第213話 どんどん行こう

 ボス部屋以外の進み方は裕美を後ろから抱き着き飛ぶ鳥を落とす事にしている。

 裕美のレベルがザクザク上がり、魔力がかなり高く、俺は飛ぶだけで、戦闘は裕美に任せている。


 魔物を見つけるとファイヤーボールを放っている。

 元のキングの場合これが出来ず、地道に歩くしかなかった。


 今のペースは一日15階層を進む。以前と比べるとかなりのペースアップだ。

 天井スレスレを飛んでいるのでトラップにも引っかからない!

 地面や壁にに触れないからトラップが発動しないのだ。


 このダンジョンは落下した時点での対象者のスキルや制約事項を把握した上で、それに合わせたダンジョンになっている。しかもクリアーさせる気が無いデス仕様だ。

 しかし俺達は決して屈しない!


 幸いなのが裕美が全く違う性質に変質したものだから、陰湿なダンジョンの仕掛けに合わないが存在だ。勿論汎用のトラップは引っ掛かってしまう可能性がある。


 今は500階層を目指している。道中の100階層毎のボスは基本的に裕美が倒していく。俺の天敵のボスが出てくるが裕美には単なる魔物で、俺にはもろ効いてしまう特殊スキルが効かないのだ。ある一定の限定条件のスキルを使ってくるので俺には相性が悪過ぎるんだよな。


 数日に一度は休息日を入れるようにした。裕美が精神もリフレッシュしないと心が持たないと提案してきた。裕美のじゃなく俺の心だ。裕美の言うには俺の笑顔を見なくなって久しいと。俺の笑顔を見たいと嬉しい事を言ってくれる。1000階層を突破してから1ヶ月位が経過し500階層までもうちょいだ。


 俺の収納には色々な材料がある。

 ダンジョンドロップの物を使い、裕美へのプレゼントを作りたいと思い、材料を選定し加工等を始めた。

 宝石は宝剣エロバナナという訳の分からないないアイテムが出ていたのだが、けばけばしい派手な装飾の施された卑猥な形をしている物でこいつからはぎ取る事にした。バナナのように反っていて魔力を込めると振動するという夜のおもちゃ以外の使い道を思いつかない代物だ。そのおもちゃから慎重に宝石を取り出す。そうして物作りをしていると無心で作業を行える。

 こうい言うDIYが好きだ。色々な工夫を凝らし作り上げていく。まあ素材が微妙だがそういうダンジョンと割り切っている。因みにいつも複数種類出ている。


 裕美が退屈そうに俺をじっと見て言う


「ねえ旦那様!新妻を放っておいて何をしているの?」


 俺が素材を剥ぎ取っている物が何か知っているのでジト目だ。なぜ知っているか?そりゃあ夜は長いですから、たまには変化球を使わないと等、まあ色々有るんですよ!夫婦には。


「うん、裕美に渡すネックレスを何とか作ろうと思ってね」


「本当!?うんうん。じゃあ許そうかな!どんなのができるのかな!?楽しみね!うふふふ」


 裕美の機嫌が良くなった。最近裕美も変わり映えしないダンジョンにストレスを感じているようで朝は不機嫌な事が多くなっていた。


 加工は小一時間で終わってしまった。

 鎖が作れなかったので後に調達するとして紐で代用だ。

 紫色をした宝石に金色の台座のネックレスの出来上がりで早速裕美に着けてあげた。

 控え目に裕美をの存在を引き立てる上品なアクセサリーになった。普段は収納に入れておき休息日のみ装着する事とした。


 俺はふと思い出して、裕美に柔道の稽古を付ける事にした。自衛力を高めるに越した事はない。大外刈りとで足払い、内股を当面の目標とし、魔物相手に接近された場合に使えるようにする。重点的にするのは内股だ!ただ、最初は出足払いだ。


 その日の夜の裕美は俺にとても優しく長い時間マッサージをしてくれたり等、とても素晴らしい夜を過ごす事が出来たと覚えている。ネックレスの意味を知っているのだろう。ずっと眺めていたな。


 そうして俺たちは休息日を過ごしていた。明日の活力にする為に。

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