第92話 セチア・デイ
セチアとギルドを出てデートと洒落こむつもりだっが、先程のオリヴィアの話は俺の頭をぐらぐらさせていてデートに集中出来そうにない。
「なあ、色々あったから俺今日考え事してそうだけど、デート日を改めようか?」
「待って、今日デートが良いの。今日じゃなきゃ嫌なの。貴方の傍らにいるだけで良いの。例え他の女の事を考えていたって、見ていても構わないの。私の事見てなくても良いの。貴方の傍にいたいの。もう私の居場所はランスだけなの。ね、私の体だけに用があっても良いの。だから」
俺はギルドの前だと言うのに人目も憚らずキスで言葉を止め抱きしめ頷いた。
彼女は生まれ育った、村を放逐されたか弱き女性で、生きる術を俺に頼らざる得ないんだから考えれば分かる事だ。
「じゃあデートしようか。すまなかったね」
と腕を組んで歩くように腕を出して、彼女が掴むのを待ち歩き出した。
多分俺には行動パターンが有るのだろう、今はメイドさんに教えて貰った人気の服屋に来ている。
セチアに寝巻きと冒険者の服とパーティー用と普段着数着を選ばし下着を数組買わせた。
採寸をして貰いパーティードレスをオーダーしたら、セチアが拒否するので、俺がみすぼらしい格好したパートナーを連れていくと恥をかくからと無理やり納得させている。
手帳に皆が同じ反応とあり予想の付いた反応だったのであっさりと諭す為の答えが用意できたのは手引き書万歳状態だ。
俺は今着る服を見繕い、高級レストランにも入れる簡素なドレスをチョイスしてセチアに試着をさせ、そのまま会計をして着ていた服を袋に入れて貰った。
次いで靴屋で買い物だ。流石に王都だけ有って良い物を置いているのが分かる。
何だかんだとお腹が空いてきたので目についたお店に入り、日替わりの定食を食べて街の散策を行う。
表通りを中心に特に目的も無くぶらつくが、セチアも初めての場所で興味深そうにはしているが、落ち着いた佇まいでまるでこの街の住人の如く堂々としていたのでいつの間にかセチアの興味の有る方に歩いていたのだった。
しかし適当にぶらつきすぎて、いつの間にか雰囲気の悪い下町に来ていたようで、気が付くと柄の悪い奴らに囲まれていた。そして奴らの一人が短剣をちらつかせながら
「お兄ちゃんよー通行税払いな!有り金とその姉ちゃんを置いてけば見逃してやるうへへへへ」
とまあテンプレ発生で有る。俺は溜息をつき、セチアの周りにアイスウォールを展開して言葉を発した奴の後ろに転移して首を刎ねるのでは無くなかっ手刀を喰らわし気絶させ、次にリーダーと思われる奴の目の前に転移して腹パンを決めて次々に無力化して逃げる暇を与えなかった。
そして8人全員を奴隷にした。ステータスを見ると全員盗賊だったのだ。何故王都に盗賊が紛れているか分からないが、逆に金目の物と武器を出させてアジトまで案内させたが、普通の家で300万ほど持っていた。リーダーに何をやっているかを訊くと殺しに強姦など碌でもないことばかりだったので、矯正の余地無しとみなして全員をギルドに突き出すと又もやギルドマスターとオリヴィアとご対面となったのだ。
懸賞金の掛けられた盗賊で、騎士団が追っていたが今までことごとく逃げられていたという。
明日報酬を受け取りまた来るからと盗賊の身柄を預けてそそくさと逃げてきたのだ。と言うがこの後夕食なのだが。
改めてセチアとデートを再開して先程の事を聞いたがやぶ蛇だった。俺が命がけで全力で命を救ってくれたと涙を浮かべて愛されてるんだと感謝されている。
腕を組むどころでは無く人目をはばからず抱き付いてきている。流石に周りの目が恥ずかしいが、余程恐かったと見える。
ちょっと強引に手を引っ張りその場を離れて手近な店に逃げ込んだ。
装飾品を扱っていて、セチアが目を輝かせて色々見ている。
クロエとオリヴィアも多分俺の所に来るのだろうと思い、3人にアクセサリーを買う事にした。各々似たデザインで赤、緑、青のブローチを選んで包んで貰う。セチアが不思議そうにしていたが200万即金で払うと店主が驚いていたが、無事受け取り店を出る。夕方が近づいてきたので、メイドさんにプロポーズはここですると良いよと言うお節介に感謝をしつつ急いで高台の公園に移動して街を見下ろす絶好のロケーションにセチアの肩を抱いて景色を暫く眺めていた。
そして先程のブローチを取り出してセチアに受け取ってと渡し、それが何を意味するか理解して泣きながら背中を向けて、首を差し出す。
俺はだまって赤いブローチを付けてあげるとお互い見つめ合い暫くキスをして
「私で良いの?これの意味は文字通りで良いのですよね?」
「勿論だよ。俺にその資格が有るかはわからないし、既にハーレムを作っているいるような奴だから、嫌じゃ無いか?それでも君の事を愛してしまったんだ。」
「はい問題ありません。既に亡くしたはずのこの命です。好きな方と添い遂げられるそん夢を叶えて下さるのですね!私の居場所はランスの所だけなのよ。宜しくお願いします」
俺は頷いて力強く抱きしめて安堵した。そしてまたやらかした事を伝えられる
「あのね、クロエさんもハーレムに加えられるじゃないですか、彼女の魅力は私では遠く及びませんが、それでも時折ご寵愛をくだされば嬉しいです。それとオリヴィアさんはどうされるのですか?」
「?えっクロエって?それとオリヴィアの事は多分俺の保護下に置いて俺のハーレムに加わって貰い、いずれ天界に戻すべく俺も動きたい。放置したくても恐らく無理だろう。運命に既に組み込まれていると思う。ワーグナー王国に飛ばされたのも、君に出会ったのも偶然じゃ無く必然的な事だと思えてならない。しかも魔王を討伐しても意味が無いはずだ。これから忙しくなる。俺に付いてこい!俺が生きる支えになってくれ」
とどうやら色々やってしまったが追い打ちを掛けられた
「こちらこそ宜しくお願いします。それよりランスはクロエさんに求婚なさって回答待ちですよ?早ければ今晩回答があるのでは?一晩で3人もお嫁さんをって呆れるばかりですよ!でもね、私の事も大事にして下さいね。」
と言われ頷いた後、求婚のやり方を教えて貰ったが、手帳にはそのルールが書いてなかったが、ナンシー、トリシアの二人に行っていると書いては有ったな・・・・いずれ女に寝首を掻かれて死ぬんだろうとつくづく思いつつ今はセチアとの甘い一時を過ごし、暗くなり始めたのでギルドに向かっていったのだ。
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