第342話 ナタリー
俺は唐突に吐き気に襲われ、叫びながら目覚め、差し出された桶に吐いた。
頭が痛く、記憶が定かではない。誰かが背中をさすってくれていて、おしぼりが準備されていたので手に取ろうとしたのだが、先を越され口の周りを拭かれた。メイドさん達が居たが、屋敷にこんなメイドさんがいたっけ?となり、とりあえず自分の吐いた物とはいえ臭うからクリーンを掛けた。
そのまま寝かされて、メイドさんが出ていった。
「また誰かを死者蘇生したのかな。気持ち悪いな」
布団に入ると誰かがいて、その体を求め始めてしまった。
服を脱がせ、体を弄り始めたのだが違和感があった。妻達以外の女性だと気が付いたので手を止め、起き抜けに土下座をした。ただ、何故妻以外の女性が俺の布団に入っているのか謎だ。連れ込んでしまったのか?
「済まない。妻達の誰かと思いこんで、愛し合おうとしていた。」
布団から出てきたその見覚えの無い女性は上着を剥ぎ取ってしまったが、見事な半裸体だった。顔より胸を先に見るのはいつもの事だ。
しかし、いきなり俺の頬を手で挟み、口付けをしてきた。
「ありがとう、ありがとう。そのまま抱いてくれても良かったのに。その為に寝所に入っておりました。私にはこれしかお礼ができませんから」
彼女は俺の手を胸に当て、何をしたかよく分からないが、どうやら俺への対価として体を差し出したようだ。何故か愛しているのだ。いつもの事なのだが、死者蘇生を使うと暫く記憶に混濁が生じるのだ。
多分彼女に対して何かをしたのだろう。というか彼女に対して死者蘇生をしたのだろうと確信したのだ。ついついもみもみを少しだけしたけど、はっとなり、彼女を裸にした。抵抗は一切無い。
体の隅々まで確認し
「さっき胸を触ったが、ちゃんと感覚はあるかい?多分君は一度死んだのだろう。おかしな所があれば治療するから。異常が無ければ何かを着て欲しい」
「はい。お陰様で異常は有りません。胸もちゃんと触られた感触が有りますし、何よりランスロット様のぬくもりを感じます」
俺は胸に耳を当て心臓の鼓動を聞いて、服を着せた。
「異常は無さそうだね。多分聞いているだろうが俺は死者蘇生をすると暫くの間記憶が混乱しているんだ。君の事を愛していると感じるが、何故か名前が分からないんだ。君の名は?」
「はい。ランスロット様はやはり紳士様なのですね。ヒナタ様から聞いている男性像だともう、私はランスロット様に辱められ、欲望の捌け口にされている筈なのに、奥様じゃないって気が付いてからはお止めになられていて驚きました。私はナタリーです。ランスロット様に文字通り全てを救われました。人としての尊厳と共に。私は今日この日の為に、この辛く厳しい10年を生かされ続けたのですわね。私が殺してと言っても殺してくれなかったヒナタ様を恨んでおりましたが、今は感謝をしていますです・・・」
俺は完全に思い出し、死者蘇生がこの世界でも成功するのだと分かり、ナタリーに最後まで言わせなかった。
キスをし、抱きしめた。
「よく今まで耐えたね。胸の大きさとか大丈夫かい?」
「はい。私の理想です。愛しています。今すぐに妻にしてください。刻印というのをお願いします。トリシア様達の許可は取り付けております。これ以上歳を取りたくはありません」
彼女に求められ、年齢的な事を訴えられ、俺の抑えは効かなくなった。腹が鳴ったので、二人で用意されていた食事を摂り、暫く語り合い・・・
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