第126話 入れ替わり
慌ただしい夜だったなと思いつつ目が覚めると青ざめた。
結んだはずの紐が解けたのだ。
慌ててロトナを起こしてステータスを確認させて、更にカードを出させた。
無事に刻印がステータスに反映されていたのでホッとした。
翌々考えると念話を使えば良かったのだ。ステータスが見えないのは痛かった。
ロトナの様子を確認するもちょっとだるそうだった。
しかし嗜虐心がそそる相手である。
ある一点を見つめながら
「起こして悪かったね奥様。ちゃんと刻印者になっていて良かったけど所で紐が外れていたけど心当たりない?」
昨夜の痕跡のあるシーツを見て手で顔を覆い真っ赤である。可愛かった。
「夜中にねトイレで目が覚めて、ステータス確認したら刻印が刻まれていたから外してトイレに行ってたの」
俺は安心したけど、次の者からはちゃんと説明しないと怖いなと胸を撫で下ろしていた。
「今日は一日体がだるいと思うから無理をしないでね。俺の魔力が君の体に取り込まれ馴染む時間だから。昨夜のロトナは全てが綺麗で素敵だったよ。愛してるよ」
やはり顔を真っ赤にしていて可愛かった。こうまで恥ずかしがられるとこちらもいけない事をしたのと感じてしまう。
ロトナのスタイルはスラッとしていてモデル体型だった。ウエストは極端に細い。普段はメイドにコルセットをきつく巻かれてドレスを着る事が多いと言う。
胸はけっして小さくはなくごく普通だ。アリアと比べると小振りだ。
本人は気にしていて、昨夜もそれを言うので俺の好きなサイズでオブジェにしたいくらい綺麗だよと言ってようやく納得してくれた。
ロトナを城の自室に連れていき、俺は朝の鍛錬に向かうが、シカゴとオリンズに声をかけると行くという。その前に侍女を城に送った。
タニーニャも一緒に訓練に参加しており、ロトナに変わり冒険者の出で立ちに着替えたドロシーを連れて宿に戻り、朝食になった。
顔は三つ子の様に似ているので誰も入れ替わりに気がつかない。わざとあのさとか、えっと等と名前を呼ばずにいたからと言うのもある。
ロトナが試してみてと言っていてドロシーも面白がり、試したら誰も気がつかなかった。
先行するシカゴ達にはきのうと同じで、宿の手配とデートスポットの確認をお願いし、お小遣いを渡して送り出した。
食後に宿を引き払い街を出た。
街を出て少ししから脇道に入り城にゲートを繋げて護衛の兵士を呼び寄せて出発した。
馬車の中で俺とドロシー二人きりで早速お茶タイムを始めた。
ドロシーは趣味でお茶を煎れるのが好きで、紅茶を振る舞って貰った。
美人が入れるのだ美味くないはずがない。というのではなく、本当に美味しかった。
「うめええなんでこんなに美味しいの!」
「はいそれは私のね愛情がこもってるからなの。こんなのはどうですか?」
口移しで飲ませてきた。それはそれで嬉しいのだけど
「ありがとうね。こんなに美味しいお茶は初めてだよ。向こうの世界のストバより美味しいな!」
ドロシーは急に態度が変わって
「あの、良かったら向こうの事教えてください」
俺はそんなドロシーの頼みに思い出せる限りの事を話ししたがいつの間にか涙を流していてドロシーに抱きかかえられれいた。
「ごめんなさい。もう帰れないのでしたね」
「いや、多分帰れるはずだよ。でもね、もう帰らないと心に決めたんだ。ユリアなんかは帰りたければ返してやろうと思うけど、俺は無理だな。帰るのは愛する人を置き去りにするんだ」
ドロシー頷いた。そして話題を変えてくれた。
彼女は妹が二人と兄が二人、弟が一人いると。妹の一人は双子という。
やはり双子の親から双子が生まれている。しかし既に他国に嫁ぐ予定という。それも半年後に政略結婚させられるというのだ。
「なあドロシー、妹はそいつの所に行きたいと思ってるのか?」
首を振る。
「俺が止めさせてやろう」
ドロシーに泣きつかれた。なんでもバルバロッサに脅迫されているという。許せない。一刻も早くカービング入り、バルバロッサ行くのを止めないといけないと心に誓う。
ドロシーはしっかりしていて、常識人だった。ロトナは王族らしからぬ振る舞いだし、アリアは王族の責務より市政の民を労るが政治には疎かった。
しかしドロシーは第一王女だけあって帝王学を修めていた。なのであの二人の姉貴分でロトナを叱ったりしていたのだ。
ドロシーは芯のしっかりしている女性で俺には勿体無いくらい気品に満ち溢れていた。目立たないようにしていたのは、俺の人となりをじっくり観察する為で物怖じしていたのではなかった。
国元を離れて寂しくないのかと聞くと泣き出してしまった。
俺は焦って抱きしめる。お国の為と重圧に耐えてきたのだ。こんな細い肩で。
彼女は小柄だ。スタイルはアリアとロトナと似ている。胸の大きさはアリアと一緒位かな。実は最近はギフトのスリーサイズ表示を封印している。予測する楽しみが減るからだ。
そんなドロシーが愛おしくなりしばらく抱き合っていた。
段々落ち着いてきたので留学の事やカービングの事を色々話してくれた。
なんだかんだと言っても18である。一応確認した。何処で刻印の儀をしたいか。そうすると屋敷の寝室か今日の宿でと。まあ宿はどんなのか次第だけど。
ドロシーは典型的な王族だった。政治の事はまあドロシーに相談するのが良さそうだった。
段々打ち解けてきて、色々愚痴をこぼしてきた。あまり感情を出す事をしないのだが、心を開いて来ているようだ。時折笑顔も見え始めた。彼女の笑顔は儚げで美しかった。
暫くするとお互い頑張り見つめ合っていた。どちらからともなくキスをする。アリアともロトナとも性格が違い、ドロシーは大人の雰囲気のする淑女だった。色気があり、ついついお触りをしてしまうが
「夜まで待てないんでちゅか?いけない子でチュね」
いかんいかんこれはと思うも意外なドロシーの発言にございます。固まりましてございます。そして僕は腐っていきます。誘惑には弱いんでちゅ。
気がつくと膝枕されている俺はドロシーに甘えていた。チュウチュウしてます。まさに赤・・・・・
ふと目覚めるとドロシーは俺を見つめていた。どうやらいつの間にか昼寝をしていたようだ。
「あ、あのさ、は、恥ずかしいからさっきの事は俺とドロシーの二人のひみちゅにしてね」
ドロシーは穏やかな笑顔を見せてくる。そっと俺の頭を撫でておでこにキスをしてくれた。まるで母親のようだった。
「勇者でも息抜きは必要よ。そんな相手に私を選んでくれたんだよね。嬉しいの」
既に遅いが幼児退行して心のバランスを取ってしまった。みんな内緒にしてね!
15時過ぎには街に着いてしまった。
街に入りシカゴ達と合流し宿に向かう。良さげな高級宿のスイートが借りられたのだ。
ドロシーも部屋を気に入ったようだ。ラニーニャにデートスポットを教えて貰いドロシーと二人でデートを楽しむ為宿を出るのであった。
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