エラーから始まる異世界生活

第344話 恥ずかしかった

　トリシアに確認すると、どうやら俺が寝ていた部屋のどこかにカメラのような物があり、それが皆の頭の中に直接画像を送っているようだった。

　要約するとそういう感じになるのだ。そう、そのような道具なのだろうが、よくわからなかった。ただひとつ言えるのは、俺とナタリーと愛し合ったその一部始終を見られていたという事だ。

　俺は誰かと愛し合っているところを他の者に見られたいというような願望もなければ、そのような事を本来許さないのだが結果的にされてしまった。理由があるのだろうとは思うがこれはトリシアに聞いても仕方がない。

　ヒナタを呼んで確認をした。

「なあヒナタ。俺とナタリーが愛し合っている所を皆が見ていたそうだがどういう事だ？とりあえず仕組みはどうでもいい。そういう仕組みがあるのだと認識はしたから」

　ヒナタがきょとんとしながら

「何か問題がありましたでしょうか？確かに本来ですと私のみが見るものでしたが、彼女達は男性と女性が愛し合うというのがどういう事なのか、子作りとはどういうものかというような事を知りません。私が教育をしなかったのもありますが、そもそも私が知らなかったというのが一番大きく、彼女達に教える事ができなかったのです。その為に知識のない彼女達に実際の様子を見せ、街に返す前の教育と致しました」

「どういう事だ？」

「はいそうですね。この世界で自分の娘が初夜を迎える場合、その時に立会いを親がいたします。また子供が一定の歳になりますと、親が子作りの様子を子供に見せ、子作りのやり方を教えます。今回はその代わりにさせて頂きました」

　俺はぽかんとなった

「それは人間の方か？ドラゴンの方か？」

　日向に確認する

「人間の方は分かりませんが、少なくともドラゴンではそのような風習があります」

　俺はため息をついた

「あのな、ヒナタ。おそらくそれはドラゴンだけの風習だと思うぞ。人間ではそういう風習はない筈だ。少なくとも俺のいた所ではそうだ。おそらくこれから治す5人は皆俺の妻となり、ああいうふうに愛し合う事になると思う。少なく共あの5人は俺の刻印というのを刻み、年齢を早目に固定してあげたいんだ。幻影からするとまず間違いなく5人は俺の妻になる筈だからだ」

「そうなのですね。ドラゴンの風習ですか？なる程分かりました。私もびっくり致しました。あのような事は人間社会では日常的に行われているのですね」

　俺は耳まで真っ赤になっていたが、話を切り上げようとした。

「それはひとまず置いておいて、ナタリーを見てあげてくれ。彼女はちゃんと歩く事ができたよ。ただ刻印を刻んだ関係で体力が落ちているから、今日の所は大人しく寝かせてあげたほうがいい。彼女をゆっくりと休ませてやってくれ」

「はい分かりましたわ。それでは食事の後に彼女の部屋へ案内致しますわ。ランスロット様はどうされますか？」

「俺はしばらくの間ナタリーの側にいてあげたい。俺自身も少し休みたいから一緒にいようと思うんだ。まだあの5人の誰かを治療するのには俺は消耗から回復しきってはいないんだ。きちんと回復して万全の体制で蘇生に挑みたいんだ。ナタリーのように逼迫している者はいるか？」

「いえ。そこまで逼迫していたのはこのナタリーだけです。他の者はそれなりに弱ってはいますが、今日明日死んでしまう位に切羽詰まった者は今の所はおりません」

「分かった。じゃあ回復を兼ねてナタリーと過ごすよ」

　各種当番の者を除き、皆で朝食を食べた後、俺はナタリーをお姫様抱っこして部屋に連れて行き、寝かせてあげた。

　その後部屋には他の者達が代わる代わる訪れ、ナタリーの回復を喜んでいた。特に元々仲の良かった者がそうだ。そして彼女の本来あるべき姿を見て、その再生された美しい状態を見て、皆泣いているのであった。

　俺は相変わらず、若い女性達特有の匂いというのか、フェロモンに頭がくらくらしているのであった。