第134話 カービングに到着
今日の進行は残り半日位だ。昼過ぎにはカービング王都へ到着するだろう。
異変に気がつくべきだったが、前日はクロエにべたべたし過ぎて失念していた。
数日前から誰ともすれ違ってないのだ。
ドロシーはそわそわしている。久し振りの里帰りだ、楽しみにしているのが良くわかる。
後20分も馬車を走らせれば到着と言う所で、異変が起こった。
魔物に、それも100匹位の群れに襲われたのだ。
取り急ぎ、正気に引き戻された俺は機嫌が悪い。『折角アリアとドロシーと赤・・・いや、イチャイチャいてたのに!』とあっという間に倒した。
そして城の方に目を向けると煙が立ち込めているとしか思えなかった。
アリアを連絡役に残し、ドロシーを抱いて俺は飛んだ。俺が飛べば2,3分で着くだろう。
城門を見れば酷い事がわかる。スタンピードが発生し、少し前に突破されたようだ。
城門の中に強引に入り、城門に向かい特大のファイヤーボールを撃ち込み、門の外側にアースウォールを出して、城門を塞ぐ。
1000名を待機させた場所にゲートを出して、アリア達を参戦させる。
シカゴに護衛をさせて、ロトナに念話で兵の召集を掛けさせた。
俺は予め皆に緊急時は強権を発動し、妻達と言えども、命令を出すと伝えている。
オリヴィアをゲートでワーグナーから連れてきて、ドロシーの護衛を頼んだ。俺の護衛はシカゴとオリンズだ。俺は城壁に登り演説をした。
「ワーグナーのSSSのランスロットだ。何があったか分からないが、俺が偶然ここにいる事に感謝するんだ。魔物を殲滅してやる。俺に続け!」
俺はサラマンダーを50体以上は出したと思う。第一陣を城壁の外の魔物に差し向けた。続けてそこらにアイスアローを飛ばしまくる。アリゾナとホーネットは適当にやらせている。放置しておけば、そのうち、一番やばい所に行く奴等だ。以前はサラマンダーは数体出すのがやっとで、しかも各個体の強さも以前より遥かに強い。
城壁の近くの魔物は殆ど潰した。俺は間髪入れず城に向かう。何故か城門を突破した奴等は城に向かったようだ。ミノタウロスが多い感じだ。
ドロシーとオリヴィアを連れて飛んで行く。
アリアには兵の指揮と連絡役を託した。
城に着くと既に魔物が城の内部へ突入を果たしていた。外にいるのは騎士団と戦っているが、騎士団は既に半壊している。取り急ぎ魔物を殲滅し、俺達も城に突入した。
ドロシーの顔は真っ青だ。
ミノタウロスだらけで、真っ直ぐに玉座を目指す。城の造りはワーグナーと大差はないが、一回り小さい。
謁見の間を最終防衛ラインにしているようだが、既に乱戦だ。
王と王妃は流石に健在で、精鋭に守られている。俺は王に切りかかった奴を、転移で切り裂き、周りの魔物へアイスアローを撃ちまくった。
俺が入ってきてから一瞬で形勢逆転で、一気に殲滅した。
俺はゲートをワーグナーに繋ぎ、取り急ぎ招集できた3万を引き入れて城壁内の魔物の殲滅と事態の収拾に従事させる命令を出した。
ドロシーは王の元に駆け寄る。
「父上ご無事で何よりです!」
「ど、どうしてお前がここにいるのだ?ワーグナーにいるはずじゃないか?それに何故ワーグナーの兵がここにいるのだ?それとこの方は?」
俺の方を見てドロシーに尋ねる。
「はい、この方は私の旦那様で、ワーグナーの新らたな統治者である、真の勇者ランスロット様です。兵はランスロット様のお力でワーグナーに繋げたゲートより連れてきた援軍です」
俺はついでに総督を連れてきて、国王に話をさせる。俺はまだ戦闘中だ。
「ドロシー、ここは任せる。俺はオリヴィアと共に城壁の外をある程度確認と殲滅をして来る。その後ここに戻る。危なくなったら念話を送るんだぞ!」
そう言うとゲートで城壁のすぐ内側に行き、飛んで城壁に登り、状況を確認する。しかしまだ半分位サラマンダーが残っていて、見える範囲の魔物がいなくなっていた。
サラマンダーにはもう少し広範囲の殲滅を指示して、送り出した。
ゲートで呼び出した。アリアに兵の指揮を任せて、死体の処理と、魔物の処理を指示した。そして再び謁見の間に赴く。
そこで見たのは、一人の女性の死体にしがみつく王妃とドロシーの姿だ。
「メイベル!なぜ死んだのよ!再会するのが楽しみだったのに」
そういえば先程、壁に剣で串刺しにされている女性を見たが、装備から彼女だった。顔は事切れている為見えなかったが、どうやら第二王女、つまり俺が会いたかったドロシーの双子の妹だ。
王妃をよく見ると、なる程!ドロシーの母親と瓜二つだ。
俺はドロシーの肩に手を置く。
「彼女が妹さんか?」
ドロシーは俺にしがみついて泣きながら頷いている。
俺の元に王が、ワーグナーの総督と共に歩み寄って来て、俺に臣下の礼をする。
「勇者ランスロット様。この度はカーヴィングをお救い頂きありがとうございます。貴方様がいなければ既にこの城も落とされて、私も生きてはいなかったでしょう。彼から聞きました。我がカービングも、ランスロット様の庇護下に入れて頂きたく、王権を譲渡致したいと思います」
そう言うと、跪いて俺の手を握ってきた。
「本来ならば我が娘ドロシーだけでなくメイベルも差し出す所ではありますが、残念ながら魔物の前に力尽きてしまいました。申し訳ありません」
俺は頷き、
「オリヴィア、手伝ってくれ。ドロシー、彼女と再会したいか?」
俺は倒れているメイベルを抱き寄せて、汚れを拭いている。
ドロシーは泣きながら頷いているのでメイベルの装備を外させた。
そして女性陣以外を謁見の間から外に出した。
「それでは彼女を生き返らせてやる。オリヴィア手伝ってくれ」
オリヴィアは俺の頭に手を置く。
そして、俺の前にまだ温かいメイベルを座らせて、ヒールを掛ける。傷がみるみる塞がっていく。
「それでは死者蘇生を開始する。オリヴィア頼む」
そういい、メイベルの服に手を入れ、まず左胸を掴む。ドロシーより少し小さいが張りのある俺好みのサイズの胸だ。生きている時に触れたかった。そして
「まだ知己を得ぬ清らかなる乙女メイベルよ。君を蘇らせる。死者蘇生」
魔力が心臓に向かって流れていく。いつもの如くで心臓の鼓動が感じられると意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます