第22話 煉獄城

煉獄城になった。


遠くに炎に包まれた城が見える。

此処は荒野。

炎に包まれた木々や、岩が建っている。


「ちょっと温い気もしますが・・・まあ親交を深める為には、まずこのくらいが良さそうですね」


リミアが言う。


「ここの適正レベル、最初のマップでも3000ですけどね」


月花がぽそっと言う。

おかしいだろ、狩場設定。

死んだら人生終わるとかいう脳内設定はどうしたんだ。


・・・いや、俺以外は3000超えてるから、俺以外なら適正なのか。


「3000のアライアンス級、フルパーティーが3PT程必要です。5人なら5000以上欲しいですね」


「非戦闘職の俺を含めず、4人でカウントしてくれ」


非戦闘職舐めるな。


「さっそく来たぜ」


ミストが言うと、体より大きな大剣を構える。


敵は・・・黒い甲冑。


「ブラッディナイト、適正レベル4300です」


月花が情報提供。

高いわ。


ミストが駆け寄り、剣を持った手を斬り飛ばす。


コウッ


フェルの魔法が発動。

無数の氷の槍が敵を貫く。

沈黙。


装備や鎧の欠片がドロップ。


「その姿に見合わない神速の動き、絶望的な魔法耐性に加え、その盾で物理攻撃も封殺。範囲魔法を連打するので接近戦は注意です」


「もう豆腐を切り刻む様に倒されてるんですけど!」


月花の追加説明にツッコミを入れる。

速度も圧倒してたし、魔法も抵抗する様子が無かった。


「やはり、シルビアさんと狩りをすると安定しますね」


リミアが嬉しそうに言う。


「俺何もしてないんだけどっ」


文字通り。


「ほら、次が来ますよ」


ブラッディナイトが3体、炎の精霊が2体、溶岩のスライムが3体、赤く巨大な蟻が1体。


「クリムゾンマザーは、PT支援スキル持ちです。最初に倒して下さい」


月花のアドバイス。


「承知!」


ミストが炎の精霊を両断、致命させる。

聞いてましたか?!


「喰らえ!」


矢で連撃を加える。

このコースならトゥルークリティカル!


キンッ


クリムゾンマザーに全て弾かれる。

あれ?!


「トゥルークリティカルでもダメージが通らないようですね」


月花の説明。

俺、帰って良いだろ?


「ミョルニル!」


フェルの魔法が発動、凄まじい電撃がクリムゾンマザーを包み、消し炭と化す。


ゴッ


溶岩スライムが地中から飛び出し、ミストを襲う。


コウッ


リミアの魔法が発動。

赤い光がミストを包み、スライムを弾く。


「氷の女王よ!」


フィロの魔法が発動、ミストの剣に青い光が纏い、


「来たぜ!」


ミストが剣を一閃。

3体の溶岩スライムを致命させる。


「貫きなさい!」


フェルの放った光の剣が、ブラッディナイトを致命させた。


「喰らえ!」


氷薔薇の鞭で炎の精霊に連撃を加えるが、防がれる。


「ほい」


ミストの一撃で、炎の精霊が昇天。


ドロップを月花が収集する。


やばい、何もできなさがやばい。


「確かに、シルビアがいると安定しますわね」


フェル。

おかしい。


「やっぱり見込んだ通りでしたね」


フィロ。

その鑑定眼は節穴だろう。


「アイテムも大量のドロップを全部持って帰れるし」


ミスト。


「そこの貢献は否定しない」


月花のお陰だけどな。


PTで何も出来ていないが・・・実は経験値は手に入る。

等分、とはいかないが、攻撃に参加していなくても貢献度等からある程度分配されるのだ。

僧侶系、補助魔法系の扱いは大きく、多く分配される。

非戦闘職は特殊ボーナスで、少し分配される感じだ。

それでも、レベル差が圧倒的なので、ソロより効率が良い。


尚、完全な育成目的でお座りしてても、経験値は入らないらしい。

仕組みは謎。


「行けそうだね、中に入ろうよ!」


ミストの恐ろしい提案を、拒否する者は居なかった。

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