第183話 決着

 謁見の間の扉を開けるとそこは地獄絵図だった。

 辺り一面死体だらけだ。


 先程のホーリーで殆どの魂喰いを倒したからだろうか?

 数名が志郎を見ると即切りかかってきた。高校生の女の子だ。俺は動けなかった。ホーリーは使えたが、女子高生の体を切るなんて無理だった。この子も魂が0だ。俺は首筋を切られ首を切断され掛かったが、フレデリカが辛うじて剣を受け止めて阻止し、返す刀で体を突き刺す。アリゾナが間髪入れず首を刎ねて倒した。

 他の奴も動けた者は全て高校生だ。アリゾナとオリヴィアで首を刎ねて決着した。俺は何とかヒールとクリーンを掛けて立ち上がった。


 そして王座を見ると息絶えている国王がいた。どうしてかあっさりと死んでいたのだ。


 生きている者は城内には俺達以外はもういない。

 念の為にもう一度広範囲にホーリーを掛ける。更にもう一度ホーリーを唱え、範囲を王城街にまで広げるも新たに魂食いはいなかった。つまり完全に制圧したのだ。


 俺は高校生の死体を集めさせた。首を切断された者の首をヒールで繋げ、せめてもの情けと皆にクリーンを掛けて綺麗にする。念の為に魂の残量を見るも全て0だ。その後トマス率いる兵団を城内に引き入れ、死体を全て回収していった。最終的に高校生の死体は79名と、俺が召喚された時に一緒にいた者はセリカしか救えなかった事が分かった。別室に全ての高校生を移し、他の死体は外の広間に移動させた。


 ゲートを出してセリカを初め皆に来てもらった。

 トマスとチャカハーンを筆頭に兵士にて王城街を掌握させ、王城の安全と街の治安回復に奔走して貰った。

 俺の妻達の中で戦闘可能なメンバーで兵士と一緒に街の見回りをして貰い、政治力のあるメンバーに政権を樹立する土台を作ってもらっている。特にアリアやロトナといった面々に。


 そしてルシテルには酷な事を頼まざるを得ない。王族と貴族の死体のリストを作る事だ。


 ルシテルの兄弟姉妹は決局全滅だった。

 何故かルシテルは淡々と検分をこなしている。


 セリカは既に覚悟を決めていたので泣きはしたが、高校生達にお別れと、皆の髪を少し切り、小袋に誰のか分かる様に日本語とこの国の文字で名前と死亡日を記載しつつ収納に入れていた。もし万が一地球に戻る事が出来て収納が使えるようなら、せめて遺髪を遺族にとの配慮だ。俺には出来なかった。


 俺は高校生を救えなかったショックで暫くすると床に伏せてしまい、何とか一通り命令を出した後、意識を手放してしまった。心がオーバーヒートしてしまったのだ。


 キングのおっさんに言われていた事が意図せず守れなかった。 殺しちゃいかんと言われていたが、まさかこんなにあっさりと死ぬとは思わなかったからだ。





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