第203話 100階層毎のボス

 1300階層の扉を開ける。

 いきなりレニスが現れた。正確にはレニスの姿をした何か!だ。というかボスだな。

 扇情的な格好で、そうと分かっていても抱きしめ、キスをしたい騒動に駆られる。

 ベッドの傍らで俺を待っている。そしておいでと手招きし、そのスラッとした脚をチラチラ見せてきて欲情を掻き立てる。俺の意識にある扇情的なレニスだ。

 着ているものも扇情的なので胸も見えそうで見えない。見えているのはそれはそれで良いのだが、ぎりぎり見えないと、ついつい見たいと思ってしまうのが男心だ。

 そして欲情した俺はついつい近寄ってしまう。


 しかし同じ轍は踏むまい。欲情した振りをし、だらしない顔をしながら目の前まで来て抱き寄せる素振りをする。そして一気に腕を振り、振りながらライトソードを顕現させ、首の有った所をライトソードを振り抜き、決着する事が・・・出来なかった。目の前から突如消え失せたからだ。


 そしてゴトンという音が俺の後ろで聞こえ、振り向くとヒロミの首が転がっていた。驚愕する俺を嘲笑うかのように妖艶な笑みを浮かべながらクスクスと笑っていた。

 そしてそいつはファイヤーボールをヒロミの体と頭に飛ばし一気に灰にしてヒロミは消え失せてしまった。鎧や剣等の装備が残されただけだった。

 俺は怒りに我を忘れ切結ぶ。数合打ち合い首を刎ねた!と思ったら後ろから俺の首を刎ねようとした。咄嗟に首を庇い頸動脈だけを切られるだけで済み、一旦距離を置いた。


 即ヒールを使い首を治す。


「そんあ物騒な物はしまってあたしと愉しみましょう!おいで!気持ち良くしてあげる!好きでしょ?うふふ」


 俺は一瞬意識が飛びかけ気が付くと抱きしめていた。そして背中に爪を突き付けられた。

 俺はそいつの背中から俺の体ごと突き刺すようにライトソードを顕現し一気に横に凪いだ。己の肉体ごと。


 自分にヒールを使うのと同時にそいつに蹴りを入れ首を刎ねようとするも、やはり俺の後ろに転移してきた。辛うじて止血だけはできたが、そいつが後ろに転移する、そうするのだろうと思い、予測位置にライトソードを顕現するとその脳天に見事に刺さった。そしてファイヤーボールを喰らわせ決着した。転移をストックした。


 俺は痛みと血を流し過ぎた事からから頭がクラクラして倒れ込んだ。何とかヒールを唱え傷を治し、辛うじて命を繋げた。

 しかし代償は大きかった!そうあまりに大きかったのだ。ヒロミが消し炭になってしまった。俺は思わず泣いてしまった。遂に一人になってしまったのだ。灰からは肉体再生出来ないのだ。肉片の一つでもあれば出来るのだが、鎧の中は欠片すら無かった。


 床にはヒロミの装備一式があちこちに落ちていた。鎧や剣だ。

 俺も血を流し過ぎていて思考が定まらない。シェルターを出して装備を玄関に放り投げた。ドロップも回収したが中はよく見ていていない。確か回転するベッドだったような気がする突っ込みどころ満載なドロップだがそこまで意識が向かなかった。


 急ぎ食事を無理やり押し込んだ。血を流し過ぎていて、血を造ってもらうのに栄養がいるからだ。何とか食べ終わると貧血の症状が出て意識を手放したのであった。

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