第124話 シカゴ達
翌朝目覚めると寝相の悪いユリアが俺を抱き枕にしていた。そしてお尻をボリボリ掻いていた。
ウ~ン見なかった事にしよう。
そして俺を胸に抱き寄せて呻いていた。
「いやーやめてー、何でも言う事を聞きますからどうか折檻はううう」
どうやら奴隷商で周りの奴隷達に折檻されていた事を思い出しているようだ。
俺はユリアをそっと抱きしめて、俺の胸元に頭を抱き寄せてひたすら頭を撫でていた。暫くすると穏やかな笑顔になっていて、鼓動も落ち着いてきていた。
オリヴィアが部屋の扉をノックしてきて
「そろそろ朝の鍛錬の時間ですがどうしますか?」
と言うので準備すると伝えて、ユリアを起こして着替えて庭に出た。
朝の稽古が終わりシカゴとオリンズを連れ進軍に同行している騎士団の若い奴を中心に20人程を集め、
「今日の夕方位に着く街の一番良い部屋を借りるのと、警護の者達用として同じ宿の部屋を数部屋確保して欲しい。それとこれを内緒で渡しておくから交代で買い物するなりして愉しんでおいで。隊長には俺自ら君達を先行させ宿を確保して置く様に命じたと説明するから。それと悪いがデートスポットを確認しておいて欲しい」
よく見ると女性の騎士が居たのでデートスポットを強くお願いしておいた。
若い奴は目を輝かせていた。まあ兵の一団を襲う馬鹿な盗賊も居ないだろう。貴族の恋人が泊まる事にして貰う。
皆の出発の少し前に先行隊が出ていった。
屋敷に残すメンバーは今日はアリアとドロシーの引っ越しを進めるのとオリヴィアはギルドの仕事の成果引き継ぎだ。
セチアは貴族の令嬢の受ける所作や武道会もとい、舞踏会での踊りを出来るように指導をしてもらう感じになった。
同行する兵士達にはローテーションをする為班を別けて移動時間を短縮できるように指示をしていた。
今日の馬車はロトナだけが同行だ。
俺は早速ロトナといちゃいちゃし始めて時折お触りする等早速腐っていた。
ロトナはお触りする度に
「いやーんエッチいい」
と何故か俺に更にお触りを求めて甘えていた。
本当は刻印の儀式が怖いと言っていた。男女の契りに興味はあったが周りは教えてくれないと、だから怖いと言うので、中学生で教わるレベルの性教育を真面目に伝えていたりした。そのレベルで知らないのには驚いたが、お気に入りの侍女とかが教えてくれなかったのが不思議だった。
ロトナは王族というよりその辺の街娘のような喋り方が本来の口調で、王族然とするのが苦痛だという。
いつの間にか俺にしなだれかかっていて、その綺麗な髪を撫でていたりするとうっとりとしている。
時折キスをしていると段々心を開いてくれて、彼女の人となりがよく分かってきた。アリアとよく比較されてそれに対する一部のメイドの陰口が辛いという。
どちらかと言うとおてんば娘なのだ。
「どうして俺を選んだんだ?ロトナだけを愛してくれる奴はいくらでもいるだろう?俺は皆を分け隔てなく愛するつもりだが何分、人数が多いから頻繁に愛してあげられないんだよ」
「うんとね、そのね元々勇者へ憧れてはあったからね、父様との食事の時にメイドに扮して見させてもらったのよ。父様とのやり取りもおじ様とのやり取りも堂々としてる人だなとは思って、まあ嫁げと言われたら仕方がないとは思った感じだったの。お見送りの時に馬車まで行ったのだけど、その時にすれ違う使用人達に会釈をしたり、御者にねぎらいの言葉を掛けていたりと有得ない位に礼儀を持った傑物だなとちょっと好きになったの。
そして夜にアリアが私に珍しく熱く語ったのよ。あの方が、あの方が勇者様だったの!信じられる!私を治してくれた方なの。叔父様とご一緒だからどこかの高名な治療師か冒険者位にしか最初は思っていないかったのだけど、有得ない位紳士なの。私が馬車に轢かれて足を折っていたのだけど、恐怖で失禁までしていたのに治療の為に体に触れる旨断りを入れてきたり、失禁して濡れていて臭かったはずなのに文句も言わず抱き上げて治療してくれた上に、何も言わずクリーンまで掛けて、地面を転げた為の汚れを落とす事にさえしてくれて周りの目からも恥をかかないように救ってくれさえしたの。もうこの人しかいないと思ったの。ねえ私絶対にあの方に嫁ぎたいの!ってね。珍しいのよあの子があそこまで熱くなるのって。だから興味があり、アリアとドロシーももっと知りたいという風になり、クロエ姉様の所に押しかけて話を聞いてきたの。
姉様がそれはそれはまるで少女のように熱く語ったのよ。有得ない位の紳士でちょっとエッチだけど心地よい位だって。あの姉様をそこまで言わせる方を段々好きになってしまって、三人でお父様に無理をお願いして、紅の館のメイドにしてい強引に貰って貰うようにしてくれたの」
無邪気に語るロトナは世間知らずな所があるが、性根は優しい面倒見のよい素敵な女性だ。
しゃべり方が街娘チックだが、使用人からの反応は身近なちょっと世話の焼ける子に対する親しみのあるそれだ。この数日ちょいちょい見掛るが、使用人には名前で声を掛けたりして使用人からも嬢ちゃんとかロッチー、ロトナちゃん等と呼ばれていて、ロトナ様と言われるのは他の王族貴族がいる時だけだった。
屈託のない笑顔を素敵だった。アリアと同じ顔の作りをしているから一卵性双生児なのだが、同じ顔で正反対の性格なのだ、俺はギャップ萌えでメロメロだったのだ、そう心を奪われてしまったのだった。
馬車の窓からの景色を見ていると
「ねえねえねえラン様!見てみてあそこのあれは・・・・」
俺にはどうという事もない何の変哲のない農村部の景色だ。彼女はそう言った景色を知る事無く育ったのだろう。無邪気な彼女が急激に愛おしくなり、後ろからぎゅっと抱きしめた。
「好きだロトナ。俺の妻になってくれ。君が欲しい」
そう言うと俺の手をぎゅっと握り、暫くキスをしてお互いのぬくもりを感じていた。
そうこうしていると馬車が止まりロトナのお付きの侍女が馬車の扉をノックして街の入り口に着いた旨知らせてきて、俺達は現実に引き戻された。
今日街には貴族の冒険者として入るとしていて少数の護衛と侍女達は別々に入り、俺とロトナ、アリゾナとホーネットはパーティーメンバーとして入る。その為馬車の中で侍女とロトナが冒険者の服に着替えている間に、兵士を城に返した。
そして夕方になる前に無事街に入り、入り口にて待っていたシカゴに案内されて宿に入った。オリンズはと聞くと、同行者の半数を連れて商館に繰り出したとそっと言っていた。
ただ、一人だけ女騎士がいて俺に報告してきた。
「ランスロット様、ちょっといいですか?」
と部屋でロトナが休んでいる俺を女騎士と侍女の部屋に連れて行き
「・・・・がお勧めのデートスポットです」
お礼をして、また明日もお願いしたら逆に少しお願いをされた。
「ランスロット様、そのお願いがございまして、シカゴ殿と食事等をと思うのですが、ご許可を頂けますでしょうか?」
どうもシカゴの事を気に入ったらしく、一緒に食事をしたいというが俺の奴隷の為許可を得に来た。
中々綺麗な女性で20台半ばか後半だろう。シカゴとの年齢のバランスも悪くはないので
「うんそうだな俺とロトナが食事する場所への警護の名目で食事をするんだ。うんうん。そうだな。ただ知っていると思うがあいつ鈍感で堅物だから、君から積極的にアプローチする事になるぞ。それとも俺から君が好意を持っていると言っておこうか?それと彼らには俺の女以外だったら恋愛は自由だと言ってあるから彼と付き合ったり、結婚する場合許可はいらないが、奴隷解放をするから声だけ掛けてね。もし奴が奴隷が云々奴が言うなら俺から言うから教えてね。」
もじもしながらお願いされた。一旦部屋に戻り、ロトナに事の成り行きを説明すると、その女騎士は見知っていると、自分より弱い奴とは結婚しないと豪語しているそうで恐らく手合わせしてシカゴに負けたんじゃなかろうかと言う。ロトナもノリノリで、夜一緒に食事にしようとなってしまい、
「俺と二人での食事じゃなくてよいのか?」
「うん大丈夫。むしろ一緒の方が面白いじゃない。へえ~~~あの騎士が遂にふふふふ面白いわね」
よからぬ事を考えているがシカゴを呼び
「悪いがお前さんの商館行きは無しになった。その代り俺とロトナのデートに付き合え。お前さんこの前今一緒に来てている唯一の女騎士と手合わせして負かしたろう?彼女がお前さんとデートしたいそうだ。まあ付き合え」
驚いたシカゴだったが首を横に振り
「私は奴隷です行けません」
「奴隷じゃなかったら良いのか?彼女は中々の器量だぞ。年齢的にも丁度良いと思うし、ましてや戦士だぞ」
「そうですね。彼女の事は私も気になりますが騎士と奴隷では身分が違いすぎます」
「知らないのか?勇者の奴隷は一般的な奴隷と立場が違うんだぞ。忠誠を誓った忠義の者として勇者の奴隷は騎士のそれより身分が上で、勇者の奴隷は勇者の近衛騎士的な扱いだぞ。奴隷だからと言うなら奴隷契約解除するから彼女と付き合ってみろ」
そういうとシカゴはさらに首を振り
「出来れば契約はそのままでお願いします。そうか彼女が・・・良いんですかね?」
「女性の騎士は何かと便利なんだよ。ロトナ達王族の女性陣に同行する場合男性の騎士だと都合が悪い時に役に立つし、ロトナの話だと中々の傑物で信用も厚いし、俺の評価もそうだ。だからこの道中一人はどうしても女の騎士は同行して欲しいから、彼女を俺の権限でずっと同行者に指定する事に出来るよ。結婚しろとは言わないが、付き合ってみるのも良いと思うぞ」
結局シカゴは彼女の想いを受け止めて見ると言うので4人での食事となった。
『女騎士もかわいそうに。ロトナからの恥ずかしい質問攻めに遭うんだろうな。くくく』
夜まで少し時間が有るので待ち合わせの時間を決めてロトナと出掛ける事にした。
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