Next Last Judgement Online - 続編か、ならば再び人生を捧げよう

第一章

第1話 結成

街外れ、森の側。

湖の畔の、静かな場所。


「作るよ」


俺は、そう呼びかけた。


まさか、自分がまたギルドを作る事になるとは・・・


「すっごく・・・楽しみ!!」


可愛らしい声で言ったのは、レイ。

透き通った桃色の髪の女の子。

外見は、14歳くらいか。


幼さが滲み出る顔立ちで、本当に可愛い。

・・・ちょっと、胸がアンバランスに大きいのだけど。


「結構簡単に集まりましたね。もっとかかるかと思いましたぁ」


穏やかに言ったのは、エレノア。


明るい緑の髪、可愛いらしい顔立ちの男の子だ。


「まあ、前回もほぼあたいらで集めたしな!」


燃え盛る様な赤髪の姐御。

サクラが豪放に笑いながら言う。


「さくさく集まると、楽しいよね」


人好きのする笑顔で、ユウタが言う。

モテます、好青年です、って感じの男性だ。

清流を思わせる、透き通るような青い髪。


「まあ、ウチなら1人でも余裕だったけどにゃあああああ!」


調子良い事を言うのは、トキ。

白髪、猫目の女性。

レベルの割に知識は多く、プレイスキルもある。

高スペックなのだが・・・ここぞという時にへっぽこ。


じゃらり


俺は、取り出したクラウンジュエルの山・・・ギルド作成アイテムの感触を楽しむ。


「世界に告げる・・・メイクギルド、月下幻想!」


両足を広げ、両手を天にかざし、宣言する。

懐かしい感触。

ギルドが作成され、世界と繋がる──


光の柱が上がり・・・


降臨したのは、妖精。

まさか・・・


「・・・にゃあ?」


トキが訝しがる。

他のメンバーも、驚いた様子だ。


少し前、ギルドの作成に2回立ち会った。

その時には、こんな演出は無かった。


妖精が口を開く。

淡々とした、しかし、懐かしい声が紡がれる。


「ギルド作成は、正規のメニューから実施して下さい。オールドコードを直接コマンド・・・そもそも、どうやってオールドコードを入手したのです──え?」


妖精も気付いたようだ。


「・・・まさか・・・ご主人様・・・?」


「月花・・・なのか?」


等身大になり、羽も増え、神々しくなったが・・・何となく分かる。


「知り合いなのです?」


エレノアが興味深そうに尋ねる。


「綺麗・・・」


レイが呟く。


「ああ」


そうだ。

月花は、俺の大切な──


「月花は、俺の大切な、古い仲間だ。昔、右も左も分からなかった頃、知り合ってな・・・それから、長い間・・・本当に長い間、旅をした」


懐かしい。


「旅に出て世界をまわりたい・・・そう、俺に願い出た・・・変わった妖精だった・・・それが出会いだったな」


「もうボケたんですか?月日は残酷ですね」


「ちょ?!」


俺の懐古を、月花がぶった斬る。

何故?!


「何か、さんの話が違ったの?」


ユウタが尋ねる。


「私は自分から望んでご主人様に付いていった訳では有りません。拉致に近い・・・というか、拉致です」


月花が半眼で言う。

恥ずかしいのだろうか?

誤魔化さなくても良いと思うが。


そう言えば──


「思い出したよ。月花は良く、人の話に、嘘ですね、って口を挟むのが好きだったよな」


「それは別の人ですね」


月花が淡々と言う。

あれ・・・?


「なあ、ひょっとして、ギルド名の月下幻想の月下って、月花ちゃんの事かぁ?」


サクラが尋ねる。


「な・・・そそんな訳──」


「まったく、ご主人様は、何時までも私を忘れられないようですね」


俺の否定に、月花が被せる。

違うんだよ。

純粋に、月夜の下で・・・こう・・・


くそう。


「ともかく・・・これは、監視の必要が有りそうですね。このギルドは、私が管理妖精として管轄しましょう」


「それは助かるな」


俺は素直に感想を述べる。

月花は懐かしい存在だし、極めて優秀な管理者だ。


「皆さん、よろしくお願いします──」


月花が深々と頭を下げ、就任の挨拶をする。


「──ご主人様は根は良い方なので、仲良くしてあげて下さいね」


就任の挨拶じゃなかった。

お前は俺の何なんだ?!


「・・・まあ、これからよろしくな」


俺は苦笑すると、月花に、みんなに告げた。

これから始まる、この、平和な世界に。

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