第337話 はしゃいだ

「きゃー凄い!ランスロット様は何ができるのですか?」


 先の10歳の女の子に言われたのだが、周りの女性達に格好をつけたくなった。俺はバカな事をしてしまった。


「よし、お兄さんはこんな事ができるんだぞ」


 と言ってその女の子を抱き上げ、天井すれすれまでの高さまで飛んだ。皆何をするのかワクワクしている。この屋敷は3階建てなのだが、このホールは3階まで使った吹き抜けで、高さのある部屋だ。そして女の子に言う


「今から落ちるけど、下でお兄さんが受け止めるからね。怖がらなくてもいいよ」


 女の子を少し上に放り投げ、俺の体から離した状態で転移した。彼女の悲鳴が聞こえた。キャーと聞こえたのだが、ちゃんと下でキャッチをする。えー!と更に驚いていた。


「凄いです!凄いです。おもしろいです!もう一回やってください!」


 リクエストされたのでもう一度してあげると、やはり悲鳴を上げるのだが面白いですと喜ばれてしまった。そして5人に本当は危険極まりないワイルドな高い高いをしてしまった。


 また何人かの女の子の後ろに転移し、肩をポンポンと叩きまた元の位置に戻る。振り向いた女の子は後ろに特に誰もないので戸惑っていた。しかも後ろに誰もいない子を選んでいるので、当然肩を叩いた者の姿は見当たらないのである。



 それを何箇所かで行った。最後列にいる女性達にそれをしたのだ。肩を叩かれた者は皆唖然としている。えっ?どうしてと。


 壇上でゲートを出し、ゲートに手を入れて端にいる女性の肩をトントンしては手を引っ込める。ゲートを見て不思議がっているが、右端の女の子は当然右に誰もいないのと、右肩を叩く事が可能な位置に人がいないのだ。


 調子に乗って耳元に息をフーッと吹きかけるな。何故かセクシーな声をあげる女性もいた。そう、いたずらっ子をしていたのだ。皆不思議がっていた。そしてそういう事ができることに驚いていた。勿論解説付きでネタバラシをしてあげるのを忘れない。


 色々な物を出し皆を驚かせていた。そもそも収納というものもこの世界にはないらしい。俺は調子に乗ってしまった。本当に調子に乗っていたんだ。みんなからキャーキャーという黄色い歓声が沸き上がり、俺の顔はきっと鼻の下が伸びっぱなしでだらしなかっただろう。だってね、凄いです!と皆からの感嘆の声が心地良かったんだ。


 そしてあまりにも調子に乗り過ぎていたので遂にトリシアを怒らせてしまい、足を思いっきり踏まれてしまった。トリシアの無言の訴えが痛かった。引きつりながら笑顔を向けて来るのだから俺は冷や汗をかいている。


 そして素直にトリシアに謝った


「ごめん。調子に乗ってしまいました」


 しかしトリシアは優しかった


「はいよくできました」


 ただそれだけだった。それはともかくとして、幼い子達に高い高いをしてキャッチをすると言う遊びを披露し、優しく遊んでいたものだから、男への偏見がなくなっていた感じだ。


 また皆が退室する時に主従契約という名の隷属契約を行う事を話した。基本的に制約は殆どない。俺に対して殺意を込めた攻撃を禁止するという、最低限外す事のできない項目だけを入れている。


 一応自由意志で解除はできるがしない事を勧めた。また、俺のスキルとしての契約のレベルが上がっており、俺が契約を行うと、他の者が奴隷契約等の契約を行う事ができない。悪意がある支配から身を守る役目を果たす。


 また契約者同士であれば魔物を倒した場合などの経験値の上がり方が高い補正を得られるのと、パワーレベリングが行える。


 ただ、俺がもしも不埒な事をした場合、女性が男性の頬をひっぱたくそういうのは殺意ある攻撃ではないので攻撃ができると話をした。


 目の前で実演をするとした。


「例えば俺が不埒な事をする。こうやって胸を揉んだとする。そうすると」


 と言うとトリシアからの平手打ちが入り、大きくパーンと音がしたのだ。


「見ての通り殺意のない攻撃はできる。なので俺がこのような不埒な事をした場合は殴るなり蹴るなりしても大丈夫なんだ。勿論する気はないよ。ああ、言っておくけど彼女とはまだ体の関係にはなっていないけれども、俺の妻だからね。皆の前だから恥ずかしかっただけなんだ」



「ばか!もう知らない」


 トリシアは恥ずかしがってそっぽを向いてしまった。

 皆はそんな様子を見てガヤガヤと笑っていた。続いてヒナタである。


「ヒナタ、俺を殴ってみろ。君とはもう既に契約をしている。契約のレベルを落としてあるから、殺意がなければ俺を殴る事ができる。殺意のない範囲で俺を殴るんだ。そうする事により俺が君達の事を思って主従契約を結ぼうとしているという事が分かると思うんだ。俺は自分に対して回復魔法を使えるから、痛いのは平手を食らったその一瞬だけだから気にするな」


 ヒナタが心配そうに言う


「本当に良いのですね?」


「大丈夫だ!」


 ただ一向に平手をしてこようとしないので、俺はヒナタの胸を揉んでやった・・・

 中々良い。するときゃーと言う叫びと共にヒナタの平手打ちが飛び、俺が壁に叩きつけられ壁が割れた。というか、壁に頭が刺さり、オブジェになってしまった。


 慌てた声が聞こえたが皆に降ろされ、ヒナタに向き合った。


「中々の平手だったぞ。あと胸を触ってごめんな」


 そう言うとヒナタはくねくねとして恥ずかしがっていた。


「そ、その、殿方に胸を触られたのは初めてなのです」


 皆にまた話す。


「見ての通り、俺がこういう不埒な事をしてしまった場合、君達が平手打ちをするとちゃんとそれは当たるから。俺も君達に殴られたくはないから不埒な事はしない。そうだなあ、例えば次にヒナタの胸を触るとすれば、治療行為以外ではちゃんとヒナタを娶り、妻にして愛し合うまでまでしないと誓おう。今はみんなにどういう事ができるか、何ができないかを見て貰う為に行ったけども、君達に対して不用意に体を触ったりしない事を誓う」


 皆が拍手をしていた。


 大変な事がこれから待っているのだが、まだ知らなかった。


 一旦主要メンバーで話し合う事となり、今日のところは解散となったのであった。

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