第24話 一方通行の想い

「これでレアいっぱい出るんだよね・・・行くよおおお!」


レイが岩に回し蹴り。


ぶわっ


湧き上がる宝石達。

クラウンジュエルは・・・4つと言ったところか。


「にゃあああああああ?!」


「ファイアーボール・・・わーぃ」


エレノアが放った魔法が、大量の宝石を吹き上げる。


「せいっ!」


ぶわっ


サクラも、やはり同じく宝石を吹き上げ。


「えい」


ぶわっ


ユウタの一撃も、同じく宝石の山が。


「嘘にゃああああああ?!」


トキが叫ぶ。


「ふう・・・凄いな、商人スキル」


「カギロイさん何かしたにゃああああ?!」


「言いがかりが酷すぎるだろう」


思いっきり俺のせいだが。


「明らかに3分以上継続しているにゃあああ?!」


「流石トキさんですね」


「絶対カギロイさんが何かしたにゃああああああああああ」


「あ、そろそろ集まったみたいだな。よし、ライトに報告に行くか」


「おかしいにゃあああああああああああああ」


商人スキル、便利だね。


--


「まさか、1時間で230個も集めるとは・・・」


ライトが唖然として言う。


「トキさんの商人スキルが強力でした・・・非戦闘職なので商人は興味が無かったのですが・・・非戦闘職も便利なのですね」


俺は、感心した様に言う。


「セカンドジョブを利用して、非戦闘職を伸ばす人が結構いるみたいだね」


ライトが言う。

レンジャーも増えているのかな?


「このクラウンジュエルは、有り難く使わせて貰うよ・・・それで、カギロイさん達も、うちのギルドには入ってくれるのかな?」


「いえ、俺は此処で抜けさせて貰います。もう少し、色々見てまわりたいので」


久々のPTは楽しかったけど。

ソロの方がやはり気楽だ。

まあ、トキ達とはフレンド登録をしておきたい気はするが。


「すみません、ライトさん。俺も、自分のギルドを作りたいので・・・六英雄をも超える、最強のギルドを作りたいんです」


剣士がそう言い、数人が剣士のもとへ。

方向性の違い、か。


ギルドの方針として、まったりギルド・・・雑談での交流や、時々PT狩りをしたり・・・そういった緩いギルドもあれば。

厳しいノルマを課し、ギルド対ギルドの対戦や、プレイヤー対プレイヤーの対戦への参加を義務づけたりする、ギルドもあり。

所謂、上位ギルド、となると、一般的には厳しいノルマを課していたりする。

酷いところになると、仕事や家庭よりも、ゲーム優先、と要求されるらしい。


「また、何か分からない事があったら聞いてくれて良いよ・・・もっとも、既に色々抜かれてしまっている気がするけどね」


ライトが俺達にそう言うと、


「じゃあ、またね」


街の中へと消えていった。


さて、俺もお別れするか・・・

・・・

フレンド登録しよう、とか、言い出せないぞ?

頼む、誰か言い出してくれ。


・・・誰も言い出さなかったら、諦めて去ろう。


「ねーねー、カギロイさんー。どうするのー?私達もギルドを作るのー?」


レイがぴとっと抱きついてくる。

・・・?


「またトキさんのスキルを使って、クラウンジュエルを集めますか?」


ユウタが尋ねる。


おや?


「・・・あれは私のスキルじゃないにゃあ。絶対カギロイさんが何かやったにゃあ」


トキが半眼で言う。

何でだよ。


「ドロップが沢山出るの、楽しかったです。カギロイさん、またやりたいですぅ」


エレノアが言う。


「100個なんて、さっきのペースならすぐだな」


サクラが言う。


・・・


あれ、このメンバーでギルドを作る流れになってる?


・・・


まあ、良いか。

俺はくすり、と笑うと。


「そうだな。トキさんのスキルを使って、ちゃっちゃと100個集めてしまおうか」


いや、俺が死蔵しているクラウンジュエル出しても良いんだけどね。


--


クラウンジュエルの収集は、一瞬で終わった。

ギルドの作成も、つつがなく完了し。


月花との再会、そして月花の管理妖精への就任挨拶。


良い時間となったので、今日は解散。

俺もログアウト・・・しようとすると、月花に呼び止められた。


ギルドホームマップ。

ギルドに与えられる固有マップで、アジトを建てたり、施設を建てたり・・・色々拡張できる。


その一角。


月花が、困惑の色と・・・喜びの色を浮かべ、横へと座った。

・・・手の平サイズから、人間の大人と同じサイズになっているので、違和感は有るが。


「お久しぶりです、ご主人様」


「久しぶりだな、月花。また会えて、嬉しいよ」


「・・・わ、私は別に嬉しくは無いですけどね」


・・・この想い、一方通行。


「あの、でも、おかえりなさい、です」


ぽふ


腕を絡めてくる。


まあ、歓迎されてない、という程でも無いらしい。


(相変わらず鈍いですよね)


何でだよ。

これでも、かなり成長したんだぞ。

正直、10年前は相当、色々な人に迷惑をかけたからな・・・

俺は変わったと思う。

・・・歳を取った、とも言うがな。


「本当は・・・全てを投げ出して、ご主人様の従魔に戻りたいのですが・・・この世界の管理も有りますし・・・それに・・・霊格が大きくなりすぎて、1個人の従魔として収まれ無くなったんです・・・すみません」


「有り難う、月花、気持ちだけで嬉しいよ」


「・・・その・・・ご主人様の従魔であった者は・・・今、管理者任務に就いている者が数名いますが・・・残念ながら、同じ状況かと思われます。ですので・・・」


「大丈夫。ロリアもいるしな」


「・・・は?」


(あ)


何故だろう。

見る見る、月花の顔が曇っていく。

・・・?

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