第12話 初レジェンドレア入手

(バックドアが存在した様です。ハニーポッドに引っ掛かったので、トレースしましたが、カスケードが多く・・・573迄は破りましたが、恐らく、半分と言ったところでしょうか。今回は直ぐに気付けましたが、過去、レベル4迄の情報を転送された可能性が有ります。うち、平文の情報はレベル2迄ですね)


ロリアの報告。

なるほど、分からん。


(すみません。侵入者、仮称『サウザンド』は、システム内に、簡易に侵入できるワープゲートを作っていました。これは、削除済です)


なるほど。


(『サウザンド』は、以前にも侵入した可能性が有り、既存商品等の比較的機密度の低い情報を入手していると思われます)


ふむふむ。


(『サウザンド』は、顧客情報等も引き出した可能性が有りますが、情報は暗号化されています。復号キーは奪われていませんが、情報の解読は不可能では有りません)


・・・惨状、か。


(とりあえず、セキュリティは強化しておきますね)


有難う。


情報セキュリティ担当者の席に行くと、


「これは・・・朧月さん。済みません、今攻撃を受けてまして・・・直ぐに対処を──」


「いや、状況は把握している。これが調査ログだ。然るべき対処を頼む」


「こ・・・これは凄い!朧月さん、流石ですね」


流石?


「それと、セキュリティ強化を施したから、マニュアルを参照してくれ。情報の周知も頼む」


「強化まで?!凄い・・・朧月さん、凄すぎます!」


ロリアの名前を出す訳にはいかないので、自分の手柄にしているが。

すげー罪悪感。


--


今日もエクストリーム定時退社を決め、帰宅。

そして、直ぐにNLJOにログイン。


噴水の音が、心地良く響く。


休憩エリア。

ダンジョンに時々ある部屋で、敵が出ない。

ログアウトには最適だ。


ガッ


ミノタウロス?を倒し、解体、調理。

晩御飯にする。


ロリアは、食事を必要としない。

触覚、味覚といった神経も再現していそうで、食事の楽しみも無い様だ。


「今日は、いよいよ4階層ですね」


「ああ、楽しみだ」


とは言え、しばらくはまたレベル上げ。

それでも厳しければ、また3階層に撤退だが。


「此処は、大陸洞窟。結構、高難易度のダンジョンだそうです」


「そうなのか」


「はい。最終階層は4階層。推奨は、アライアンスを組んだPT、60人で、1000レベルだそうです」


「大事だな・・・」


前から思っているが、それで連携取れるのか?

それにしても。


「システム情報にアクセスできる様になったんだな」


月花達もやってたやつだ。


「いえ、できないですよ?」


あれ。


「五英雄達が集めている攻略情報にアクセスしたんです」


なるほど、情報を纏めて、共有しているんだな。


「あの程度の暗号化なら、平文と一緒です」


共有してるんだよな、多分。


--


4階層は、地底湖のマップだった。

不自然に広大な地底湖。

天井の高さが、物理的に有り得ない。

階段から、中央の島まで、大人が3人、並んで歩ける程の道。

中央の島には神殿。


水は透き通っているが、底は見えない。

少なくとも、数十メートルは潜れそうだ。


「あの中央の神殿に、ボスがいます。リヴァイアサン。老人の姿をしているそうです」


なるほど。

では、さっそく。


「・・・カギロイ殿?」


広い水、気になるじゃないか。


ざぶん


<潜水スキルを獲得しました>

<潜水スキルのレベルが18上がりました>

<水泳スキルを獲得しました>

<水泳スキルのレベルが9上がりました>


「・・・水中呼吸の魔法、かけましょうか?」


「いや、スキルも上げておきたいからな」


<潜水スキルのレベルが7上がりました>

<水泳スキルのレベルが4上がりました>


必要、不必要に関わらず、上がるのは楽しい。


コポ・・・


向こうから・・・あれは敵か。


ざぶ


陸地に上がる。

やってきたのは・・・大人くらいのサイズの巨大な魚が数匹。


「ロリア、敵の情報を頼む」


「無理ですね」


あれ。


「ネットで調べられる範囲か、アイデンティファイの魔法の範囲なら分かりますが。とりあえず、遥かに格上、強いと言う事しか分かりません」


仕方が無い。


ジャギ


ロリアに弓になって貰い、スキルを発動。

流星矢シューティングスター

物ともせず、向かってくる。

やはり強い。


ざぶ


空を飛んでくるだと?!


ガッ


大剣で斬りつけつつ・・・


数分ずつ、ヒットアンドアウェイで攻撃し、何とか倒した。


「水に入ると、強い魔物と遭遇する様ですね」


ロリアの解説。

なるほど。


獲物を解体しつつ、レベル上げの算段を立てる。

しばらくは此処でレベル上げかな。

水も食料も困らなさそうだ。


--


バシャン


逃げ回りつつ、


シュバシュバ


矢を射り、攻撃を加える。


巨大な海月くらげ

近付けない。


ヒュ


針が飛んでくる。

何とか躱す。


離れていても危ないけど。


ゴウン


2時間程かかったろうか。

何とか倒す事に成功した。


<ボスナイトメアジェリーが討伐されました。MVPはカギロイです>

<MVPボーナス、[LR]夢海月ゆめくらげを入手しました>


MVPボーナス。

ボス戦で貢献した人に与えられる物だ。

今回はソロ討伐なので、当然俺。


レジェンドレア・・・初LRだ。


「ロリア」


「分かりました」


ロリアに夢海月を渡す。


「鞭、レベルが大分上がったのと、不可視の鞭、強撃鞭がアンロックされました」


?!


「・・・まさか・・・食べた・・・?」


「え」


いや。

うん。


しまっておいてくれ、と言わなかった俺が悪いな。

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