第23話 隠し扉

ザンッ


飛んできた鉄塊の罠を、ミストが切り裂く。


ボウ


フェルの魔法が発動、


ガシャ


鉄塊が地面のパネルに乗り、


ガガガ


扉が開く。


「階段は真ん中を進んでくれ」


俺が注意を促すと、みんなが頷く。


「まさか隠し扉があったとは、知りませんでしたわ」


フェルが嬉しそうに言う。

盗賊系は、隠し扉発見スキル弱いからなあ。


「敵のレベルも飛躍的に上がりました。気をつけましょう」


リミア。

俺、自分で墓穴を掘った感がある。


ザッ


来たのは・・・何か黒いキメラ。


「デーモンキマイラ、適正6000のアライアンス級です」


「強すぎだろ」


月花の説明にツッコミを入れる。


「戒めよ!」


フィロのデバフ。

赤い光がデーモンキマイラに纏わり付く。


敵の姿が掻き消える。


ガッ


瞬間移動したミストが、俺に向かっていたデーモンキマイラを迎撃、斬りつける。

俺、死ぬところだったのでは。


「オーロラローズ!」


(多分)冷気の(多分)薔薇が無数に射出。

数発は本体に当たったが、残りは結界に防がれる。


ゴッ


リミアの死角からの回し蹴り。


デーモンキマイラがバランスを崩し、


「光よ!」


フィロが放った光の槍がデーモンキマイラに突き刺さる。


ガアアアアア


デーモンキマイラが闇のオーラを身に纏わせ、光の槍に対抗。


「・・・強いな」


思わず、呻く。


「トワイライトレイン」


月花の魔法が発動。

デーモンキマイラの闇のオーラを中和していく。


デーモンキマイラが跳躍の為に前脚に力を入れ、


ガッ


そのタイミングを狙って、俺がピットを発動。

デーモンキマイラの前脚下の地面が消失、バランスを崩す。


そこに、


「滅せよ!」


フェルの放った光が、デーモンキマイラを貫き・・・デーモンキマイラが倒れた。


雑魚でこれだよ。

絶対適正レベルじゃないよ。


「よっし、勝ったああ!」


ミストが歓喜の声を上げ飛び上がる。


「凄い達成感・・・楽しいわ!」


フェルが歓喜の声を上げる。


「確かに楽しいが・・・俺、死にかけたよな」


危ない。


「大丈夫。シルビアは、いや、みんなは私が護るよ。それが私の生きる意味」


ミストが満足気に言う。


「有難う、助かったよ」


でも早く帰りたい。


「あんな魔物がいるのですね・・・凄い経験値でした」


フィロが嬉しそうに言う。

レベルが100以上、上がったからなあ。


「幸い、この辺りは敵の密度が少ないようです。このあたりでレベルを上げ、慣れたら先に進みましょう」


リミアがバフをかけ直しつつ言う。


「もう少しギルドメンバーを増やすのも良さそうですね。マスター、ナンパを頑張って下さい」


フィロ。


「待て、もうナンパネタは良いから」


「そうだよ!これ以上美女が増えるのは駄目だからね!」


フェルが言う。

知らんがな。


「お疲れ様でした。卒業後も頑張って下さいね」


月花がフェルに言い、


「卒業しないよ!」


涙目で叫ぶフェル。


「月花、フェルは大切な友人だし、貴重な戦力だ。うちのギルドには必要な存在だよ」


流石に月花に釘を刺しておく。


「えへへ、大切で貴重で必要な存在だって」


フェルが嬉しそうに言い、


「友人ですね」


月花がぽつりと言う。

まだ親友という程では無い。


敵を見つけては、遠距離攻撃で釣り、タコ殴りにする。

幸い、横沸きもなく、安全に狩る事が出来た。


10体程狩り、解散の為に出口に向かう。


「やっぱり、シルビアと狩ると楽だし、楽しいね!」


フェルの言葉に、みんなが頷く。


「俺は何もして無いからな・・・?」


レンジャーの非戦闘職という分類の意味、考えて欲しい。

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