第25話 従魔
(何故というか。本当に成長してないですよね)
何でだよ。
「ロリア・・・?魔王の娘のロリア、ですか?」
「お、おう?」
「この世界に戻っているのですか?消失したと思っていましたが・・・」
「此処にいるな」
ロリアを掴み、見せる。
フロートポッドに偽装しているけど。
「・・・まさか、従魔・・・?」
(ああ・・・)
にゅる
フロートポッドが液体になると、ロリアの姿を取る。
「久しぶりだな、月花殿」
「?!」
月花は後ずさると・・・そっと目を逸らし。
冷や汗を滝の様に流しつつ、
「あの・・・その・・・罪を着せた件はその・・・」
「いや、それはもう良いから」
ロリアがふるふると首を振る。
「・・・そういう事ですか。ロリアさんは、ご主人様の従魔となっていなかったから、霊格が上がらなかった・・・結果、ご主人様の従魔となる資格があったのですね・・・」
月花が呻く。
成る程。
「ロリアと、オトメが、今の従者だな」
シャキン・・・ガチャ・・・ガチャ・・・
フロートポッドが激しく組み変わり・・・そして・・・
オトメの人間形態となる。
「オトメ・・・デス・・・イゴオミシリオキ・・・ヲ・・・」
だから流暢に喋れよ。
「もう一体居たのですね・・・」
月花が驚きを隠さず、言う。
ふと、微笑すると、
「それでも、ご主人様を支える方がおられるのは、安心しました。ロリアさん、オトメさん、宜しく御願いしますね」
「この命に代えても、シルビア殿の身は護ろう」
ロリアが、真剣な声音で言う。
「万難を排す剣として、この身を捧げます」
オトメが、宣言する。
「・・・普通に喋れるんですね」
月花が半眼でツッコミをいれた。
--
翌日。
:「おはよおおおおおおおおお!」
レイが一番乗り。
元気だなあ。
:「おはよう、レイさん。早いね」
:「ますたああああの方が早いよ!」
:「俺はログアウトしてないしな」
ゲーム内の方が快適に寝れるからな。
:「んー、徹夜でゲームしてたの??」
:「いや、寝てたぞ」
もう若く無いからな。
徹夜で狩りなんて真似はできない。
:「??」
話が通じない。
:「それより、朝ご飯はもう食べたのか?」
:「うん、食べたよ!」
:「そうなのか。ちょうどソーセージとパンが焼けたから、食べるかと思ったが」
:「食べる食べる!
お腹の膨れ具合に、
:「ギルドホームに来てくれ」
:「ギルドホーム?」
:「システムメニュー、ギルド、ギルドホーム、を選べば、ホームゲートを出せると思う。そこから入れば」
ひゅん
レイが出現。
「ますたああああ!」
レイが飛びついてきた。
「改めて、おはよう」
「どうぞ」
オトメが、パンを切り分け、ソーセージを乗せ、レイに渡す。
いつの間に形態変化を・・・?
「あれ、おねーさん、誰?」
「私はカギロイ様の従魔、オトメと言います。身の回りの世話をしております」
「わ、従魔、従魔って何?」
「従魔は、魔物を使役するシステムだな。心を込めて敵を倒せば、稀に起き上がるらしい」
「一般スキルの魔物使いを取る、特殊なアクセサリーをつける、魔物が好む香水をつける・・・そういった方法で、確率を上げる事もできますね」
月花が口を挟む。
「あ、月花ちゃんもおはよおおおおお!」
「おはよう御座います」
月花が微笑む。
「下位の従魔であれば、従魔ショップで契約できるものもいます」
月花の補足。
そんな方法が有るのか。
「んー。自分で捕まえたいなあ。一般スキル取る〜」
一般スキルは、特定の行動をする事で覚えたり、上昇したりするが。
それとは別に、種族レベルを上げた際に貰えるポイントを消費する方法が有る。
効率が悪いので、訓練した方が早い。
レイがパクパク、元気に食べている。
「お腹空いていたのか?」
「んー、あまり食べると太るから、
ゲームの中で暴食しても、
もっとも、レイはよく動くので、どれだけ食べても大丈夫だと思う。
:「おはよ〜」
ユウタだ。
:「おはよう。ギルドホームで朝食をとってるよ」
:「ゲーム内で食事ができるんですね!」
「そりゃそうだろう。ゲーム内で食事ができなきゃ、お腹が減るじゃないか」
「え、ゲーム内で食事したら、
何を今更。
「ゲーム内からログアウトできなくなって、何ヶ月、何年とゲーム内ですごした人がいたんだから。ゲーム内で食事や睡眠がとれて当然だろ?」
「え・・・ゲーム内で何年・・・と言うかログアウトできなく?!」
レイがわたわた手を振る。
「待つにゃ」
半眼になったトキが、ぬっと現れる。
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