第305話 民主国家?

 翌朝クロエをワーグナーに帰し、アリア達を連れてきて為政者について探る。詳しくは分からなかったが、どうやら領主が無く、選挙で選ばれた市長がこの街の行政のトップだった。


 たま、移動手段は陸地では馬車だった。

 余りこの街で調べる事がなく、俺は街道を進み別の街を探索しに行く事にした。ナビゲーターとして裕美を連れてきた。セレナを含めワーグナーの騎士やアリア、レニス、レーヴエン、プレアデス達が馬車3台で移動し、俺が向かうのとは反対に向かう。


 馬車組は旅人風にした。追い剥ぎや盗賊がないわけじゃないらしいからだ。


 今日は複数の街にゲートポイントを設置し、俺は首都を目指す。地図から分かっていたるが各地の調査を分担してお願いした。

 馬車組は景色を見てもらい何かないか判断、発見してもらいたいからだ。


 街の出入りは特に門すらなく、正確には門はあるが、名残があり、ただの街に入りましたよとのモニュメントになっていた。

 護衛以外は商人風の服を着て怪しまれないようにしていく。


 向こうでしか取れない特産物が高級食材として売られているのが分かり、商人として街の商店に少し売り捌いて服を買うお金にした。そうやって皆の現地活動の服を揃えていったのだ。


 ドロシーとフレデリカ、ワーグナーの商人達に最初の街を引き続き調査するようお願いしていた。


 街並み等は典型的なのか、ここが特別なのかは分からない。

 亜人がいるから人種的に差がないが、やはり皆魔力をほとんど感じられないという。


 目立たない所で魔法を使うが、魔力の回復がかなり遅いと。希薄な魔力を取り込むからのようだが、皆魔力が薄く気分が悪いという。

 慣れかもわからないが、この地に移り住めと言われても生理的に受け付けないかもと言う。ただ、魔法を普段使わない者には影響が殆ど無かった。


 軽く打ち合わせの後に皆をそれぞれの地、出発地点に送り込み、スタートする。


 本来馬車での移動は我々には不要だが、上からだとわからない事がある。調査が第一目的で、必ずしも街を目指す必要がない。いかがわしい連中を見付けたら捕縛したりも有りなのだ。


 俺も裕美を抱いて飛んで行く。

 裕美には相方を頼んだのはやはり慣れているのは裕美だからだったりする。急ぎだと一人で飛んでいく。


 ただしフルスロットルでは裕美が持たないから、出しても時速60キロ程度で進む。これだとある程度の異常が分かる。


 例えば馬車が襲撃されているとかだ。


 しかし何事も無く隣街に着いた。調査班はいくつか作ってあり、必ず念話が出来る妻を1名帯同させる。

 2つ目の街も似たりよったりで、その事をセリカに伝えた。そして調査班を送り込み次の街への移動を開始しした。


 移動は平和だった。単なる空の散歩状態だが、たまたま平和な地域なのか、大陸全体がそうなのか分からない。

 気になるのは以前勇者召喚ができるのはルシテルの所だけと言っていた意味だ。てっきり磁場とか魔力の何か、そういった地理の関係と思い込み、特に疑問には感じなかった。嫌な予感がしてきた。


 時折裕美に進行方向を修正されながら進む。考え事をしていて注意散漫だったからである。ただ、次の街への道中も見かけるのはのんびり馬をすすめる農家や商人の馬車くらいであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る