第101話 戦闘奴隷オークション

 城での昼食後に急いでギルドに向かい、オリヴィアをピックアップしてオークション会場に向かったがクロエは居なかった。


 受付を済ませ戦闘奴隷の部の開始30分位前だが既に人で一杯だった。しかし事前予約のお陰で到着受付をするだけだったが既に中級のオークションの最中で活気に溢れていた。

 テントの中は現代のサーカスのテントと思ってもらえれば良い。扇状に中が区切られていて中央にステージが有るのだ。



 中級はごちゃまぜで欠損奴隷じゃないだけの条件で性奴隷にするも戦闘奴隷にするも落札者次第なのだ。

 

 若い女性が鼻息の荒い冒険者により競られていくが大して綺麗じゃないが、普通に結婚しているようなちょっと可愛いかな位のごく普通の見栄えだ。『どう見ても性奴隷として買おうとしてるよな』と呟いていたようで


「そんなもんですよ。奴隷に落ちるとまず這い上がれません。酷いもんです」


 オリヴィアが教えてくれた。俺は決意をし始めていたのだ。そう、この大陸から奴隷制度を廃止したいと。


 それにはまず力を付けなければ成らない!そう心に誓うが、それには奴隷の力がいると言うジレンマが有る。


 それが叶わないまでもせめて自分の所に来る犯罪奴隷以外には人の尊厳を守り、ちゃんと人として接したいと思うのだ。


 司会の話も酷いもんで、親子二人のセットで出品されていた親子は、


「本日の超お勧め商品であります!な、なんと親子丼セットでございますがな!!!な、なんと14歳と32歳の優良物件です。高級奴隷はセットでの販売が出来ませんのでやむ終えず中級となっておりますが、なんと、片方は未使用品で御座います!さあこの後は戦闘奴隷でございますし、貴重な親子丼を皆さんどうぞ」


 可愛そうだがなと思っていると


「腐れ外道が!」


 とオリヴィアが6000万で落札していて驚いたが


「許せないんですこんな事は。せめて私の庇護下で私達の屋敷のメイドか調理人としてまずは働いて貰いたいんです。新たな屋敷には新たに人が必要なので、ランスロット様のお役に立てようと、誰かは買う予定だったんです」


 感情が働いているとは思うがアレイ殿が気を利かせてくれたようだ。

 先の四人とこの二人では足りないだろうが、当面は大丈夫だろう。


 そして本命の戦闘奴隷である。


 流石に皆さん高い。

 予想落札が一番低くても1億だ。


 俺が落札するのは最後の二人だ。


 皆さんの目つきが違うが悪いけど俺が落札するんだよと思うと


「さあ本日の戦闘系奴隷も残り二人です。さあーさーどうぞどうぞ皆さんお馴染みの人狼族の戦士です、です。経済的な理由で幼少の時に売られた奴隷ですので、犯罪歴は有りません。若干15歳ですが十分に鍛えております。さあ皆さん気張ってください!ではスタート」


 1分もしない間にもう2億だ。万が一引換券を持っている奴が居れば先を越されるので俺は頭上に引換券を出した。


「おーーーーやこれは驚いた!私も見るのは3回目ですが奴隷引き換えけーーーんんん。おやおやこれは冒険者だああ。48番様落札です!」


 周りが静まり返る。こいつを奴隷引換券で購入する意味が何なのか分かった奴もいてうなだれる奴もいた。

 そして最後の戦闘奴隷だ


「さあて先ほどは驚きましたがいよいよ本日のメインです。希少なドラゴニュートーオオオオオオ。滅多に出ない貴重な重騎士ですぞー戦奴としてあちこち渡り歩いた歴戦の26歳だああ!気合いを入れれいけーええええ準備はいいかあああーーーそれでは行くぞお!スタート」


 俺は即時に券を出した


「盛り上がってる所悪いが頂くぜ」


「ぎやあああ!!おーーーーのーーーー!2枚目きたあああ流石に驚き桃の木だああ!48番様引換券で落札つうううう」


 係員が来て券が本物と分かると司会に腕で丸を作ると


「どうやら残念ながら本物でしたああ」


 残念そうに項垂れていたが突然くるっと一回転して表情も代わり、


「さああて次は最後になりますが皆さんお待ちかねの女の高級奴隷ダアッ興奮して変なもん出すんじゃないぜ!バルバロッサ程じゃないがこちらも粒ぞろいだぜ!じゃあ目をよおおおおく開いて目に焼き付けとけぇえええ!一応いっとくぞおお6人全員未使用品だぜえええ。そしてええ13~18歳までのピチピチだぜええ」


 おおおおおおと会場が盛り上がる。気がつくとクロエが横に座っていて当たり前のように俺の腕を組んでわざとらしく胸に当てている。


『良くやるよなこいつ。ウザいけど場は盛り上がっているな。

 そういえば引換券後一枚有るな。まあ性奴隷は要らないから万が一の時用に取っておくか。不思議なのは手帳のへ記載しているのよりも一枚多いんだよな。二枚重なってるのを見落としたとかかな』


 と呟いていたようでオリヴィアとクロエが頷いていて


「あらあら私達二人をまだ抱いていないのに追加で女購入ですか?」


 ムスッとしたクロエが可愛かったが


「いや買う予定はないよ。もしとんでもなく戦力になるならダンジョン要員として見たいけど、司会の感じだと性奴隷を想定してるんだよね。もしクロエかオリヴィアが買えと言ったら買うけど、まあ見るだけかな。ここのオークション初めてだからどんなのか見ておきたいし。ただね、同郷の娘がいたら保護するために買うからね。これは屋敷を買う金を注ぎ込んででも譲れないから」


「あらあら私とした事が嫉妬してみっともなかったわね。ちょっと安心したわ。同郷と言うと異世界の方かしら」



「うんそうなるね。こちらに飛ばされる前にバルバロッサのオークションに一人13歳の女の子が出品されていてね、向こうにいる妻達に購入を指示して保護をお願いしてるんだ。同郷の者は可能なら助けたいんだ。ハーレム要員じゃないのだが、俺の意地だよ」


 そうこう言っていると6人が連れて来られて、手帳に書いてあったが酷い格好だ。


 ヒモパンに乳首を辛うじて隠す小さな布を貼付けられているだけなので乳房の形がはっきり分かる。ヒモパンも陰部は隠れているがオケケが剃ってなければ見えるんだろうなという有様で皆様恥ずかしがっているが隠そうとしない。クロエに何で隠さないのかと聞くと命令で禁止されているからと言う。

 俺は怒りで手に持っていたグラスを砕き血が溢れていた。慌ててオリヴィアがヒールを掛けてくれたが、俺の表情はそれはそれは恐ろしかったそうだ。


 並んでいる娘を見ているオリヴィアの表情が青ざめていて


「えっ何で、何であの子がここにいるの?おかしいよ」


 と震えて居るのでよく見るとどうやら日本人のようだ。


 並び順からはどうやら一番最後らしい。遠目でわかりずらいが幼く見積もっても年齢は14,15かも。

 オリヴィアに事情を聞くと


「有り得ないのよ。あの子来月の召喚者なのよ!しかも死んでたのはあの子なのよ」


 俺はオリヴィアを抱きしめ背中をさすってあげると少し落ち着いたようで


「まずどこが召喚して、その時の召喚はどうなったんだい?君は過去に転生してるんだろ?」


「うんバルバロッサがと言うよりこの世界では唯一召喚出来るのがバルバロッサだけなの。因みに失敗してバルバロッサではかなりの死傷者が出るはずよ」


「あの子の年齢は?」


「確か16よ。あそこの術式だと本来は18歳前後6ヶ月なのでそもそも16歳がおかしいのよ」


 事態は複雑だ。クロエは彼女を買う事了承している。


 そうこうしていると彼女の番でまだあどけなさが残っているが、アイドルでセンターやれると言うかなんかテレビで見た気がしてきた。多分現役のアイドルだ。記憶が曖昧でよく分からないが、まずは落札しないと話にならない。


 黒髪黒目で肩までの長さでかわいい系統だ。


 オリヴィアに聞くと落札出来る資金がないというのでお願いされた。


「すわああああて泣いても笑っても今日1番のこの商品で最後だぞおお

 黒髪黒目の希少な16歳。82-54-84の抜群のプロポーションにこの見事なおっぱいに注目だあああ!このおっぱいを物にする奴が羨ましいぞおおお!じゃあ入札開始だああああああ」


 俺は速攻最後の一枚を掲げて落札した


「ぬわああんとさ、三枚目だとだとおおおお!公爵家の令嬢にして冒険者ギルドのギルドマスターの連れ合いだあああああああ、しかもその隣で彼に買わせたのは我らが愛しの1番人気の受付嬢オリヴィア嬢じゃあないかあああ!と言う事は先日その専属契約をゲッツした謎のS級冒険者のランスロットおおおおではないのかあああ!」


 どよめきが起こる。まあ正体が分かる方がこの後のちょっかいが少ないだろうから助かるのだが。俺は右手を上げて立ち上がり頷いた。


 まあしかし大変な事になってしまった。


 クロエとオリヴィアに腕を組まれており、クロエが周りを睨んで居るので係員位しか近づいて来ないが、俺はうなだれるだけだった。

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