第21話 なんちゃってマーチャント
[それと、また新メンバーが増えたよ]
[初めまして。今日加入させて頂きました、フィロと言います]
[初めまして、よろしくー]
ミストが嬉しそうに言い、
[女性・・・またナンパされたのですか?]
リミアが言う。
お前本当に聖職者か?
女性ではあるが、流石におばあさんはナンパせんぞ。
[シルビア、また女性じゃない!]
フェルが不服そうに言う。
女性ではあるよね。
[これでフェルはお払い箱ですね。お疲れ様でした]
月花がぽつり、と言う。
いや、フェルは貴重な魔法キャラだからな?
[卒業しないわよ?!]
フェルが泣き声混じりに叫ぶ。
[とりあえず、私はシルビアの所にお金を取りに行くとして・・・みんな一回集まらないかな?]
ミストの提案。
[是非御願いします]
フィロが賛成の意を示し、
[是非お会いしたいです]
[どんな女か見極めてあげるんだから!]
リミア、フェルも賛成。
集合の場所と時間を決めた。
--
ゆったりとした上品なローブに身を包み、流れるような銀髪を腰まで伸ばし。
美しい造形は、まるで人形のよう。
動作も洗練されており、芸術品のようだ。
準備がある、と言って後から合流したフィロの姿。
・・・あれ、老婆じゃ?
「凄く綺麗な女性だね」
動きやすいミスリル製のライトプレートに身を包んだ、ミストが言う。
最初出会った時は露出が多い格好をしていたが、本意では無かったらしい。
お金が出来たら、早速露出が少ない装備に変えたようだ。
後でもう少し防御の高いライトプレートを譲っても良いかな。
「皆さんも美しい方ばかりですわ」
フィロが微笑む。
「シルビアさんのハーレムは凄いですね」
以前譲った司祭服に身を包んだリミアが言う。
ハーレムじゃないぞ。
「・・・シルビア、何で美女ばかり集めるんだよ!」
若干露出は減ったものの、やはり露出が多い格好をしたフェルが、不服そうに言う。
いや、俺が集めた訳では無いし、フィロはお婆さんだったからな?
ちなみに、商売の際に舐められないよう、普段はお婆さんの格好に変身しているらしい。
まあ、非戦闘職だから弱いしな。
「お金稼ぎたいし、みんなで狩りに行こうよ」
ミストが言う。
まあ、戦闘職2人、非戦闘職2人、まったり狩りで良いか。
・・・フィロのレベル次第では、あまり強い所には行けないけど・・・そこは、危険性が少なく、かつ、お金稼げそうな場所を選ぼう。
シルビア 人間 2014 トレジャーハンター 53
フェル 魔族 3616 マジックマスター 22
リミア 天使 3014 巫女 86
ミスト 鬼 3322 剣聖 4
フィロ エルフ 3514 大賢者 16
・・・え、大賢者・・・?
なんちゃってマーチャントじゃ・・・?
しかも何このレベル。
というか、明らかに俺だけPTで浮いてないか?
「何処行く?煉獄城?」
フェル。
「ムスペルヘイムに行けば、珍しい装備が有りそうですが」
フィロ。
「ニブルヘイムに行きませんか?」
リミア。
なんか文字通り異次元の狩り場の名前が飛び交う。
何処だよ、そこ。
明らかに、レンジャーが行って良い場所じゃないだろ。
「デュラハンリーダークラスの雑魚がいる場所は自信ないかな」
ミストが言う。
それ、マップのレアフィールドボス、ソロで倒せる敵じゃないぞ。
そのクラスが雑魚でうろうろってどんな場所だよ。
「この構成なら行けるわよ」
フェルが言う。
そんな訳ないだろ。
「シルビアさんが居るから、大丈夫だと思いますよ」
リミア。
むしろ俺が一番無理だよ。
「それもそうだな」
ミストが言う。
納得するなよ。
というか、本当にそんな狩り場が実在するのか?
「煉獄城なら、ポータルを出せるわ」
フェルが言う。
ポータル。
場所を記録しておき、ワープゲートを呼び出して何処からでも移動できる魔法だ。
パーティーに1人は欲しいスキル。
「ムスペルヘイムとニブルヘイムなら行けますよ」
フィロが言う。
3つとも行けるんだね。
「じゃあ、シルビアに決めてもらおうか」
ミストの提案。
何でだよ。
「・・・一番安全な所で御願いします」
俺は逃げ出したいのを堪え、そう言った。
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