第123話  カービングへ

 戴冠式での演説を一方的に切り上げ逃げるように進軍の兵達が休んでいる所に俺はゲートで移動した。


 馬車の御者席に立ち、無事戴冠式が終わった旨、皇帝になった旨訓示をし、再び進行を開始した。


 現在馬車にはセチア、アリア、オリヴィア、ドロシー、ユリア、ロトナがいる。

 後ろの馬車にはバトルシップの四人が乗っている。ちなみに馬車の中は拡張済みだ!


 今後の事を話す事にした。


 まず道中の兵を1000名に減らし、午前と午後で入れ替える。


 野営はせず、都度ゲートで城に戻す。


 俺は屋敷にて夜を過ごす事に変えたのだ。


「誰も言ってくれないけど、移動は俺が進めばゲートで皆を引っ張ってこれるから、馬車には誰か一人居て欲しいな。まずは明日はロトナな。翌日はドロシーかな。その先は皆で決めてね」


 皆頷いていてアリアが

「それではクロエ姉さまがいらっしゃらないですが、第一回嫁会議を開きますが皆様宜しいですね?。僭越ながら本日は司会を務めさせて頂きます。ではまず明日はロトナ、明後日はドロシー、その次がオリヴィアが同行と、刻印を刻んで貰うから、ユリア様、セチアさん、クロエ姉様、私の順番でローテーションでどうですか?」


 皆一斉に頷き了承されていたが、勿論俺の意見を挟む余地はそこには無い。


「あ、あの」


 言いかけるもアリアがうるうるした目で見つめて無言の圧力を掛けてくるので


「いいえ、何でもないです」


 と言う以外選択肢が無かった。


 ロトナが続けて言う


「部外者はお黙りなさい。今は神聖なる嫁会議の場ですよ?男の発言を誰も許可してませんよ!」


 俺はいじけて不貞寝を決め込んで泣いていた。皇帝になったはずなのにと。


 俺がいじけて、のの字を書いている間も何か良からぬ?相談をしていて、耳を塞いでいた。

 時折誰かが頭を撫でてくれている。多分セチアかアリアだろう。

 この二人は俺の癒し手だ。

 ロトナとユリアはいじめっ子だ。ドロシーとオリヴィアはノーマルっと。

 悔しいのでロトナに仕返しを決行する。右肩をとんとんする。

 驚いていて振り向くも当然何もない。次に左肩。次に足の裏をくすぐる。

 そうそう、馬車の中は基本的に靴を履くのだが我々は脱いでいる。馬車の出口に俺用の即履ける靴を置いておき、襲撃に即時対応可能なように備えている。

 ロトナが驚いて立ち上がり


「キャッ!私の足何かが触れた!」


 俺は皆に背を向けているが顔はにやけている。

 次にお尻を撫でるとロトナが強張った。

 そしてトドメにお腹をこちょこちょくすぐりだした。


【うひゃひゃひゃひゃひゃきゅええええ】


 面白い反応だ。


「ちょっと静かにしてくれないかなああ!お昼寝したいぞおお」


 笑いを必死に堪えて苦言をする。

 そうすると急にドロシーがロトナに


「さっきのはラン様は気分を害されたと思いますよ?そんな事では刻印は夢物語になるわよ。ラン様は邪険にされると落ち込むのよ。謝ったほうが良いと思うけど如何?」


「さっきは悪ふざけが過ぎました。ご、ごめんなさい」


 俺は不貞腐れて返事をしない。更にドロシーが


「そんなんじゃラン様は元気にならないわよ。こっちに来なさい!」


 とロトナを俺の目の前に座らせて


「失礼します」


 と俺を抱き抱えロトナに膝枕をさせた。

 間もなく膝枕されている俺の顔が濡れた。そうロトナが泣いていたのだ。俺は激しく動揺した。


「ランスロット様は私の事をやはりお嫌いなのですか?だから刻印の儀をして頂けないのですか?やっぱりアリアのようにお淑やかじゃないと嫌なんですよね?ううううう」


 本格的に泣いてしまい思わず抱きしめて


「さっきのはショックだったけど、ロトナはそのいじられキャラな性格も含め好きだよ。ただ、もっと君を知りたいんだ。それからちゃんと愛したいんだ。明日はちゃんと色々話そうね。それともうさっきの様な事はしないでくれると嬉しいな」


 俺は皆が見てるがお構いなしにロトナにキスをした。

 ロトナは急にしおらしく顔を真っ赤にして


「あのね、そのね、さっきひゃごめんなさい。嫌だったよね。もうしないから許してね。それとね今のがファーストキスなの」


 くねくねしていてちょっと舌を噛んじゃったのがいじらしかった。

 俺はロトナを許してあげた。

 道中街が有ると俺は街に一度入りゲートポイントを確保していっている。



 何だかんだと夕刻になり、今日は終わりとなり、兵を城に戻して俺達も屋敷に帰っていった。


 今日の添い寝はくじ引きを当てたユリアとなったのである。

 ユリアは本当に添い寝だけで。今日一日の濃い内容に疲れて早々に寝ていったから。





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