第314話 占領
取り敢えずこの国を一旦占領する事になった。
大統領が軍部を把握していない事が露見し、実効支配をしている者が別にいるからだ。
大統領自体は協力的で、我々の所に攻め入ってはならない理由として、こちらの方が強く、戦えば負けるからと。魔法の為だ。大統領には代々ちゃんとした裏歴史書が引き継がれていて、書写させてもらい、写しを貰う。
魔力の特異点がシューマン山の向こうにあり、半径500km位の見えない障壁がり、そこを出ると魔力が極端に薄くなる。
元々迫害された魔法を使える者達の流刑地で、大陸に戻る為の航海術を持たず、大陸に戻れなかったらしい。
こちらにない情報だった。
平和な大陸で戦争は無い筈だった。
大統領はひたすら謝罪をしていた。
俺は戦争を好まず、和平を結べるならそれで良いとし、和平を結ぶ事に向けて交渉をしていた。
兵士を送った場所から続々と復員していると大統領から伝えられ、死亡者がいない旨感謝をされた。
こちらの総督や妻達、有識者を踏まえて情報交換をする事になった。
また、ゲートを通して貿易を始める事になり、商人組合相応の組織が希望商品の目録を作っていた。
数週間は俺も半ば交易人と化し忙しかった。
時間限定でゲートを繋ぐリストを作成して貰い、各町を繋げていた。一時的な事だが、交易をする為にサンプルとして魔石や魔道具を配備していたり商品を受け取ったりしていた。
そちら方面は順調で、軍部の制圧と粛清というか追放等が完了し、あるべき姿に移行していた。
そんな中、未確定情報としてこの大陸にいない筈のオークが出て騒ぎになった村があるとの情報があると、噂が流れてきた。
取るに足らぬ情報や醜男や病気の山賊がそう見えたのだと取り合う者が居なかった。俺の所にも話が来なかった。
しかし情報が入ってから2週間、無視できぬ情報が入った。
ある街が全滅したと、得体の知れぬ奴らに占拠されたと大統領の耳に情報が入った。最寄りの兵を1000程を差し向けたが、壊滅したと聞かされ動揺していた。情報を持ち帰る為に数名が何とか逃れて戻ってきたと。口々に魔物に占拠され、太刀打ちできないと報告していた。
俺は様子のおかしい大統領を伴いブランチをし、雑談のナカで問い詰めた。聞けば一度行っている街だったので俺が自ら仲間を率いて調査、可能なら奪還を買って出たのであった。
魔物が出たのは初めてだそうで、歴史になかったと。勿論俺がゲートで引き入れたのでもなく、何かが始まっている嫌な予感しかしなかったのである。
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