第18話 何でもします
「来ないわね・・・」
「来ないですねえ」
フェルとリミアが残念そうに言う。
ギルドメンバー募集、ののぼりを掲げ、3人で座っている。
もう少しギルドメンバーを増やしたい、という事で始めたのだけど。
残念ながら、成果は出ていない。
そもそも、ギルド、という物が認識出来ない人が多そうだ。
・・・というか、立ち止まる人もいないので、テキストベースの画面でやっている人も多そうだ。
「・・・あ、ごめん。人に呼ばれたわ」
フェルが立ち上がる。
「あら、私もです」
リミアが立ち上がる。
「シルビア、しばらく1人で募集していてくれる?」
何故。
もう終わりで良いと思うんだが。
「いや・・・無理に増やさなくて良いと思うんだ。知り合いに声をかける、とかで増やして行けば良いんじゃ無いのか?」
「駄目よ。私の知り合い、可愛い女の子ばかりですもの」
フェルが頭を振る。
女の子はNGらしい。
「私は聖職者。勧誘行為をする訳にはまいりません」
宗派の勧誘と思われるよな。
2人が行ってしまった。
さっさと畳んで、ダンジョンに遊びに行こうかな。
「あの・・・」
おや。
「どうしました?」
露出の大きな鎧を着た女性の剣士だ。
・・・いや、それは鎧の役目を果たしているのか?
燃え盛るような赤髪、所々髪の毛が逆立っている。
逆毛。
「相談に乗って頂けるのでしょうか?」
・・・?
「・・・内容によりますね。どうされました?」
ギルドメンバー募集しているのに、何故相談。
「実は・・・お金が足りなくて・・・何でもするので、お金を頂けないでしょうか」
何だと思われているんですかね?!
「ここは春の買取はしていません。他をあたって下さい」
月花が淡々と告げる。
「そこを何とか・・・どうしてもお金が必要なんだ!」
「・・・何故お金が必要なんだ?」
「おお、それを聞くか・・・!仕方がない・・・言うよ!聞いたらもう、後戻り出来ないからな」
何でだよ。
「その理論は受け入れられないが・・・」
「実は・・・ギルドへの借金が膨らみ過ぎてな・・・支払いが出来なければ、永久除名になりそうなんだ」
ギルドからお金を借りたのか・・・何の用途で借りたのか知らんが・・・自業自得だろう。
・・・あ。
「まさか、加入資金を立て替えて貰った後、一切ギルドを利用せず、放置し続けたのか?」
「そう、そうなんだよ!あれ詐欺だろ?酷いだろ?」
確かに詐欺の臭いはするものの、気付かないのも悪いし、そもそも、ギルドを利用しない日、というのはなかなか発生しない。
なので、実質的にはそこまで酷い影響は出ない。
「幾らまで膨らんだんだ?」
「限度額の5000万まで・・・」
限度額なんてあったのか。
「5000万なら、1回ダンジョンに行けば、お釣りが来るだろ?」
「普通は来ないと思います」
月花が口を挟む。
「じゃあさ、何かお金儲けの手段を教えてくれよ」
「・・・アイテムを採取して売るとか、レア宝石を探して売るとか、ダンジョンでレア装備を見つけて売るとか・・・」
「そこを具体的に頼む」
攻略情報の共有。
積極的にやる人はいるらしいが、俺は基本的にやらない。
自分で見つけた情報は、自分のものだ。
とは言え、ここで黙っていても面倒なだけだろう。
「君の職業とレベルは幾つだ?それによってお勧め出来る物は異なる。レベル300程度の戦闘職なら、夜光茸の採取がお勧めかな」
「職業は剣士3次、ブレイドマスター。レベルは2300だな」
「強いじゃないか」
そこのレベルになるまでお金はどうしてたんだ。
5000万とかはした金だろ。
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