エンディング

第116話 絢爛豪華な式典

「フェリオ達が死にました」


月花の温度の無い報告。

理解できず、反応が遅れ。



反応が・・・



え?



「月花、今のは?」


俺が聞き返すと、月花は小首を傾げ、


「言葉通りです。フェリオ達が死にました」


世界から音が消える。

汗が吹き出す。


俺が愕然としていると、月花はまた小首を傾げ、


「フェリオ、トライプニル、ルナナ、メイル、バスレト、ワムテ、フレアが死にました」


月花が、温度のない声で言う。


「・・・何が・・・あった・・・?」


俺は、声を絞り出した。


--


魔王を倒し、ゲームがクリア・・・


始まりの街にて、盛大な式典。

六王は、そしてプレイヤー達は表彰され・・・


そんな折、新たなダンジョンが発見された。


俺は絢爛豪華な式典を尻目に、ゲーム崩壊までの時間をダンジョンアタックに費やす事にした──フェルには悪いとは思ったが。


このダンジョン、参加人数が3人限定、という制限ダンジョンだった。

この為、俺、月花、カゲ、の3人だけでの挑戦とし、他の従魔はロリアと共に、式典の見学を行っていた。


セーフティースポットにて休憩・・・出発しようとした矢先・・・

月花の報告があった。


「何があった、と言われましても・・・何処から話せば良いですか?」


月花が困った様に尋ねる。

そうだな・・・


「俺達がダンジョンに来てから、何があったか、時系列で頼む」


月花はこくり、と頷くと、


「絢爛豪華な式典の後、今後の展開について発表されました」


月花が話し出す。


「まずは、全ての魔王軍残党、及び、元魔王軍の奴隷墜ちが発表されました」


・・・ロリアもか・・・?


「続いて、全現地人類の、プレイヤー達に対する無制限の奉仕が発表されました」


「・・・おい」


何だよそれ。

魔王軍やロリアに対する扱いも許せないが、現地人類に対する扱いはもっとおかしい。


「・・・酷いでござるな」


カゲが吐き捨てる様に言う。

カゲが感情を表すのは珍しい。


「次に、リアルでは・・・五王の背後で政治を行っていた権力者が、富と権力を集中させ、世界を5分割して統治すると発表されました。ちなみに、日本は統治される側です」


「は?」


何を言ってるんだ?


「・・・五王は全員日本人の筈でござるが・・・」


カゲが呻く。


「五王は、人々を導き、自身も戦い、多くの人を護り・・・勝利を勝ち取りました。しかし、その背後で蠢動していた権力者達が、政治を張り巡らし・・・まあ、戦いに勝って勝負に負けたという奴でしょうか?」


・・・


・・・何だよ・・・それ・・・


「勿論、五王のカリスマ、そして功績・・・そういった物は無視できません。それゆえ、五王と権力者の婚約が発表されました」


?!


婚約・・・?


「まあ若く綺麗な女性ばかりですからね。半数は妻子持ちですが、五王は妾とする、との事でした」


・・・


それは・・・


「勿論、五王にとっても寝耳に水でしたが・・・親族の監禁や法律、その他諸々・・・手管を尽くし、外堀は完全に埋められていました」


・・・その場に居たら・・・俺は・・・何をしていたか、分からない。


「続いて、大罪人シルビアの処刑が発表されました」


「なっ?!」


カゲが叫ぶ。


「存在そのものは噂されていましたからね。度重なる出頭命令の無視・・・それが気に触った様ですね」


・・・上等だ。

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