第74話 仕方が無いですよね

「その・・・LJOは、危険、と判断されたのでござる。実際、死者も万単位で出てるし。LJOにログインしている間は、現実では何も生産していないし・・・」


「・・・LJOのプレイそのものが、人類の救済に繋がるって話だったじゃないか」


「LJOでの戦況と、現実世界への影響・・・因果関係が完全に否定されているのでござるよ・・・」


カゲが困った様に言う。


「この世界のゲームオーバーと、現実世界の人類の死滅がイコールなだけで、戦況によって地球が壊れる訳ではないので、学者とやらは正しいうさぁ」


ルナナが肯定する。


「く・・・ゲームプレイで人類救済になるって言い張る手は使えないのか・・・」


がばっ


カゲがルナナを掴み、


「待って、ルナナ、今何て言ったの?!今、さらっと何言ったの?!」


何故か泣きそうな声でカゲがルナナを揺らす。

こら、俺の従魔揺らすな。


「うさぁ?」


「可愛いくとぼけないで?!冗談よね??」


カゲは余程慌てているのか、何時ものござる口調が消えている。

何か気になる事言ってたっけ?

天変地異がない、とは言ってたけど。


「人類のゲーム中止・・・俺に何かできることが有れば良いが・・・」


「ご主人にできる事は無い、のぅ。それが地球の人類の選択なら仕方あるまい・・・やれやれ、騒がしくなるのぅ」


フェリオが言う。

悔しいな・・・ゲームの衰退を待つ、しかないのか。

いや、俺だけでも・・・


「待って、今騒がしくなるって言ったぁ?!何か知ってるの?!どういう事??」


今度はカゲはフェリオを揺ら・・・せず、モフる。


「嬢ちゃん、LJOの根絶・・・具体的にどうするのかね?」


フェリオが尋ねる。

カゲはすっとフェリオから離れると、深呼吸。


「その・・・ログイン阻止の機構は、簡易な首輪をつける事で可能になるでござる。その首輪を、自治体に配布。登録済、未登録に関わらず、つけるでござる。同時に・・・特定の周波数の電波を流す事で、既にログインして実体が無い人も帰還させられるとか・・・」


何・・・だと・・・

俺も本格的に遊べないじゃん。

電波遮断できる施設とか、無人島とかに・・・


「そう、それで魂を身体から分離させるのが難しくなる」


フェリオが言う。

く・・・


「ので、身体ごとこの世界に持ってくるしかなくなる、という事だ」


トライプニルが続ける。

ん?


「・・・それは・・・いったい?」


カゲが真剣な声音で尋ねる。


「そもそも、何をしているか、から考えたら理解しやすいと思います」


月花が継ぐ。


「今は、魂を身体から分離、身体を化身化、魂だけをこの世界に召喚。これがログインです。逆に、化身化した身体を目印に、魂を送還・・・これがログアウトです」


・・・何となく、察した。


「まさか・・・」


カゲが絶望的な声音で言う。


「抵抗されれば・・・仕方が無いですよね。身体ごと召喚・・・これは、別に難しく有りません。ただ・・・」


つまり、


「身体ごと召喚された人は、ログアウトできない?」


俺の言葉に、月花が頷く。

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