第302話 忍び寄る影
復活した俺は今回の背景について嫌な予感しかしないので、各総督に対して緊急召集かけた。
招集といってもゲートを出して連れて来るだけの簡単なお仕事をしただけの話なのだが。
最近何か異変がないかを確認すると、時折所属不明の船を目撃したという情報が寄せられていたと言う。ワーグナーでもそうだった。その為兵を派遣して港や海岸沿いから確認するも船影は見えなかったと言う。
確定情報がないため俺の所ろにまで話が上がってこなかったようだ。
それで十分だった。今回の刺客達も船で来たのであろうと判断した。
そこで俺は海岸を中心に自らが捜索に乗り出した。海からある程度離れたところを確認していると、一隻の怪しげな船がワーグナーから離れていく方向に進んでいるのがわかった。その船は小型で早かったが、どれぐらいの航続距離があるかわからないが、驚いた事に帆船などではなかった。
船には煙突があり、僅かだが煙が立ち込めている。つまり内燃機関で動力を得ている船ということが分かる。
俺は甲板に降り立つ。そうするも誰もいないが船室へと続く扉があるのが分かり、そちらに向かって移動する。操舵室らしきものがあったのでとりあえずはそこを目指す事にした。船の大きさは30 m 位であった。
ほどなくして操舵室に辿り着く。扉を開けると数人の男達がいた扉が開いた事に驚き、「なんだお前」という感じでお決まりの文句を言ってくる。
「俺はこの国皇帝のランスロットだ。お前達は我が国に何をしに来ていて、どこに帰るつもりだ?じっくり話を聞かせてもらおうか」
慌てて一人が壁にかけてあったライフルのようなものを取り出し俺に銃口を向けてくる。引き金を引いても出なかったようで、一人の者が
「馬鹿野郎火をつけずに玉が出るかよ!」
と怒鳴っていた。どうやら火縄銃のようだ。念の為に銃を持った者を腹パンで気絶させ、銃を取り上げる。
ほどなく全員を腹パンで沈め奴隷にしゲートを出す。ゲートを出した所に奴隷にした船員達を次々に放り出す。船を収納しようとしたが出来なかった。どうやらまだ誰かいるらしい。内部の捜索をしていると小部屋があり、どうやらトイレのような所があり、中を覗くとやはりトイレだった。俺が確認し終わると丁度トイレに来ようとした者がいて鉢合わせになり、俺の顔を見た瞬間顔をピクピクさせながら懐からナイフを取り出そうとする。腹パンで沈めて奴隷にしてからワーグナーに放り出した。すると次は船が収納できた。通路などは電気で動いているランプがあり驚いた。この世界は魔道具が発展し電気は殆ど使われていないと思っていたからだ。
また船の動力にしても、帆船か魔道具による推進力で動くのが殆どと思っていたのに、が使えるはずなのだが、この船は内燃機関=科学の力で動いている。とは言え地球の技術と比べれば2世紀は劣っているのではあるが、俺は少し考えた。この船の所属がしている所の技術が進んでいるのか、今俺達がいるワーグナーのを含む近隣諸国の方が遅れているのか。
おそらく後者なのだろうと考えていたが、一人で考えても仕方がないのでゲートを開きワーグナーに戻るのであった。
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