第23話 自然物オンライン

「あ、君達は、手伝ってくれるかどうかは、任せるよ。何も教えられず、放置してしまっていて、申し訳無かったね」


ライトがぽりぽり頭を掻く。

まあ、初心者に教えると言っておきながら集め、後は放置していたのだから、酷い話ではある。

俺やトキが混じっていたから、色々教えたので、結果的には問題無かったが。

・・・というか、スマホプレイしている人に、中に入り込んでいる人を教えるのは、無理だ。


「何か集めるの?面白そう、やるー!」


レイが参加を表明。

まあ、俺もせっかくだから付き合うか。


(ご主人様なら100個程度、1撃で集まりますしね)


どんなレベルの敵を殴るつもりだ。

あと、ドロップアップのスキルはオフにしたままに決まってるだろ。

怪しすぎるわ。


「有り難う。100個必要なんだけど・・・今まで、20個しか集まっていないんだ。みんな初心者だから、いきなり普通の敵は厳しいと思うから・・・自然物からも出るから、鉱山行くのが良いかな?」


「え、初心者さんなの?」


ライトの横にいた女メイジが、怪訝な顔をする。


「そうだよ、レベルを見たら分かるでしょ?」


「いや、レベルを見たら分からなかったんだけど・・・」


「だってレベルはまだ1桁くら・・・え」


ライトが絶句する。

ライトのレベルを超えているからな。


「・・・君達・・・一体何処に行ってたの・・・?」


「ちゃんと、地下水路ダンジョンをうろうろしてただけにゃ?」


「3階層までしか行ってないよ!」


ライトの問いかけに、トキとレイが返事する。


「3階層って・・・俺達でも行った事無いんだけど」


ライトの横の騎士が呻く。


「乗りかかった船にゃ。さくっと集めてしまうにゃ」


トキが、ぐーエモを出し、宣言した。


--


能力的には、戦闘フィールドに行っても構わないのだが。

結局、自然物オンラインをする事にした。

ひたすら自然物を破壊する事を言う。


自然物・・・木箱、樹木、岩、草・・・そういったオブジェクトを潰す事で、アイテムが落ちたりする事がある。

尚、潰せないオブジェクトもあり、それは破壊不可オブジェクトだ。

オトメやロリアの本気攻撃でも潰れないあたり、LJOの頃より大幅に強化されているらしい。

フェルなら壊せるんだろうけど。


この自然物オンライン・・・頭を空っぽにして、効率を忘れてのんびりやると、結構悪くない。

何に使うか分からないアイテムが色々出るので、ひたすら貯めていく・・・

まあ、普通は所持量に限界が有るから、殆ど拾わずに棄てたりするのだが。

俺はこっそりロリアに収納して貰っている。


ひゅ


俺が放った矢が、金色の岩にぶつかり、崩れる。

出てきたのは・・・クラウンジュエル。

結構出るなあ・・・


「にゃ・・・また出したのにゃ!負けないにゃ!」


トキが対抗意識を燃やしている。

スキルはオフにしてあるんだけどなあ。

クラウンジュエルが吹き上がる、という事は無いのだが。

それなりの確率で、クラウンジュエルがドロップしている。

本来は、滅多にドロップしないらしい。

ライト達は、1週間で20個しか集められていないとか。

買った方が早いんじゃね?


「ファイアーボール!」


エレノアが魔法を行使、岩にぶつかり、岩が破壊。

石ころ、がドロップ。


「カギロイさん~」


「どうした、エレノアさん?」


「魔法のコツとか有りませんか~?」


「何故俺に聞く・・・」


トキに聞けよ。

五英雄達なら色々研究してそうだ。


「・・・魔法は、どれがやりやすいか、人によって違うからな。世界に命令して従わせるか、世界と一体化して世界ごと動かすか、魔法現象を元素単位に分類し、その元素の組み合わせにより魔法を組み立てるか・・・」


俺がやってたのは、前者。

フェルは、世界と一体化して魔法を行使していたから、威力がおかしかった。

最後は・・・一般的な魔法の習得方法とされていたものだ。

フェルの情報を元に、フェルの妹が構築、魔導士ギルドが構成員に伝えていた。


「最後の方法は、俺には分からなかったが・・・エレノアさんには分かり安いかも知れないな」


さっき、トキのややこしそうな話も理解してたしな。


「面白そうですねぇ。教えて欲しいですぅ」


「・・・すまない。詳しくは知らないんだ。トキに聞いてくれ」


五英雄の情報の中に伝承している筈だ。

そこで調べて貰えば載っているだろう。


エレノアが、トキの方に行き、教えを請うている。

トキがエレノアに何か教え始めた。

てっきり調べに戻るかとも思ったが・・・覚えていたらしい。


「23個目、と」


俺が殴った岩が、クラウンジュエルを落とす。

・・・最初は面白かったが、面倒になってきた。

だからと言って、途中抜けもどうかと思うしな。

何時間やるのだろう?


「うにゃあ!さっさと終わらせて、ゆっくり教えるにゃ!見るが良いにゃ・・・商人のスキル・・・ドロップバーストにゃああああああ!」


ドロップバースト。

周囲のPTメンバーの、レアドロップ率を上げる支援スキル。

3分しか持たないし、かけられる範囲も狭いので、結構面倒だ。


「みんな、トキの傍に寄ろう。支援スキルで、レアドロップ率を上げてくれるらしい」


呼びかけ、みんなをトキの傍に集める。

ちなみに、ライト達は別階層で敵と戦っている。


「行くにゃああああ!」


そっと、レンジャー系列のドロップ関連スキルを全部オンに。

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