こうに気配を感じなかったので戦闘態勢に入っていない状態で扉を開けたのだ。


 いきなりアリゾナが俺を殴り飛ばした。するとアリゾナが血を吹いて倒れたのだ。体に大きな剣が突き刺さり吹き飛ばされていた。

 彼は俺よりも握り拳一つ大きいし身長は2mは超えているはずだ。そんな彼の胸に風穴が空いたのだ。俺だと恐らく首を落とされていた可能性が高かった。

 扉の前に黒いミノタウロスが待ち伏せをしていたのだ。


 立ち上がった俺はアンタレスを抜くと黒い奴に斬りかかり20合程打ち合い遂に首を刎ねた。急いでアリゾナの元に行くとアリアとオリヴィアが必死に回復魔法を行うが辛うじて命を繋ぐに留まっていた。


 俺が大量の魔力を込めてヒールを行うと見る見る傷が塞がり、アリゾナが急に剣を俺目掛けて投げてきた。ビュンっと俺の顔に掠り傷を付けて飛び去ると何かに刺さった。振り向くともう一匹黒い奴がいて、胸元に剣が深々と刺さり瀕死の状態だった。俺は首を刎ねてトドメを刺したのだ。


「すまん助かったよ。よく気がついたな!」


 とアリゾナにえ手を差し出し起こすと


「油断大敵ですぞ勇者殿。しかし勇者殿の治療は凄まじいのですな。おかげで命を繋ぎましたぞ!」


 実はアリゾナは典型的な勇者信奉者で、勇者の為なら命を投げ出す程の忠誠心だったのだ。


「皆に言っておく。俺さえ生きていれば例え死んでも丸一日以内であれば死体さえあれば生き返らす事が出来るんだ。

悪いが俺の命を優先してくれ。ダンジョンで死んでも必ず生き返らせてやるから!」


 皆が頷くとドロップを拾い出発と思ったら、すっかり忘れていたが身代わりシリーズの装備を皆に付けさせた。


 念の為俺とアリゾナが先頭を行くのだが、ホーネットに殿を任せてシカゴ達は中央で女性陣を守る盾になってもらっている。


 7階層まで来たが特に何もなく、散発的にオークや獣型の魔物が襲ってくる程度なので、10階層のボス部屋までは男衆4人に任せたが、9階層がホーネットの番になり


「竜巻旋風脚」「ダンシングアタック」

 等など恥ずかしい技名を誇らしげに叫びりながら戦っていたが、戦闘センスはかなり良かった。


 10階層を順調に進みボス部屋に辿り着いたが、入り口前で昼食の為に小休止を取り、腹を満たしてからボスに挑んでいった。


 シカゴとオリンズが是非にと言いやる気なので、まずは任せる事にした。

 何かの特別な力は無いのだが、貫禄のある二人で、38と32歳の二人は以前同じ主の元に居たので元々顔見知りだった。


 部屋に入るとオークジェネラルが

二匹だったので1vs1になった。

 堅実に戦い、ミスを誘い20合位で腕を切り落とし首を刎ね、殆ど二体同時に倒していった。

 きちんと訓練をした者の剣技で安心して見ていられたのだった。


 ミスリルのショートソード2振りと、

 ミスリルの盾が出て二人が手に持ち満足していたので


「ひょっとして得意な得物か?」


 二人共に頷く。基本的にこの二人は無口だ。必要な時以外は頑なに喋らないが、寡黙で渋い奴等だった。


「ちょっと待ってろ」


 と言い五階の魔石も使い二人の新たな得物を強化した。

 盾にはダメージ半分反射、剣には麻痺と腐敗付与30%と強化値12で強化したら二人は恐縮し震えていた。


 そして11階に向かっていったのだ。


 


 分かりにくいので男衆メモ

 両腕部湿がオリンズ

 足欠損がシカゴ

 獣人がホーネット

 ドラゴニュートがアリゾナ

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