第96話 下りて上って

「ダンジョンをクリアしてしまった方が早いうさぁ」


あのなあ・・・


シルビア 人間 141万 宝王 12万

カゲ 影人 173万 忍王 17万

月花 フェアリー 340万

フェリオ 神狼 540万

トライプニル 焔締 300万

ルナナ うさぎ 630万

メイル 雲の巨人の義理の娘 600万

バスレト 駄猫 83万


レベルは地味に上がっているが、1体倒すのも手こずる状況。


「最下層のレベルや、ボスのレベルは?」


「データベースにアクセスできません。ただ・・・女神様に近しい存在が護る、と聞いた事があります」


最初に聞いてたら来なかったのに。

失敗したなあ。


「ダンジョンクリア以外の脱出方法は無いのか?」


「ダンジョンの魔物の協力を得られれば、何か突破口が開けるかも知れないうさぁ」


ルナナが提案。


「・・・それは難しいよな」


最下層を目指すしか無い、か。


「ギガアアアアアア、我を従魔にぃぃぃ」


ドスッバキッ


お馴染みの魔物が来たので撃退する。


「協力が得られれば、突破口が開けるかも知れないうさぁ」


何故かルナナが繰り返す。

無理だって。

人型でもないし、交渉に応じるとは思えない。


ズル・・・


新しい魔物・・・ラミア。

上半身は半裸の女性、下半身が蛇。

魔法とか使いそうだし、先手必勝・・・か。


「我を━━」


ゴッバキッドカッ


先手必勝。

集中攻撃で倒す。


「何とか勝てたな」


「主よ・・・」


俺の呟きに、何故かフェリオが呆れた様な声を出す。


階段を諦め、探索。

隠し扉を開け、罠を解除し・・・リアル回転床とかあって、少し休憩するハプニングも。

頭がシェイクされ、方向感覚や位置感覚が吹き飛んだ。

月花のマッピング魔法も一時使えなくなったらしい。

う物理的要因じゃなく、呪いに近いのだろう。


「じゅうまああああああ」


天井から突如スライムが落下。

何とか躱し、撃退。


「休む暇もないな・・・」


冷や汗が流れ落ちる。


「シルビア殿、人気でござるな・・・」


カゲが呻く。

こんな人気、嬉しくない。


--


ゴッ


俺が放った宝飾解放ロストトレジャー、LRバージョンが扉を撃ち抜く。


ガタリ


穴から手を回し、閂を外す。


ギイイイイイイ


扉を開ける。


「大盤振る舞いですね」


月花が驚きを込めた声で呟く。


「そろそろ飽きてきたし、仕掛けを解くのも面倒だからな」


とにかく進みたい方向に進む事にした。

ストレス発散も兼ねて。


尚、未だに地獄層の1階層。

階段は見つかっていない。


「数字合わせ、でござるな」


カゲが呻く。

数字が10桁並んでいる。

何処かにヒントが有るのだろう。


カチリ・・・・カチカチ・・・ガシャン。


面倒なので、フィーリングで外す。


ギイイイイイイ


扉を開ける。


「何故開くのかにゃ・・・」


バスレトが頭を抱える。

だって、開けられないと面倒じゃないか。


魔物・・・大理石の騎士達。

従魔がボコって倒す。

やっぱり非戦闘職だから戦闘はかなりアレだ。

既にバスレトが俺のレベルを超えてしまった。


扉、鍵穴が空いている。

針金を突っ込み・・・


カチリ・・・ガチャ


扉が開く・・・そして・・・


「おかしいだろ?!」


赤い眼、白髪のヤサ男が叫んだ。


「・・・何が?」


従魔の強さか?


「何で・・・閂の扉を撃ち抜けるんだ?!あれは、下層10階層下がって、また上がってきて・・・ようやく開ける、ショートカットの扉だぞ?!」


「ご主人だからにゃあ」


バスレトが答えになってないことを言う。


「何で・・・スフィンクスがあっさり通すんだ。絶対に正解させない筈なのに・・・!」


「ご主人様ですので」


メイルが答える。

そもそも、世間話をして終わったから、何も問題出されてないぞ?


「何故、地下9階層に隠された鍵じゃ無いと開かない鍵が・・・針金で開くんだ」


「ご主人様だからでござる」


カゲが答える。

そもそも、何故針金で開かないのかとこそ問いたい。


「柱の配置から算出する数字・・・何故調査せずに当てた?!」


「ご主人様ですからね」


月花が答える。


適当に回したら開いたぞ?


「そして・・・何故、恐れ敬わぬ?!我が何者か気づかない訳ではなかろう?!」


誰だよ。


「この迷宮のボスっぽいうさぁ」


ルナナの情報提供。

ボス?

もっと下層じゃないのか?


「恐らく、下って、上って、最初の層にボス部屋、という構造のダンジョンのようだな」


トライプニルが告げる。

なるほど。

だから閂外されて怒ったのか。


分かった。


「お前は・・・このダンジョンのボスだな!」


「違う!そうだけど、そうじゃない!」


どうしろと。


「ぬぬぬ・・・此処まで上ってくる間に様々な情報が散りばめられ・・・我が真名に気付き、恐れる筈が・・・!」


真名ねえ・・・


「なあ、アイツ、何て名前だ?」


ついてきてしまった奈落回廊蟲アビスワーム、ワムテに尋ねる。


「アポロン様、女神様の友神ですにょろ。友情出演、というやつですにょろ」


最初普通に喋ってたのに、何故か途中で個性付け始めて、にょろがついた。

アポロン・・・確か・・・


「海の神だな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る